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オーストラリアにいて気づいた スターバックスが撤退した理由

オーストラリアにいて気づいた スターバックスが撤退した理由

伊勢 彩矢美

KDDIウェブコミュニケーションズ 広報として、広報ブログの執筆をはじめとした企業のPR活動を行っています。

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先日こんな記事を見かけました。
オーストラリアからスターバックスが撤退したというニュースです。

日本経済新聞「スタバ、豪から「撤退」 地場コーヒー文化に敗北」
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1902N_Z10C14A6FF1000/

スターバックスは、私がオーストラリアで生活していた時によくお世話になりました。知らないお店が連なる中、日本で馴染みがあり、世界中で親しまれているという安心感から、来たばかりの頃はなんども足を運びました。しかし、このニュースを日本で見かけた時、驚く気持ちがある一方で、ふに落ちる部分もありました。なぜなら、「スターバックスに行かなくとも事足りてしまう」ということを身をもって感じたからです。ここからは私の個人的見解になりますが、なぜスターバックスが撤退したのか理由を考えたいと思います。

 

 撤退理由1. 独自のコーヒー文化とスタバのブランディングとのちょっとしたミスマッチ


エスプレッソマシーン.jpgオーストラリアでは、朝 仕事前に1杯、昼 ランチ後に一杯、夕方 コーヒーブレイクで一杯など、1日に3回、もしくはそれ以上飲むくらいコーヒー好きが多いです。日本のように缶コーヒーではなく、ちゃんとエスプレッソマシーンで豆が挽かれているものを飲みます。また、コミュニケーションとして利用する人が多く、独自のコーヒー文化を形成してきたように思います。オーストラリアでは、基本的にバリスタの資格を持っていないとコーヒーを提供することができないため、どのお店でも美味しいコーヒーと出会うことができます。こういったオーストラリアの文化に対し、スターバックスは「味」の部分や、これまで形成されてきたコーヒー文化に変わる「演出」などの部分で突出することができず、浸透するに至らなかったのではないかと思います。しかし、場所柄人口が集中するエリアに点在していたので、スターバックスが閑散としていると感じたことはありませんでした。よって、次の理由がさらに撤退への方向に進めさせたのだと思います。

  

撤退理由2. スターバックスより低格のコーヒーがどれも美味しい


外国のコイン.jpgスターバックスのコーヒーは決して安い方ではないので、毎回4ドルかけてコーヒーを飲んでいると結構な出費になってしまいます。そのため、多くの人は 2ドル〜3ドルで飲めるコーヒーを見つけ、そこで済ませます。また、ある地元コーヒーチェーン店では、ポイントカードを発行しているところや、サービスでマフィンを付けてくれるカフェもあり、私自身も次第にシフトしていくようになりました。こうしたことから、低価格のコーヒー店や、その他のお気に入りカフェに流れてしまったのではないかと思います。

 

 

撤退理由3. 地価高騰、物価上昇


都会の夕焼け.jpg現在オーストラリアのスターバックスは、シドニー(ニューサウスウェールズ州)とメルボルン(クイーンズランド州)、ゴールドコースト(ヴィクトリア州)にあります。シドニー(ニューサウスウェールズ州)が9店舗と最も店舗数が多く、そのうち7店舗がシティ(繁華街)に集中しています。オーストラリアの物価は現在もゆるやかに上昇しており、特にシティの不動産価格は顕著に高騰しています。たとえば、賃貸マンションを借りる場合、6畳間の部屋と個別のバス・トイレがあり、共同で利用するキッチンやベランダ、洗濯機などのような物件で、約8万円/2週間です(壁が少し剥がれているような、ある程度築年数が経っているものがほとんどです)。高層マンションタイプの物件であれば、10人ほどで共同生活をしている家はざらにありました。

これらのことから、地元に根付くコーヒー文化に対し、スターバックスのブランディングが深く浸透せず、価格競争でも難しい、さらには今後の物価の上昇を想定すると、新規顧客を獲得しながら店舗数を増やすことより、売却するほうが「経営的メリットが大きい」との判断になったのではないかと思います。

 

◎おまけ「オーストラリアのアイスコーヒー」


コーヒー繋がりで、オーストラリアのアイスコーヒーに関することを1つ。オーストラリアでは、「アイスコーヒー」を注文すると、こういったのが出てきます。

こちらが日本でよく見る「アイスコーヒー」です。

アイスコーヒー.jpg


このコーヒーの上に、ソフトクリームとバニラアイスをドッキングします。

写真がなかったので、参考までにこちらの記事を載せておきます。

「あなたはオーダーできますか?オーストラリアでブラックのアイスコーヒー。」
http://jams.tv/BlogPosts/post_view/flatjams/69347

日本のアイスコーヒーを想像して注文すると、まるでアイスクリームフロートのようなボリューミーかつ甘さたっぷりなものが出てくるので、最初は引きます。この記事の写真よりも、全体的にぐちゃっとしていてクリームがもこもことのっていた気がします。でも、食べるとなぜか美味しいのです。病みつきになります。男性が頼んでいると、少し可愛くも見えますね。

 

あ、なんだかんだ言いましたが、スターバックスのコーヒーは美味しいので好きです。

では、このへんで。