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東京スカイツリー展望台から眼下に展開する、あたらしいトレインビューとは?
»2012年5月 3日
高瀬文人の「精密な空論」
東京スカイツリー展望台から眼下に展開する、あたらしいトレインビューとは?
フリーランスのライター/編集者/書籍プロデューサー。 月刊総合誌や『東京人』などに事件からまちの話題、マニアックなテーマまで記事を発表。生命保険会社PR誌の企画制作や単行本の編集も行う。著書に鉄道と地方の再生に生きる鉄道マンの半生を描いたヒューマンドキュメント『鉄道技術者 白井昭』(平凡社、第38回交通図書賞奨励賞)、ボランティアで行っているアドバイスの経験から生まれた『1点差で勝ち抜く就活術』(坂田二郎との共著、平凡社新書)、『ひと目でわかる六法入門』(三省堂編修所、三省堂)の企画・制作。
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東京スカイツリー開業まで、あと12日(5月10日現在)。
空から、電車が走っているのを見るのはけっこう楽しい。
昼の、さまざまなカラーをまとった車体。夜の、室内灯をつけた幻想的な光景。
レストランやホテルなどでも鉄道ブームを当て込んで「トレインビュー」を売り物にするなど、関心が高まっている。
スカイツリーは東武スカイツリーライン(伊勢崎線)の業平橋貨物駅跡地に建っているため、東武線が眺められるのは当然だが、都営浅草線と相互乗り入れしている京成押上線、総武線を走る電車も見える。他にも山手線・京浜東北線や宇都宮線(東北線)、常磐線、京成本線など、東京の東側を走る鉄道はほとんど指呼の間のはずだが、線路がここにあるというのはわかるのだが、電車が走る光景は、建物に遮られて、ちょっと眺めただけではわからなかった。実際に上って見聞されることをお薦めする。
展望回廊(第2展望台)から真下に見える、とうきょうスカイツリー駅脇の電車が休む留置線。手前が、留置線を出て浅草に向かう特急スペーシア、一番奥が特急りょうもう。「好き者」でないと区別できませんね。
スカイツリーラインを東のほうにたどる。複雑に線路が敷かれている。スカイツリーラインの電車留置線の右側に白いはしごのようなものがあるが、その下から京成押上線が、地上に出てきている。京成・都営・京急の電車が見えるはず。写真手前に三角形のだんだら模様のついた、やはり三角形の屋上をしている大きな建物があるが、これは墨田区の駐輪場で、屋根の上はスカイツリーの展望台。押上駅B3出口を出ると正面奥に見え、すでに入ることができる。なぜこの建物は三角形なのかというと、ちょうどここが貨物駅の入り口で、線路がたくさん枝分かれして広がる場所だったから。
30年前のこの場所は、こうだった。栃木県のセメント工場から貨車に詰められて送られてきたセメントを下ろし、背後に見える生コン工場でコンクリートに練り上げて、ミキサー車で都内の建設現場に運ぶ基地だったのだ。その歴史は古い。明治・大正・昭和の東京をつくった場所ということもできる。
さて、隅田川のほうに目を転じると、スカイツリーラインは隅田川を渡ってほぼ直角に左折し、浅草駅に至る。天望回廊からは、浅草寺や仲見世との位置関係がよくわかるが、なぜ、浅草駅を急カーブの先の、こんな不自然な場所に建てなければならなかったかというと、関東大震災後の復興計画で道路(馬道通りと江戸通り)建設が先に決まっており、また川の両岸は隅田公園を作って防火帯にするため、土地に制約があったから。
筆者おすすめの眺めは、高層マンションのところでスカイツリーラインが左に、京成押上線が右に分かれるところを右下に向かって走る、2両編成のかわいい東武亀戸線。このあと右方向に追っていくと、小さな家屋をかきわけながら、次の小村井(おむらい)駅まで走る、下町情緒たっぷりの姿が眺められる。
ここは、押上駅B3出口から、スカイツリータウンを4階の一般客エントランスに向かって上がっていき、振り返ると見える光景。こういうちょっとした光景にも、なかなか味がありますね。