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「子供はマムシに咬まれにくい」仮説と起業家の心がまえ

「子供はマムシに咬まれにくい」仮説と起業家の心がまえ

波多野 謙介

コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。

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暑過ぎるといっても、夏は虫や魚にとっての楽園です。山や野原にはいつの間にかたくさんの虫が現れ、川べりには草が高く茂って影を作り、魚達が群がり始めます。

そんな光景を見ていると、三十を過ぎたとはいえ虫カゴや網を持って山や川に繰り出したいという想いが募るのですが、そこは世間体も考えないとならないもの。手ぶらで散歩をするフリをしながらポケットに虫かご代わりのビニール袋を突っ込み、山の中にフラっと出かけていくというのが、大人の自然との付き合い方な訳です。

Snake Charmers
Snake Charmers / particlem

しかし今になって山に分け入ってみると、昔は何も思わなかった草むらがマムシの潜む危険地帯にも思えてきて、無防備だった子供の頃、よくもマムシに咬まれずに過ごせたものだと、不思議な気持ちになったりします。

咬まれる大人と咬まれない子供

ちゃんとしたデータが手に入らないので正確な事は言えませんが、各種情報ソースから判断すると、マムシの被害で最も多いのは、農作業中の被害なのだそうです。その他には山菜採りの最中に咬まれたとか、犬の散歩の途中に咬まれたとかいう「大人の」マムシ被害をよく目にするように思います。

確かに、農作業も山菜採りもマムシの棲むような草むらでの作業ですから、不幸にもマムシに咬まれてしまう可能性は高くて当たり前です。しかし川や山で遊んでいる子供と比べ、農作業を営む大人はマムシへの警戒心が違うはず。

例えば、マムシがたくさん出没する場所で農作業を行う人は、多くの場合長靴を履いたり、草むらを棒で叩いて音を出したりして、被害に会わないための対策を行っています。

反対に、山や川で遊ぶ子どもはそんな警戒心はほとんど持ちあわせておらず、笹薮に半そで半ズボンで分け入り、樹の枝に腰掛けて池を覗きこみ、岸辺の穴ぼこに無造作に手を突っ込んで魚を探るといった、無防備極まりない活動を行っているものです。

では、なぜ子供のマムシ被害が少ないのか?

その疑問の答えとして、僕が前から考えているのが「マムシを意識しない人はマムシに咬まれにくい。」という、どうでもいい仮説です。

意識しないことが最良である事もある

昔から、山を歩く時は「前から2番目の人が蛇に咬まれやすい」と云われます。これには最初の通行人には蛇はビックリするあまり咬みつけず、2番目に通った人の足に咬みつく、という理由があるそうです。

それに照らして考えると、子供の思い切りのいい踏み込みが逆にヘビを躊躇させ、子供を被害から守るという「咬まれにくい理由」が成り立ちます。

Ulamba
Ulamba / Moving Mountains Trust

また、子供は常に棒を拾って草むらを叩いたり、石ころを拾って投げたり、意味なく奇声を上げたりといった、ありとあらゆる無駄な動きをしているので、それがマムシに対する事前の警告として働いているという要素もあるかも知れません。

どちらにせよ、恐れを知らないチャレンジが、結果としてリスクの回避に繋がる事は、ままあるもの。経験によって身についた知恵に自分自身が縛られていると感じたら、ふらっと山に散策に出かけて、何も考えずに笹薮に突っ込んでいた頃の事を思い出してみると良いのかも知れません。起業家のように人の通らない藪道を進まなければいけない人は、特に。

でもやはり危険は危険

しかし、これはあくまで仮説なので、実際の草むらに何も考えずに踏み込む事は避けた方がよろしいでしょう。子供の恐れを知らないスピリットはビジネスに向かう心構えとしてのみ参考にさせてもらおうと思います。

僕のように夏になると草むらに突入したくなる人は、くれぐれもご注意の上、野生ライフをお楽しみください。