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人はなぜ本屋さんに行くのだろう

人はなぜ本屋さんに行くのだろう

波多野 謙介

コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。

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いつのまにか、あまり書店に行かなくなってしまいました。

最近買った本を思い返してみると、どれもこれも「ブログで書かれていて面白そうだったもの」とか「Facebookで友達が推薦していたもの」であり、ネットで購入したもの。帰り道に駅ナカの書店によく寄るのですが、その場合もマンガの続巻が出てないかくらいのチェックをパッとして、すぐに出てきてしまう事がほとんどなのです。

books and castle
books and castle / Nufkin

我が事ながら、これはなにか、とても残念な感じです。例えるなら散歩の途中のすごく好きだった景色が、いつの間にか駐車場に変わっていたような感じ。

インターネットの無かった頃を思い返してみると、書店というのは最新の知識に触れることのできる、ほぼ唯一の場所でした。

特に田舎に住んでいた僕にとっては、書店こそが「外の世界」との接点、といった感じもあって、週に3回も4回も、飽きもせずに本屋に通っては立ち読みしていたものです。小学校高学年の頃に、初めて京都アバンティにあったワンフロア占有の巨大書店に入った時は、その圧倒的な「知識の量」に痺れたなあ。

本を選ぶ時間

今も昔も、書店に膨大な知識が詰まっているのには違いありませんが、変わったのは知識や情報の相対的な価値なんだと思います。

昔と違って、今は田舎に住んでいようが都会に住んでいようが、世界中に張り巡らされたネットを使って、学術論文だろうがエッセイだろうが、IR情報だろうが、あらゆる知識や情報を手に入れることができてしまう。

知識の世界が書店独占ならば、書店で本をパラパラとめくるために多くの時間を費やす事ができるけれど、情報や知識を得るための他の手段があるのならば、本を探すのにも効率が要求されるようになります。だからつい、本を選ぶこともネットで「効率良く」済ますようになってしまうのです。

これは、車や飛行機が発明されて、目的地には早く到着出来るようになったけれど、道中の風物とか景色をゆっくり味わえなくなった、という事に似ています。利便性が高まる一方で、大切なものに触れる機会が減るというのは、万事共通のようです。

でも、もう少し自分の趣味に使う時間ができるようになったら、再び書店で時間を使えるようになるのかも知れません。本棚を眺める中で、自分でも気づかなかった関心が喚起される、という書店の魅力には何者にも代えがたいものがありますし、小説とかの読み物については、実際に本をめくって文体を確かめてみないと好みがわからなかったりもしますし。実用書ばかりで読み物を読めなくなっている「余裕のない自分」にも問題はありそうです。

もっと余裕のある大人になって、再び本を選び時間を楽しめるように、このバタバタした日々を乗り切って行こうと思います。