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気が乗らない仕事を進めるために「キリがいい」という心理を利用する

気が乗らない仕事を進めるために「キリがいい」という心理を利用する

波多野 謙介

コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。

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日々こなしていく仕事には、どうしても気が乗らない、なかなか手をつけられないものが出てきます。ToDoリストを眺めながら「これはもう少し先でもいいか」と、いつも先にまわしてきた仕事に締め切り間際となって苦しめられる。わかっていても、なかなか手を付けることはできないものです。

もちろん、仕事を選り好みするのは良くありませんが、人間、好き嫌いはあって当然なものですから、自分の好みでは無い仕事でも、うまくこなす工夫をしていく事が、仕事全体の効率を底上げする事につながるものと思います。

Work
Work / @Saigon

そこで、最近考えたというか、自然とやっている事に気づいたのが、気の進まない仕事を進めるために「キリがいい」という心理を利用する方法です。

人間には、仕事とか遊びをキリの良い所で終わらせたいという心理があります。ゲームなら、面クリアした所で終わらせたいとか、ゴルフの練習ならいいショットが打てた所で終わらせたいとか。2歳の子供でも、ゲームを途中で取り上げると怒りますが「あと一回だけ」やってから終わりとすると、案外素直に終わってくれたりもするもの。キリが良くないと嫌、という心理は人によって程度の違いはあれ、人類共通のものと思われます。

「キリがいい」心理の利用

そこで、これを仕事に利用する事を考えてみます。まず始めにタスクを達成した時に得られる、簡単な報酬を設定します。「コーヒーを作って飲む」とか「トイレに行く」とかの本当に些細なもので良いです。しかし、これはあまり重要ではありません。

ポイントはゴールの設定です。「何をもってタスクを達成したとするか」を決めるのですが、気の進まない仕事については、これをとてもハードルの低いものにします。例えば「セミナーの招待状を作成する」というタスクであれば「以前に作成したセミナーのWord文書をファイルサーバーから探して開き、新しい文書にコピーするだけ」としてみます。めちゃくちゃ簡単です。

実際、このくらいのゴールであれば、達成に3分もかからないでしょう。これでコーヒーを作りに席を立つのはもちろん自由ですが、しかし文書を開いてコピーしたりして、目の前に文書が表示されてみると、人間無関心ではいられないもの。心のなかになんとなくモヤモヤと、キリが悪い感じが浮かんできていないでしょうか。その時あなたの脳は、文書の作成を進めるべく回転を始めています。

例えば題名部分だけは変えておきたい、とか、不必要な図は削除しておきたい、とか少し仕事を先に進めたいという欲が湧いてきていたら、すかさずゴールを再設定します。もともと報酬がたいした事ないので、少しくらい先延ばしになっても問題ありません。

そうして仕事を進めて行くうちに、どんどん気持ちが乗ってきて、頭が回転し、書くべき文章や構想が次から次へと頭に浮かんでくると、この動き出した回転を止めるのが惜しくなってきます。報酬は後回し、後回し。そして気がつけば、次の「キリがいい」タイミングは「文書を完成させる」になっている、なんて事もしばしばです。

しかし調子に乗って、お腹の調子が悪い時に「トイレに行く」という報酬などを設定すると、本当にいい感じで気持ちが乗ってきた時にトイレに行かざるを得なくなり、文字通り「断腸の思い」で仕事を離れざるを得ない事もありますからご注意頂きたいと思います。(これを僕はよくやります。)

なんにせよ、人間、食わず嫌いが多いものです。「始めるのが億劫」という心理をいかにコントロールするか、というのは、仕事でもなんにしても、大切な事のように思います。