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イケアがテレビを売るのは、テレビの存在が限りなく「壁面」に近づいたからじゃないかな

イケアがテレビを売るのは、テレビの存在が限りなく「壁面」に近づいたからじゃないかな

波多野 謙介

コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。

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テレビが薄型になってからというもの、テレビの存在感は「映像が映る壁」といったようなものに近づいてきていると思います。

ブラウン管時代のテレビというのは、本来は生活の場に不似合いな巨大な機器が部屋の中にどーんと鎮座していて、それを家族みんなが談笑しながらながめるという、一種特別な感じがあった気がするのですが、テレビが薄型になっていくにつれ、なんというか、感覚的にテレビが機械であることを忘れがちになっている気がするのです。

Television
Television / *USB*

今、テレビを機械っぽくしているのは、その周りにぶら下がった多くのAVケーブルとか、電源コードとか、HDDレコーダとか、そのような付属のモノ達であって、それらがなければテレビの機械っぽさはほとんど無いのではなかろうか。

そして本質的に、我々にとってテレビは機械っぽいものである必要はなく、ただ映像が映る壁面があればいい。我々は薄型テレビを手にすることによって、テレビは限りなく壁面に近づくことがベストなのだと、気付かされたのかもしれません。

そして壁面に近いテレビとは、もはや家電ではなく「インテリア」なのだから、イケアがテレビを発売するという事には、合理性のある判断のように思えます。

イケアから発売される「Uppleva」は、薄型テレビにテレビ台を組み合わせてブルーレイ、DVD/CDプレーヤー、スピーカーを一体化し、ケーブルを排除してインテリアとの整合性を高めた、家具一体型のテレビです。

Television
UPPLEVA - Bild+Ljud+Möbel - IKEA

「Uppleva」はインターネット接続とアプリを備えたいわゆるスマートTVのようなものになるらしく、そのスペックと合わせてニュース等ではスマートテレビの参入者の一つとしての扱いを受けているようにも見えますが、この製品がスマートテレビ的な機能を持っているのは、「スマートテレビ」としての価値を全面に出すというよりは、その機械っぽさをより「薄める」ための方策であると考えた方がしっくりくるように思います。

「Uppleva」は家具一体型の家電なので、純粋なテレビと比較すると、どうしても他の機器との接続性が弱くなります。外部のハードと接続せずに機能の拡張ができる設計にするためには自然に「スマートテレビ」のようなものに辿りつかざるを得ない。Upplevaがスマートテレビ的な機能を持つのは、このようにあくまでデザイン起点の理由によるものではないでしょうか。

Appleを最右翼として、Google等多くのメーカーが狙っているスマートテレビですが、市場を制するのは案外「これが次世代のテレビだ!」と鳴り物入りで登場する製品ではなくて、「デザインの事だけ考えてみました」みたいなUpplevaのような製品が、気づかない間にじわじわとシェアを広げ、いつしか事実上のスマートテレビの標準になるという事もあるのかも知れません。

このUppleva、2013年広域発売開始ということで、遅くとも2014年には日本でも発売されるでしょう。欲しいけど、今のテレビまだ買ったばかりだからな。。。あと5年は無いなあ。。