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ほんの少しのユーザビリティ改善で救えたはずの3万円の思い出

ほんの少しのユーザビリティ改善で救えたはずの3万円の思い出

波多野 謙介

コラボリズム株式会社 代表取締役で文系プログラマー。超朝型へのスイッチで、仕事と家庭の両立を目指す二児の父。

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僕は二十歳前後の頃にやたらとパチンコにハマった事があり、結構なお金と膨大な時間を無駄にした訳ですが、その結構な損失のうちおよそ3万円くらいは「パッキーカードのお釣り取り忘れ」というとてもくだらない理由で無くしたお金だったりします。

Ticket Vending Machine
Ticket Vending Machine / mynameisharsha

ご存知ない方のために補足しますと、パチンコの玉を買うには玉を買うためのカードを買わなくてはならない、というルールが当時誕生しまして(現在はどうなっているのかよく知りませんが)パチンコホールの中に、カードの販売機なるものが設置されるようになりました。

カードは2000円とか5000円とかの種類があって、販売機にお金を入れ金額を選択すると「ピピーピピー!」という音と共にカードが発行されるという仕組みです。電車のチケットやカードの販売とほぼ同じですね。

で、当時の僕は、このカードが発行されるやいなや、カードだけを握りしめてパチンコ台に戻り、お釣りの8000円を忘れる、というミスをたぶん4回くらいやっているのです。何という、何という無駄。パチンコという非生産的な活動の中で、さらに何の意味も無くただ金だけを無くす。改めて考えるとこのムダ感は大変なものがあります。

そんなムダを起こした原因が、若かりし僕のとてつもないアホさ加減であった事は言うまでもありませんが、このカード販売機のユーザビリティにも、実は重要な問題があったと思うのです。


簡単で効果的なユーザビリティ

非常に単純ですが、その問題というのは「お釣りが出てくる順番」です。

先日、JRの券売機で1万円札を使って数百円のチケットを買う機会がありましたが、この券売機では、まず最初にお札だけがピーピーと音をたてながら出て来るようになっていました。この時点ではチケットが出ていないので、買い手はお札を手に取るしか選択肢がありません。そしてお札をとって始めて、本来の目的であるチケットが発券されます。

この手順でお釣りを取り忘れるのは、チケットそのものを取り忘れた場合のみです。

しかし、当時のパチンコ屋さんのカード発行機はお釣りと同時にカードが発行される仕様でした。この仕様ではカードだけを手にとって、お釣りを取り忘れてしまう可能性があります。

ユーザーにはいろんな理由で急いでいたり、冷静な判断力を失っている人がいます。パチンコ屋さんには早く台に戻って続きを打ちたいという高揚感や焦りがある人がいますし、駅には電車に乗り遅れそうな人がいますし、銀行のキャッシュコーナーには、一刻も早くお金を引き出して待ち合わせに向かいたい人がいる。

誰もが使うサービスであればあるほど、そのサービスは誰がどんな状況で操作をしてもミスを発生させないようなユーザービリティが求められます。そのミスを発生させないユーザービリティとは、実は操作の順番をほんの少し変えるような、小さなシステムの改善で実現できるものがほとんどなのでしょう。

「パチンコ屋で失った3万円は貴重な勉強料だったんだな」と自分を無理やり納得させるためにも、こんな気づきを製品開発に活かして行かないとならないですね。