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実はアメリカ人も随意雇用(employment at will)を理解していない?

実はアメリカ人も随意雇用(employment at will)を理解していない?

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
第二次安倍政権の発足後、日本では産業競争力会議など、政府の様々な会議体で今後の雇用のあり方が議論されています。
その中、経済学者の池田氏と安藤氏との間で先般雇用の話が出てきた中で、以下のようなツイートがありました。


この随意雇用(employment at will)というのは、日本には無い雇用形態なのですが、ひょっとすると今後の雇用論議の中で出てくる可能性もあります。特に業績の悪い企業にとってはのどから手が出るほど欲しい雇用形態でしょうからね。。

ちょうどほぼ同じタイミングでアメリカの人事系サイトTLNTで、この雇用形態についての記事が出ていたのでご紹介します。米国の法的な文面の正確な日本語訳を確認する時間が取れないため、抄訳にてご勘弁下さい。

Employment At Will: The Most Misunderstood Workplace Principle


employment at willとは何か


Most Americans have a general understanding of the "employment at will" doctrine. They understand that it means that they are not guaranteed employment for any specific period of time.

In general, and at least intellectually, they understand that they can be fired at any time, and for any reason.

However, it is my experience that folks do not know what that overriding principle, that one can be fired at any time and for any reason, truly means and how it plays out in the workplace.

ということで、大方のアメリカ人は随意雇用の原則(doctorine)については知っていて、それは有期雇用ではなく、また、いつどんな理由でも解雇されることを意味することを文字通りには理解している、と述べています。
しかし、この原則があることで、どのようなことが自明とされ、それが職場でどう影響を与えているかについてまでは、それほど知られていない、と警鐘を鳴らします。

そしてまず、この原則が当てはまらない3つの労働者タイプをあげて、随意雇用の労働者と比較しています。

  • 組合員
  • 連邦および州政府職員
  • 個人事業主や経営幹部

組合員については、団体協約が結ばれており、これで解雇に至るまでにハードルが設けられており、政府職員は安価であるが故に理由なく解雇することは禁じられている、とのこと。

ただ著者は、この政府職員の話について、

Tell that to your local waitress or retail clerk!

と言っています。確かにもっと安い賃金で働いている人は多くいますよね。。

そして最後の個人事業主や経営幹部などは、一般的には役員のようなものなので、そもそも従業員としての雇用契約は結ばれておらず、個別の契約で正当な理由が無い限りは契約終了とはならない、と。


随意雇用だとどういうことが発生するか?


さて、そんな随意雇用だと、どういうことが発生するか?

  • 上司があなたのことを嫌いだから解雇
  • 上司が他の人をあなたのポジションに昇進させたいから解雇
  • あなたが何か悪いことをしたと会社が誤認しちゃったから解雇
  • 同僚が自分のことが嫌いで嘘の通報をしちゃったから解雇
  • ちょっとした口論の腹いせで解雇

うーん。
これこそ労働政策研究・研修機構の濱口氏が「貴様ぁ解雇」というやつですね。

当然ながら抵抗は可能なのですが、もし話し合いの結果あなたの無実が証明されても、会社側に再雇用する義務はありません。なぜなら随意(at will)なのだから。


アメリカにおける随意雇用の現在の課題


このような厳しい雇用形態ではあるのですが、

For many years, there was an unwritten contract between American companies and their employees. This contract said that if you came to work every day, did a good job, were productive, respectful and loyal to the company, then the company in turn would be loyal to you and would not terminate you unless there was good reason to do so.

とあるように、きちんと生産性高く、忠誠心厚く働いていれば、企業もそれに応えて、特に十分な理由がなければ雇用終了とはならなかったようです。ただ、

Those days are long gone.

そんな時代はとっくに終わった、と。。

そのため、昨今では以下のようにいろいろな法律が作られ、法で禁じられた内容で解雇されることの無いよう、取り締まりが為されているようです。

numerous state and federal laws have over the years sprung up to protect at-will employees from firings that come about due to nefarious reasons. The laws to which I refer to that are most familiar to the average American are Title VII (and similar state laws), the Family and Medical Leave Act (FMLA), the Americans With Disabilities Act (ADA) and the Age Discrimination in Employment Act (ADEA). Click here to read more about these and other anti-discrimination laws and how they work.

ただ、日本だけでなくアメリカや欧州でも話題になっている職場のいじめ(bullyiing)については、

Many courts are fond of saying that there is no "civility code" governing the workplace. I supplement that by telling callers that there are no "civil police" in the U.S. If a person is being subjected to mistreatment in the workplace, there are no "civil police" who will come to stop it.

特に決められた礼節に関する規約(civility code)は無く、それを取り締まる警察もいない、とのこと。 したがって、

unless the mistreatment is because of illegal motivations (i.e. discrimination based upon sex, race, age, etc.), the best one can do when being subject to unfair treatment at work is to try and work things out. This is the very essence of the employment at-will principle.

もし自分が違法(性別や人種や年齢などによる差別)ではないことに関して厳しい状況に直面した場合は、自力でなんとかするしかなく、これが随意雇用の本質(essence)だ、と纏めています。

今後の日本の雇用論議を、しっかりと注視していきましょう。お読みいただきありがとうございます!

~

現在、書籍の出版の準備を進めています。2003年以来ですから、当社としては10年ぶりになります。長かった。。
前の著作は残念ながら絶版になっているのですが、なんとか電子書籍化でも出来ないかと鋭意検討中。Amazonの評価はそれほど高くないのですが、日本と米国での雇用形態の違いや人事関連理論の紹介など、比較的わかりやすく書かれているとおもいますよ!
人事職の人事研修などに是非!(図書館などで.. orz 当社でもまだ在庫が若干ありますのでご入用の方は是非ご連絡ください!)