誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
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よりよい学習に不可欠な4つの要素

よりよい学習に不可欠な4つの要素

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
ダニエル・コイルという名の作家をご存じでしょうか。自転車レースのファンにはおなじみの名前かもしれません。薬物スキャンダルを描いたシークレット・レースの共著者の一人ですね。
彼の本職はノンフィクション・ライター。最近では「才能(talent)」に関する著書が注目を浴びています。和書としては「才能を伸ばすシンプルな本」が2013年6月に出版されています。
その彼が最近見つけた興味深い才能開発系のスタートアップ2社と、それから導き出した4つの教訓がまとめられた記事を紹介します。

Four Lessons from the Future of Talent Development


学習に関するトレンド


コイルによると、学習(learning)に関するトレンドが大きく変わってきているとのこと。

away from the traditional one-size-fits-all factory model of learning, and toward what you might call an organic-farm model: simpler, individualized, targeted programs that are more aligned with the way talents actually develop

〔近年の学習は〕伝統的な工場で作られた均質サイズの学習モデルを離れて、いわば有機農法モデルへと向かっている。つまり、才能が実践的に開発される流れに対応して、よりシンプルかつ個々人にフィットした、的を絞った形のプログラムへと変わってきているのだ。


有機農法モデルの4つの特徴


このモデルの特徴は全部で4つあります。

Focus on creating rich, people-centric ecosystems.

人を中心に置いた、内容が凝縮されたエコシステムを作り出すことに注力する。

真剣な協力関係(intense collaboration)があってはじめて最上の学習が生まれます。

Put fun first.

何よりもまず楽しく。

学習が荘厳かつ格式ばったものである必要は全くありません。

Design for lots of mixing.

多様性を前提にデザインする。

関係性構築やメンタリングを機能させる上で、過剰な区分/分離は不要です。

Focus far less on lectures/theory, and more on doing stuff.

講義や理論よりも、実践によりフォーカスをあてる。

知識は挑戦や行動の構成、大量の反復練習からしか育ちません。


3ヶ月でプログラマを育てる


ここでは2つのスタートアップが紹介されていますが、1社目はカナダ・トロントにあるBitmaker Labs

この会社ではアメリカ海軍特殊部隊の射撃教習にヒントを得たプログラミング教育が行われており、3ヶ月のトレーニングを経て、ITに関してほとんど経験の無かった卒業生の9割が、テクノロジー系企業に就職を決めているのだとか。
研修の中身は、よくあるような理論ベースのものではなく、50ほどのソフトウェア会社にヒアリングした内容を元に構成されており、実践的な内容となっているそうです。

an 80-hour prep course followed by nine weeks of project-based learning at Bitmaker's headquarters ? which, naturally, is open 24-7, the better to replicate the intensely immersive startup environment.

80時間にわたる準備コースが終わると、Bitmaker本社における9週間におよぶプロジェクトベースの学習が始まる。この本社は24時間365日開放されており、スタートアップが持つ特有の濃厚で物事にのめりこめる環境を再現している。


アメリカでサッカーを広める


もう1つの事例はミネソタにあるJoy of the People社

アメリカではサッカーは3大スポーツに比べると明らかに人気で劣っているのですが、それでもなお幼少期にサッカーに触れてもらい、あわよくばそのファンになってもらい、そして上達してもらうにはどうするか。思想としては単純で、

to provide American kids with the chance to learn soccer exactly as Brazilians learn it: having lots of fun in small spaces

ブラジル人が経験するような正確なサッカーの学び方をアメリカの子供たちが触れられるチャンスを提供する。つまり小さなスペースで大いに楽しむ。

そして空気注入式の小型サッカーグラウンドツールを作り、どんな場所でも楽しめる可動式の環境を作り上げています。是非ウェブサイトをご覧ください。何より重要なのは、子供は子供らしく楽しむ中で学んでいくこと。


翻って、会社などで実施されている研修は、心から楽しめる内容になっているでしょうか? 実施側もわくわくしながら研修を提供出来ているでしょうか。ここでの事例などを参考にしながら、より実りのある学習環境を作り上げていきたいところです。お読みいただき感謝!



当社が最初に出版した著書『「やる気」の構造』は長らく絶版となっていましたが、このたび、同文舘出版の厚意により、出版権フリーの著作として無料公開することが可能となりました。全文をPDFでお読みいただけます。

  • 日本と米国の人事制度は何が違うのか? なぜ異なっているのか?
  • やる気(ワーク・モチベーション)のメカニズムはどうなっているのか?
  • やる気を支える理論にはどのようなものがあるのか?
  • やる気を刺激する組織とはどのような組織か? どう実現すればよいのか?
  • やる気ある、燃える社員を育てるための人材マネジメントはどうあるべきか?

このあたりに興味・関心をお持ちの社員の方、人事担当の方、経営陣の方に、何らかお役立ていただけるのではないかと思います。以下のリンクよりダウンロードをお願いします。



当社の新著『やる気もある! 能力もある! でもどうにもならない職場 閉塞感の正体』では、根本的な改革においては組織内の構造にメスを入れるべきという理論を展開しています。Amazonにて、はじめにや目次、1章の最初の部分などをお読みいただけます是非ご覧ください。