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AppleやHPを凌駕するIBMの後継者マネジメント
»2011年10月27日
未来の人事を見てみよう
AppleやHPを凌駕するIBMの後継者マネジメント
人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。
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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
本日のエントリは後継者マネジメント(Succesion Management/Planning サクセッション・プラン)について。
IBMの次期CEOに初めて女性が選ばれることが、今週大きな話題となっています。
元記事はアメリカの新進気鋭の人事コンサルティングファーム、Bersin & Associatesによるものです。
Succession Management at IBM, Contrasted with Apple and HP
AppleやHPと比較する、IBMの後継者マネジメント
Ginni Rometty氏が次期CEOになるとのニュースが、アメリカだけでなくここ日本でもトピックとなっています。そしてこの出来事は
This transition shows an example of world-class succession management. It was predictable (IBM CEO's leave their jobs at the age of 60) and shows the results of years of development planning.
この移行は世界レベルの後継者マネジメントの事例としてふさわしい。予測可能な結果(IBMのCEOは60歳で退任することになっている)であり、長年の幹部候補育成計画の結果なのだから。
Rometty氏は1981年にSEとしてIBMに入社し、CEOの座まで上り詰めた才媛です。元PwCCの小職としては、IBMへの統合の時に見た顔だな、とちょっと懐かしい印象。
さて、このCEO職の移行、極めてスムーズに行われたわけですが、
Unfortunately, most companies do not invest the time, energy, and money to build such a disciplined process. IBM's talent management process is very mature, integrated, and global.
残念なことに、多くの企業ではこのような規律あるプロセスを作り上げるために時間、労力そして資金を投資することはない。IBMのタレント人材のマネジメントプロセスは非常に熟成され、統合的で、かつグローバルなのだ。
Bersinの調査によると、
only 19% of the large organizations we surveyed have a business-integrated strategy to identify and develop high-potentials. Almost half the companies we surveyed have an ad-hoc or locally managed approach - or no approach at all.
調査対象となった大企業のたった19%しか、高いポテンシャルを持った人材を発掘し育成する、ビジネスに直結した戦略を持ち合わせていなかった。調査対象企業の半数が思いつきもしくは極めてローカルに管理されたアプローチを取っているか、もしくは全く何のアプローチも持っていないかのいずれかだった。
ここでIBMと比較対象となっているのが、AppleとHPです。
Appleも以前から後継者管理のスキームをきちんと持っており、実権がスムーズにSteve Jobs氏からTim Cook氏に移ったように思えますが、
unlike IBM, where Palmisano stood aside calmly at the peak of his career, Mr. Jobs chose to work right up until his death. This is an admirable and inspirational approach, but it does not calm shareholders, customers, and employees.
IBMにおいてPalmisano氏が自らのキャリアのピークにおいて静かに席を離れるのと違って、Jobs氏は彼の死まで働き続けることを選んだ。これは称賛に値する、インスピレーション溢れるアプローチではあるものの、シェアホルダーや顧客、従業員は心を乱すことになった。
CEOの交代から株価は6%下落し、Appleをウォッチしている人々は次に何が起こるかナーバスになっている、といいます。
もう1社のHPについては、
Here is an iconic company, one of the pioneers of technology in the world, which has had a whole series of unplanned CEO changes.
ここは象徴として崇め奉られる会社であり、世界有数のテクノロジーのパイオニアであるが、無計画のCEOの交代を何度も行っている会社でもある。
Carly Fiorina氏、Mark Hurd氏、Leon Apotheker氏と続いて現在のMeg Whitman氏に至る流れにおいて、その全員が前任者と全く違うタイプであり、かつ取締役会が内部からの後継者を全く生み出せなかった、とのこと。ここ数ヶ月でも株価が32%下落しています。
AppleやHPのような優良企業においてもその運用が困難なほど、後継者マネジメントは難しいことの証左ですね。
重責を担うCEOについて、アメリカは外部からヘッドハントをしてくる印象がなんとなく日本にはあるように思いますが、GEをはじめ、意外とそうでない会社も多くあるのが実態です。といいつつも先のIBMはLou Gerstnerが外から入って変革を実現した、という経緯もありました。
But in most cases companies benefit greatly from building leadership internally - this develops candidates who have deep understanding of the business, know the company culture, and can calm investors and customers.
しかし多くのケースではリーダーシップ開発を社内で行うほうが効果が大きくなるのだ ― 内部昇格を通して候補者がビジネスを深く理解し、企業文化を知り、投資家や顧客を落ち着かせることが出来る。
IBMのアナウンスはシンプルではありましたが、その背景には
many millions of dollars of investment in high-potential identification, succession planning, developmental activities, and executive assessment.
何百万ドルという投資が、高いポテンシャルを持つ社員の発掘や、後継者プランニング、人材開発、そして幹部アセスメントにつぎ込まれているのだ。
とBersinは言います。
貴社の幹部候補育成や後継者マネジメントについて、IBMをお手本にもう一度プロセスを見直してみるのもいいかもしれません。
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