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隠れた逸材をいかに見つけるか~NBAでのジェレミー・リンのケースから

隠れた逸材をいかに見つけるか~NBAでのジェレミー・リンのケースから

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


クレイア・コンサルティングの調です。ご無沙汰してしまっています。図らずもこれまでの当社としては珍しい海外出張に行くこととなり、なんだかんだバタバタしておりました。
そうしている間に溜まってしまっていた海外系人事記事を昨日から必死に斜め読みしているのですが、海外の人事系ブログにおいても、今の話題はやはりこの人。

jeremylin.jpg

ジェレミー・リン - NBA日本語公式サイト
http://www.nba.co.jp/players/dtl.php?pid=202391



Linsanity(Lin-sanity)という言葉が飛び交っているのが面白いですね。これはinsanity(狂気)を彼の名前でモジッたもの。それくらいアメリカのスポーツ界、そしてファンが衝撃を受けているということでしょう。Timesの表紙を飾っています。



日本のスポーツ誌、Numberでも取り上げられています。

Number: ニックスに現れた救世主、J・リンの人気が沸騰中。
http://number.bunshun.jp/articles/-/198147


先週はダイヤモンド・オンラインにおいて、同じ日に2つの論考が出ていました。

岸博幸のクリエイティブ国富論
ダルビッシュの影に全米大注目の名選手が! 米国NBAでのアジア人旋風を見逃すな
http://diamond.jp/articles/-/16279


田村耕太郎の「坂の上に雲はない!」
二度地獄から這い上がった台湾系NBAスター ジェレミー・リンの成功に学べ
http://diamond.jp/articles/-/16280



いろいろ読んだのですが、ニュース記事以外の論考の内容としては、個人のキャリアに向けた者が比較的多めです。

例えば彼のように今日に至るまで自分は不遇なのだが、なんとかチャンスを掴みたい、と思っている方には、以下の2つの記事がおススメです。



まずForbes。


Just Lin, Baby! 10 Lessons Jeremy Lin Can Teach Us Before We Go To Work Monday Morning
http://www.forbes.com/sites/ericjackson/2012/02/11/9-lessons-jeremy-lin-can-teach-us-before-we-go-to-work-monday-morning/


上記の記事を受けてのTech Crunchの記事。特に"2. Seize the opportunity when it comes up."にフォーカス。


Seize Your Opportunities Like Jeremy Lin
http://techcrunch.com/2012/02/18/seize-your-opportunities-like-jeremy-lin/

(日本語訳) ジェレミー・リンのように、チャンスをつかめ
http://jp.techcrunch.com/archives/20120218seize-your-opportunities-like-jeremy-lin/



ところで、先のForbes記事の5番目のLessonは、


5. Don't overlook talent that might exist around you today on your team. You probably manage people at your own company today. Are you sure you don't have a Jeremy Lin living among you now? How do you know that "Mike" couldn't do amazing things if you gave him a new project to run with? How do you know "Sarah" isn't the right person to take the open job in London that you've been talking over with your colleagues? We put people around us in boxes. He's from Harvard. He's Asian-American. Not sure he can play. How many assumptions have you made about talent around you? Don't be like the General Managers in Golden State and Houston, and let talent slip through your fingers. With all their money, scouts, and testing, they didn't have a clue what they had in their hands. Do you know what your people (or even yourself) is really capable of? Take off the blinders of assumptions you wear when you look at the world.


となっていましたが、ご承知のとおり、彼をみすみす見逃したStanfordのScoutたちはコテンパンにやられている状態。そしてこういう事態は今の企業でも起こっているのでは?というのが人事系の方々の関心なのではないでしょうか。


ということでやっと本題ですが、Tim Sackett氏がTLNTに寄稿した記事をご紹介。



Do You Have a Jeremy Lin Hidden Somewhere on Your Staff?
あなたの部下の中に、隠れたジェレミー・リンがいるのでは?

http://www.tlnt.com/2012/02/21/do-you-have-a-jeremy-lin-hidden-somewhere-on-your-staff/



I can assume being the only Ivy League-educated, Asian-American in the NBA didn't help him get noticed for the simple fact that wouldn't get you noticed in the NBA. He didn't have Duke, UConn or North Carolina on his resume, the NBA doesn't care that he's smart, and few Asians (under 7 feet tall) actually ever get looked at for their basketball talent. He was a plow horse hidden in a stable full of race horses.

While this type of thing doesn't happen in the NBA, it does happen in your organizations all the time!


スカウト陣が彼を見逃したのは、バスケで著名な大学の名前がレジュメに載っていなかったり、身長が低すぎたり、そもそもアジア系だったりといろいろあるのだが、こういったことはNBAではめったに起こらない、でも我々の組織ではいつも起きてるじゃないか!と言います。NBAほど顕在化していないということかもしれません。


とはいえ、彼が言うように、一般の企業はNBAのようなプロスポーツが保有しているスカウト陣や専用のツール類を持っているわけではありません。でも出来るだけ、まだ見つかっていないダイヤの原石は見つけておきたいところ。


So, how can you ensure you don't have a Jeremy Lin sitting on your bench that you aren't utilizing, or worse yet, that you allow your competition to have?


そこには3つの要素があるといいます。



1. Smarts / 賢さ


There is a common saying in athletics: you can't "coach" size, meaning no matter how good of coach you are, it is still very hard to overcome a team with superior size and athletic ability.


スクリーニングをする上で、一定の基礎能力の高さはまず必要、とのこと。どんなにいいコーチでも身長などはコーチング出来ない、と。



2. Desire / 思いの強さ


Too many of our employees have the components to be great but lack the true desire to be great.
... little or no desire will kill your talent every time.


偉大になろう、成長しようという強い思いが無ければ、もともと持っているポテンシャルも活かせない。それはどんな職種でも共通。



3. Love / 愛情


You've got to Love what you do, Love your organization and Love your team. Those people are set up for success because there is no place else they would rather be...


そして何より、やっていることや所属する組織・チームへの愛情を持っていることが不可欠、と。



そして、


Just because you have one or two of these doesn't make you great, or even good - you need a lot of all three.
... You have too many good people sitting on the bench and waiting for their opportunity like Jeremy Lin. Open up your mind, really look for the combination of talent, desire and those who want to be with you - and put them into the starting lineup!...


この3つを全て兼ね備えていることが必要だ、といいます。採用や育成、評価・処遇等の人事制度、はたまた企業文化・組織風土を含めて、全方位的な対応が必要になる、ということになるかと思います。



特に2.や3.については、本人の意思であったり、企業として社員を失望させないような組織風土の醸成・コンプライアンスの遵守といった対応が必要になろうかと思いますが、1.についていえば、事業/ビジネスにおいての賢さは必ずしも座学のものというよりも、いわゆるコンピテンシー的な(潜在的)発揮能力のほうが近しいように思えます。そうすると、社員の採用や育成・評価を行う際には、表面的な能力・スキルだけでなく、成果や行動と、それを裏付けるコンピテンシーの保有度合をしっかり見極めることが重要になってくるかと思います。


一度、ジェレミー・リンのような逸材を社内に眠らせてしまっていないか、確認する手立てを講じてみるのはいかがでしょうか?


お読みいただきありがとうございます!



最後思いっきりつなげた感が(汗)。でも本当に、当社のアセスメントはこういうニーズにリーズナブルかつ真正面にお応えできるサービスかと思います。



そして、2013年採用をようやっと開始しました!



海外大学を卒業/卒業予定の方や、2012年卒の方などもご遠慮なくご相談くださいませ!