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人事に求められるコンピテンシー
当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
以前以下の2つの記事において、人事マネジメントの大家、Dave Ulrich氏が中心となって開発した、人事に求められるコンピテンシーの最新版をご紹介しました。
人事に求められるコンピテンシー最新版の概要と、クリエイティブな仕事をするためのルール
未来の人事に必須のスキル(先日のちょっと詳細版)、そしてこのブログの未来について
そのような中、アメリカの人事系最大の機関、the Society for Human Resource Management (SHRM) が独自に人事に求められるコンピテンシー像を発表し、論議を醸しています。
実業界団体による新たな人事コンピテンシーの定義
人事に携わる幹部をターゲットとしたHuman Resource Executive Onlineに、関連した記事が2つあがっています。
The Competency Question (7/31)
コンピテンシーに関する問い
コンピテンシーに関する問い
先の記事では、これまでUlrich氏の研究に協力してきたSHRMが、直近の調査には協力せずに独自のフレームワークを提供してきたことにUlrich氏が懸念を表明しています。この懸念はコンピテンシーの測定方法をどのような方法(自己アセスメントによるものか、360度評価によるものか)で行うかといった点など複数にまたがっています。
ただ人事の実践家の方々にとっては、折角発表されたこの2つのツールを、いかに有効に自社人事の強化に活用するか、に注力して検討を進めていったほうが、はるかに時間を有効に使うことになるのでは、と思います。
先のUlrich氏発表のコンピテンシーは以下の6つでした。
- strategic positioner
- credible activist
- capability builder
- change champion
- HR innovator and integrator
- technology proponent
今回のSHRMのコンピテンシーはそれよりちょっと多く、9つとなっています。見ていきましょう。
- Human Resource Technical Expertise and Practice: Applying the principles and practices of human resource management to contribute to the success of the business;
人事の技術面における専門的知識と実践: 人材マネジメントの原理と実践とを適用し、ビジネスの成功に貢献する
- Relationship Management Consultation: Managing interactions with and between others with the specific goal of providing service and organizational success;
関係性管理のコンサルティング: サービスと組織的成功をもたらすという特定の目標に基づいた、他者および他者間での交流のマネジメント
- Consultation: Providing direct guidance to organizational stakeholders (e.g., employees and leaders) seeking expert advice on a variety of situations or circumstances;
コンサルティング: あらゆる種類のシチュエーション・状況において専門的アドバイスを求める組織的なステークホルダー(社員やリーダー層)に対し、直接ガイダンスを提供する
- Organizational Leadership and Navigation: the ability to direct initiatives and processes within the organization with agility and to gain buy-in from stakeholders;
組織的なリーダーシップとナビゲーション: 迅速に組織内でイニシアチブとプロセスを統括し、かつステークホルダーからの承認を獲得する能力
- Communication: Effectively exchanging and creating a free flow of information with and among various stakeholders at all levels of the organization to produce impactful outcomes;
コミュニケーション: インパクトのある結果を創出するために、組織のあらゆる階層のあらゆるステークホルダーと、そしてそのステークホルダー間において、情報の交換と自由な流れを効果的に創りだす
- Global and Cultural Effectiveness: Managing human resources within and across borders and cultures;
グローバルならびに文化的な効果性: 国境や文化について、内外問わず人材マネジメントを行う
- Ethical Practice: Integrating core values, integrity and accountability throughout all organizational and business practices;
道徳的実務: 全ての組織的なビジネス実務において、中核的な価値観や誠実さ、アカウンタビリティを統合する
- Critical Evaluation: Interpreting information (e.g., data, metrics, literature) to determine ROI and organizational impact in making business decisions and/or recommendations;
批判的な評価: ビジネス上の意思決定や推薦における投資対効果や組織的なインパクトについて、データや統計、文献等の情報を解釈して意思決定を行う
- Business Acumen: Understanding business functions and metrics within the organization and industry.
ビジネス感覚: 組織内および業界におけるビジネス上の機能や数値を理解する。
どう実践で使えばよいか
定義物でもあり、文言が回りくどくて理解しにくいですね。イメージとしてはUlrich氏のもののほうが掴みやすい印象です。
SHRMの定義については、Ulrich氏のものとは異なり、より人事のキャリアパスに沿って、初級、中級、上級、幹部層の4階層での習熟度を表しています。
また、全体的にみると、SHRMの定義は個人のコンピテンシーに、Ulrich氏の定義は人事組織としてのコンピテンシーにフォーカスを当てているようです。
これをどう調理するか、人事の腕が試されますが、重要なのは、先にも述べたように、結局はこれらの基準をどううまく活用するか?という点です。少なくとも、2番目の記事の原題のとおり、人事の方が「今何をすべきなのか?」についての指針としての効果は充分にあるのではないかと思います。
夏季休暇明けの人事部・人事機能の強化において、何らか役立つ情報になれば幸いです。
ご一読ありがとうございました!