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生産性に関する理論は間違いだらけ

»2012年12月13日
未来の人事を見てみよう

生産性に関する理論は間違いだらけ

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
そのうちに日本の本家にも翻訳記事が出てくるかと思うのですが、その前に一足早く。lifehackerでの生産性に関する記事をご紹介します。個人の自己研鑽に関わるものが多いですが、人事部門に関わるものも出てきますよ。


1. 何を達成するにも早起きしなければならない


そんなことは無い、とのこと。クリストファー・ランドラーという生物学者が最初に唱えたそうで、2年前にもHarvard Business Review上でこの見解を擁護しているようですが、実は上記のようなことを言っているわけではなく、「早起きした人はより主体性があり、一日中より多くのことを成し遂げようとする」ということだけだそう。

それよりも

生産的かつ創造的になるには、結局は自分自身に合った時間帯に働くことこそが重要

とのこと。その意味では、フレックス制なども生産性の観点では利点があるとも言えますね。

2. スランプこそが力になる


スランプを脱却するには、そこに力を集中して、道を開いていくことが肝要、なんてことは無いようです。
この研究は40年も前に出されたものだそうですが、

意志の力や自制心なんてものは限りがあるので、使うとしても適切な場合のみに

ということで、むやみやたらに困難にぶち当たってもしょうがない、と。休憩するなり、いったん会社を出るなり、別の仕事をするなり、息抜きをすることこそが重要だそうです。

とはいえ、冗長性が無く世知辛い昨今、そんな余裕がある職場はそれほど無いかもしれませんが...

3. 複数のモニターを使用することで生産性が上がる、もしくは下がる


元も子も無い回答になりますが、

複数のディスプレイを使うことで生産性が上がるかどうかは、ひとえに仕事の内容とそのやり方次第

とのこと。Appleのディスプレイ発売と同時に研究結果が発表された経緯があるなど、こういった製品の使用と結びつく話については、眉つばもの(今でいうステマですね)と疑ってかかる必要があるのかもしれません。私のノートPCの前にも別個のディスプレイが一つありますが、結局はPC上でのAlt/Tabでの画面切り替えのほうが自分には便利ですね。

4. インターネット等による情報過多は我々を愚かにしているのでさっさとネットワークを切って仕事を成し遂げるべきだ


よくある言説は「情報の取得と吸収の仕方が変わった結果、より学ばなくなり、批判的に考えるのではなく検索で済ませ、データの有効性より量を重視するようになった」といったもので、それらは最終的に書籍の売上増に結び付けようとする話が多い(苦笑)とのこと。

しかし実際は

インターネット自体が人間を愚かたらしめているわけではなく、情報過多はフィルター設定の失敗によるもの

とのことです。それよりも、今影響が心配されているのは、

必要となる研究データについて記憶をしておこうとするのではなく都度検索しようとすること

にあり、実際に必要となるデータを探すときに、そこに瑣末な大量の不要な情報がくっついてくることについては生産性向上の邪魔にはなっている様子。いずれにせよ、個人の情報に対するマネジメント力の問題、とのことでした。

5. 実際に仕事をきちんと終わらせるのに、家やカフェ、図書館など会社以外の場所では所詮無理


もちろん在宅やノマドなど、日本でも議論がかまびすしい部分ではありますが、中国を舞台としたスタンフォード大学での調査でも明らかになったように

何週間か働いた後においても、家で働いた社員において明確な生産性の向上の兆候が見られた

とのこと。また、カフェのような多少騒がしい場所のほうがより生産性が高まる、という最新の研究結果も参照されています。あくまで"マイルド/ほどほど"の喧騒が好ましい、とのことですけども。

6. メールの山に埋もれないためには、ソートして振り分けるのが最強


もちろんGmailが推奨するように、全て検索で、という方も今は多いと思いますが、まとめると

メール量自体をまずは減らすために不要なものは受信解除し、ソート・振り分けは可能な限り自動化し、自分の意思で対応を決めるべきものは最小限とし、後はアーカイブ化するなり削除するなりする。そして後は検索で。

結局はシンプルなハウツーではないものの、これが最も生産性を高める方法なのだそうです

7. ○○○こそが全てを解決し、自分自身をより多くの時間を持つ幸福で生産性高い人にしてくれる


結局のところ、1.ともやや関連しますが

他の多くのことと同様、生産性は万能なアプローチを兼ね備えているものではない。極めて個人的なもので、この記事を含むすべてのアドバイスは、そのような(個人的な)ものとみなして捉えるべき

というのが総じての結論でした。


これが会社や組織における働き方、働かせ方、というトピックになると、物事はやや複雑になってきます。同じ目的を持ち、同じようなマインドセットで働く人々に対しては同じような働き方を推奨することは理にかなっているとは言えますが、そうだとしても個々人の性格や特性、能力の種類やレベルは様々であり、必ずしも万能薬のように効くワークスタイル、制度などというものは存在しないと言っていいかと思います。

その中で自組織にあった最適な枠組みを、可能な限り個別のニーズに応えながら構築し、その後不断の運用の中で丁寧にカスタマイズをかけていく、なんとも粘り強い取り組みこそが、最終的に自社の生産性を向上させる道なのかもしれません。

お読みいただきありがとうございます。

~

先週の金曜日に、職場の閉塞感と転職意向に関する調査結果を発表しました。このブログにおいても調査結果をダイジェストでお伝えしています。今社員がどのような意識でいるのか、それに対して企業はどのようにアクションを起こしていくべきなのか、そのヒントとなれば幸いです。