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閉塞感の正体(3)閉塞感の定義と、閉塞感を生みだすメカニズム《1》
»2012年12月19日
未来の人事を見てみよう
閉塞感の正体(3)閉塞感の定義と、閉塞感を生みだすメカニズム《1》
人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。
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クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
2012年12月7日に発表しました、本年6月に実施したビジネスパーソン1,000人を対象とした意識調査の解説の3回目。今回は、閉塞感が職場で生まれていくメカニズムについて見ていきますが、その前にまず、閉塞感の定義を考えてみたいと思います。
閉塞感の定義
実は広辞苑や新明解国語辞典といった主要紙媒体の辞書では、閉塞感というエントリは入っていません。しかし、最近ネット上の辞書において、ようやく閉塞感に関するエントリが出てくるようになりました。
へいそく―かん【閉塞感】
閉じふさがっている感じ。また、比喩的に、閉じふさがったように先行きが見えないさま。「のどに―がある」「―を打開する」
提供元:「デジタル大辞泉」
漢字の意味をそのまま直訳したものになっていますが、上にもあるように、比喩的には、閉じ塞がった結果、先行きが見えないことまでを含めて使用しているケースが多いと思います。
ちなみに「閉塞」については紙媒体の辞書も含め、たいていの辞書に載っています。
とじふさぐこと。とざされふさがること。 (広辞苑)
閉じ‐ふさぐ(ふさがる)こと (デイリーコンサイス国語辞典)
とじふさぐこと (岩波国語辞典)
1. 通路や出入り口がふさがること。また、閉じてふさぐこと。「運河を―する」「腸―」
2. 先行きが見えないこと。将来の見通しが立たないこと。「―状況」「―した経済」 (以上デジタル大辞泉)
当社では特に企業内の閉塞感について調べていることから、閉塞感の定義を
企業の中に生じている様々な閉塞的状況に社員が置かれたときに生じる、辛さや息苦しさといったネガティブな心情
と定義を行って、調査・分析を行っています。以降はこの意味でお読みください。
閉塞感を生みだすメカニズム《1》組織内の動きの停滞
2010年と2012年の2度にわたって、企業における閉塞感の調査を行いましたが、その中で閉塞感を生みだす組織内の環境、メカニズムが解明されてきました。
今回(2012年)の調査結果のリリースには掲載していませんが、閉塞感が生じる背景として、まず最初に次のような動きが発生していることが判明しました。
社員が「閉塞感」を感じる背景には、それまで組織内で実施されてきた様々な施策が実行されず、それに伴って組織内の「動き」や「変化」が長らく停滞していることが影響している。ポストの減少や組織のスリム化により昇進・昇格の機会が減ったことに加え、人員削減やカンパニー制の導入等により人事異動の機会も減った。また、景気変動に伴う新卒採用の抑制により、後輩社員が入ってこない期間が長く続き、何年たっても職務内容が変わらず、ひたすら今の仕事に従事し続けなければならない若手社員が増加することになった。
組織内の動きの停滞が、まず最初の構造的要因です。社員が上にも横にも動けず、下からも人が入ってこないために職務内容が変わっていかず、停滞している有様です。詳しい中身を見ていきましょう。
まずは昇進昇格機会の停滞です。昇進・昇格など、定期的/不定期的を問わず、社内資格や役職が上がっていく機会が減っている人・会社ほど、閉塞感を感じている人が増えています。責任や権限の増加、上位者との接点や部下の配属など、仕事のやりがいにつながるような変化を経験する機会が減ってきているのです。
また、特に年功的な運用が続いている会社で顕著に見られますが、通常のペースより早く上位のポジションに昇進・昇格するケースが無いと、とくに 優秀な社員がくすぶる事態が発生してしまいます。
では、上へ動けないとなった場合に、横に動いて新たな風を受けることが出来るのか?、というと、それもなかなか厳しいのが現状です。
もともと多くの日本企業では定期人事異動を行い、会社の全体像を社員に理解させながら人脈を形成させたり、多様な業務を経験させる人事慣行を実施していました。しかし業務の専門性の高まりなどを受け、組織内の人事異動の機会は徐々に減少しています。その結果、社員にとっては仕事がマンネリ化してしまい、「自分はいつまでこの仕事をやっていくんだろうか」「そもそもこの仕事はこの先もずっとこの会社に残るのだろうか」といった閉塞感を感じてしまうようになるのです。
それでもまだ新たな部下が増え、自身の仕事がより上位レベルに上がっていく、後輩社員に教える立場になる、といった変化が生まれてくればいいのですが、後輩社員の組織への配属は減ってきています。つまり、特に若手社員にとっては、今やっている仕事について、その内容だけでなくレベル自体が数年変わっていかないことを意味します。上へも横へも行けず仕事内容も変わらず、仕事のレベル自体も上がらない、という、まさに閉塞的状況が生まれてしまっているのです。
今回は組織内の動きの停滞について見ていきました。次回以降も閉塞感を生みだすメカニズムの解説を続けていきます。
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当社では2014年度の新卒採用を開始しました。ちなみに、2013年度についても引き続き受付を行っております。