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チームワークを機能させる5つのコツ
»2013年2月21日
未来の人事を見てみよう
チームワークを機能させる5つのコツ
人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。
当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
ブレイン・ストーミング(ブレスト)をはじめとしたグループでの思考は、新しい考えを生み出したり、今ある考えをさらにブラッシュアップしていくのに有効な手段だと考えてられています。しかし、
Much of the evidence-based advice available for improving teamwork and group decision-making seems intuitive. Yet, in so many walks of life, from board meetings to jury deliberations, the five principles above are ignored, allowing pushy personalities to dominate and bad reasoning to thrive.
チームワークやグループでの意思決定に関する科学的根拠に基づいたアドバイスのほとんどは、きわめて直観的に理解出来るものだ。しかし、取締役会から陪審審議に至る、実生活におけるあらゆる過程において〔下記に述べる〕5つの原理が無視される結果、押しの強い性格が場を支配し、誤った論拠が生き延びる結果を招いてしまっている。
とあるように、実はチームワークを正しく機能させるためには、直観や本能に従うのではなく、正しいやり方でやらないと、本来出すべき成果を出せないか、それだけでなく、当初想定よりも悪い結果を生み出すことにもなりかねないのだそう。
心理学博士のChristian Jarrett氏が99uでまとめている記事を紹介します。
5 Evidence-Based Ways to Optimize Your Teamwork
心理学に関する知見が近年とみに高まっているように感じます。おそらくはインターネットとソーシャルメディアの影響が大きいのでしょうが、学術論文の内容が広く市井に伝わるようになったからだと思われますが、Jarrett氏によると、チームワークに関する研究もここ10年で多く出版されているとのこと。そこから明かされるチームワークに関する5つの原理は以下となります。
1. Note everyone's initial ideas. / 事前に個々人のアイデアを書きだしておく
チームワークの一番の利点は、Wisdom of Crowds(群衆の叡智)だと言われます。
※上記リンクがいずれも2006~2007年あたりなのが、なんとも時代を感じさせます。
この原理自体はJarrett氏によると20世紀初頭からあるようなのですが、これを機能させる最大の決め手は
this group wisdom effect only applies when each person's input is kept independent and free of outside influence.
この集団知は各人からのインプットが独立的に確保され外部からの影響から自由である限りにおいて効果を発揮する。
ということなのですが、2011年に行われた実験によると、実際に
group wisdom was undermined when team members were given the chance to modify their initial answers based on feedback about what others had said.
他のメンバーの発言によるフィードバックを受けて当初の考えを変えてしまう機会を与えられることにより、集団知は低下してしまう。
このようなことが明らかになったのだそう。声の大きい人に引っ張られる、という現象ですね。したがって、
by making sure team members write down and share their initial thoughts and ideas before group discussion begins.
グループディスカッションを始める前に、チームメンバーが自分の最初の考えやアイデアを書きとめて、その上でシェアするように仕向ける。
集団活動を行う前の準備段階がまず重要、とのことです。
2. Test drive the team. / チームを試運転させる
人材アセスメントという、人を測定・選抜する手法があります。これは、対象者をある状況に仮想的に起き、そこでの行動などを観察することで、将来発揮できるであろう能力(通常コンピテンシーと呼びます)を測定し、それを人事戦略上の選抜・抜擢・育成などに使っていく手法です。そこでは前提として
if they do well in the test context, they'll also excel on future projects.
もしテスト上の文脈でうまく振る舞えるのであれば、未来のプロジェクトでも同様に卓越するはず。
という仮説があるのですが、同様の理論が個人だけでなくチームでも当てはまることが2010年のアメリカでの研究で判明したのだそう。
a team that does well in one situation will tend to do well on other challenges too.
ある状況で良い結果を出すチームは他の挑戦においても同様に優れた結果を出す傾向にある。
ではどうすればよいか、というと、ある重要なプロジェクトをあるチームに任せようと思った場合、その前に別のテストケースをやらせてみて、そのチームがうまくいくかをまず試してみる、といったやり方が考えられますね。いきなり任せてみて失敗、となるよりかは、まず事前にパイロットプロジェクトを実施する。これはシステムをはじめとして、大規模な仕組みを導入する場合は通常行われるであろう方法ですが、これをチームワークにおいてもやってみる、ということです。
ところで同じ調査で明らかになったこととして、
a team's average performance is not necessarily related to the individual intelligence of each member. Rather, group ability was enhanced by having team members who scored highly in "social sensitivity."
チームの平均的なパフォーマンスは、各メンバー個人の頭の良さと必ずしも関連はしていない。むしろチームメンバーに「社会的感受性」の高い人を参加させているほうが、グループとしての能力を高める結果となった。
ベスト・アンド・ブライテストもこの流れになるでしょうか。女性のほうがこの共感力が高いため、女性を入れたほうがチームはうまくいくのだそうです。件の大統領チームには積極的に関与した女性はいなかったような(正確はところはわかりませんが)。
3. Mix up group membership. / メンバーの種類をごちゃまぜに
If the same personnel always work together, there's a risk of the group becoming insular and detached from reality ? part of a process known as "Groupthink."
もし同じメンバーで常に働いていたとすると、グループの視野が狭くなり、現実から乖離していく可能性が高くなる。俗に言う「集団浅慮(グループ・シンク)」プロセスの一部だ。
日本では蛸壷化、英語でもsiloという言い方がありますが、多様な意見が反映されなくなり、短絡的な結論にしか結び付かない傾向は万国共通です。しかしビジネス上でこのような事態が起こってしまうと、事業リスクが高まり大変危険な状況に陥ります。
A sure way to stop these processes from taking hold is to ensure there's a periodic influx of fresh blood into the team. ...
familiar teams feel friendlier and more creative, but it's newly formed teams that often generate more and better ideas.
このようなプロセスから逃れる確かな方法は、定期的にチームに新鮮な血を投入することだ。 ...
チームメンバーがお互いを見知っているチームは仲が良く創造性も高いが、より多くのより良いアイデアを多くの場合に生み出すのは新たに形成されたチームなのだ。
"influx"という単語が出てきましたが、この言葉の元となったのはflux(流動)。以前とりあげた「フラックス(flux)世代」は、いわばこの新たなチーム形成を日常的に行っている、とも捉えられます。
4. Conduct a pre-mortem. / 前もって失敗時の検視を行う
大きなプロジェクトが頓挫・もしくは失敗した場合、たいていその後に原因の究明が行われます。しかし、本来はプロジェクトが失敗することを事前に予知し、避けることのほうが重要なはず。Gary Klein氏という意思決定に関する専門家は、
a technique called the pre-mortem ? a form of "ritualized dissent"
生前葬と呼ばれるテクニック ― ある種の「儀式化された異議申し立て」
を提案しています。これは、今稼働中のプロジェクトについて、問題が起こって頓挫したという場面を仮設定し、なぜそういうことが起きたのかの原因究明を行う、というもの。これによって、
This fosters an atmosphere that values the input of those who have doubts and reservations. Most importantly, the technique highlights ways to strengthen the project plan before lift-off.
疑念や隠しごとを明らかにすることを称える雰囲気を醸成することが出来る。そして最も重要なこととして、このテクニックはプロジェクトが離陸する前に計画を強化する道筋を明らかにしてくれる。
ちなみにmortemとはラテン語で「死」を意味します。そこから通常は"post(-)motem"=「死後」≒「検視」と意味がつながります。pre-motemは、死の前、ですね。
5. Pay attention to when. / 時間を意識!
まずもって、
what they do best ? executing the ideas that are going to turn your project into a success.
彼らが最も得意なこととは、プロジェクトを成功に導くようなアイデアを実際に実行すること。
なわけですから、いつまでものんべんだらりとブレストをしているわけにはいきません。さらに、
perceptions of meeting quality weren't related to the length of the meeting or the number of breaks, but to whether or not meetings started and ended on time.
会議が意義深かったかどうかは時間の長さや休憩の多さなどとは全く関係せず、会議が時間通りに始まり時間通りに終わったかに左右される。
ということがアメリカでの研究でわかったとのこと。
では具体的にいつどのようにやるべきか?というと、
If you only have one team session a week, consider Tuesdays at 3 p.m.
もし週1回だけのセッションであれば、火曜日の15時に実施すべし。
この時間、もっとも頭が柔軟に働く、という分析データが出ているそうです。そして、
pay attention to your agenda, ...
decision-making groups allocated more time to earlier items, meaning that important items lower on the agenda were neglected.
議事の進行にも気を配るべきだ。 ...
意思決定を行うグループはより多くの時間を先のほうのトピックに振り向けるが、それは裏を返せば、後の方に回された重要なアイテムは無視されるということを意味する。
という1990年代の研究もあるとのこと。
そして、別の研究によると、立ってやるほうが、座ってやるよりも平均34%早く終わるのだそうです。
すでに明らかになった上記のような科学的根拠に基づく工夫で、チームワーク・グループワークをより活性化させてみてはいかがでしょうか。ご一読感謝!
~
上記2.でも取り上げたように、人の潜在能力・発揮能力の把握には、人材アセスメントが最適です。チームのアセスメントには、例えば熟練のファシリテーターを介しての目的性のあるワークショップなどが使えると思います。