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面接を受けるなら早めの時間に。採用する企業側もバイアスにご注意を。

面接を受けるなら早めの時間に。採用する企業側もバイアスにご注意を。

クレイア・コンサルティング

人事・組織領域を専門とする経営コンサルティングファーム、クレイア・コンサルティングの広報・マーケティングチームです。

当ブログ「未来の人事を見てみよう」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/creiajp/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


クレイア・コンサルティングの調です。こんにちは。
就職や転職を希望している方には全くもってコントロール不能な話です。面接の時間を希望できるなら早めの時間が吉ですね。
そして、企業やNPOなど人を雇う側に、是非このバイアスを認識しておいて欲しいところです。

University of PennsylvaniaのWharton Business Schoolの最新の研究結果から。

Why Being the Last Interview of the Day Could Crush Your Chances

就職や転職の際、特に定員が決まっている場合には、その職に応募する人全てがいわば仮想敵になるという印象があります。しかし、事態はそう単純なわけではないようです。


競争は狭い範囲で起こる


not only must prospective students or job seekers compete against a crowded field of equally appealing candidates, but they also must shine when compared to the randomly selected cluster of applicants who have interviews scheduled on the same day.

受験者や求職者は、同じようにアピールしてくる一定の集団の中だけで争うのではなく、実際はランダムに選ばれた当日に面接した人たちの中においても輝かしい戦果を収めなければならない。

どういうことかというと、例えば50人の中から5人を選ぶ、という選考が5日間に渡って行われる場合、受験者・求職者は、50人全体の中の5位以内に入れるよう頑張ろう、と思うわけです。

これは至極真っ当な考え方なのですが、問題は、面接官の立場にたって、彼/彼女がこのような形で1日10人を5日間連続で面接する場合、判断を行う側が、ついついそれぞれの日で、その日のベストな人を選んでしまう傾向がある、というのです。

したがって、5日目に面接を受けた2人が、実は50人の中で最優秀な2人だったとしても、すでに前の4日間で4人を選定してしまっている場合、この2人のうちどちらか1人は落ちてしまう可能性がある、ということになります。不条理なのですが。

この現象は"narrow bracketing"(狭い括弧付け)、と呼ばれるもので、

narrow bracketing is when an individual makes a decision without taking into account the consequences of many similar choices.

narrow bracketingは、多くの同様の選択の結果を考慮に入れずに意思決定をする際に起こるもの

と定義されています。

ルーレットにおいて、全体で見ると黒と赤が出る確率は同じなのにも関わらず、直前の数回だけ黒が極端に続いたのを見て、次は赤だ、と勝手に思ってしまう、つまり、無意識的に視野を狭めてしまうことが由来とのこと(実際には黒が極端に続くまえに、赤が極端に続いていたのかもしれませんが、そこまでは考慮に入らない、ということですね)。


最後の一人は受かりにくい


さて、先の話には続きがあります。

面接の5日目に、確定ではないけれどもすでに3~4人を候補として選んでしまっていたとします。その日に5人を順に面接していく中で、最初の2人がある程度候補に入れてもしかるべき優秀な人材だと判断されました。

そして、その日の最後(そして全体でも最後)の1人がこれまたある程度優秀だったとします。ひょっとしたら先の話と同様、50人の中で最優秀だったかもしれません。しかし、この場合、面接官としては、すでに残り1人もしくは2人の枠については、その日の最初の2人にその枠を提供しようと"無意識的に"目論んでいたことから、"無意識的に"最後の人の評価を事前にやや低めに見積もってしまうのです。

「あ、これは期待したほどではないな。普通だな」と。

つまり、

長い期間で選考を受ける場合はなるだけ早めの日受けたほうがいい、というだけでなく、選考が長く続く場合は、それぞれの日においても早めのタイミングで面接を受けたほうが受かりやすい、ということになります。


企業に対する処方箋


当然ながら選定・採用を行う組織側も、このバイアスには注意せねばなりません。うっかり最後の方に受けた超優秀者を見逃す可能性があるわけですから。著者のおススメとしては、

to have interviewers enter each applicant's scores into a spreadsheet or database program that would help them monitor the results of their interviews over time and keep focus off that day's crop of candidates.

面接者に全ての応募者の点数をエクセルやデータベースに入力してもらい、常にその結果を一覧表示できるようにしておき、特定の日の候補者だけに意識が集中しないようにしておくべきだ。

とのこと。著者自身がローテクと認めていますが、一覧性をよくして、より公平な選考を行うよう、工夫していく必要があります。

この傾向は採用だけではなく、人事考課などの評価にも該当します。ご注意を!
お読みいただきありがとうございます。

~

こういったバイアスを排除し、客観性を持たせる方法の一つに、第三者評価を入れる方法があります。当社では人材アセスメントを提供しています。