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因果関係を探る習慣の大切さ

因果関係を探る習慣の大切さ

開米 瑞浩

IT技術者経験をバックグラウンドに、技術系の専門的な情報を「分かりやすく書く」スキルの指導を得意とするドキュメント・コンサルタント。技術者向け文書作成研修経験多数。

当ブログ「技術屋のためのドキュメント相談所」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/doc-consul/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


「わかりやすく書く技術」のトレーニングを行っている開米です。

この月末に2冊刊行される予定の私の著書のうちの1つ、技術評論社から出る分についても見本が届きました。

<文章嫌いではすまされない! > エンジニアのための伝わる書き方講座
http://www.amazon.co.jp/dp/477416576X/

IMG_6018_400.jpg

この本は技術評論社のIT専門誌、Software Design 誌に2回特集記事として書いた「文章術・図解術」に関する内容に大幅加筆したものです。

そのうちの一部を紹介しますと

2014-0624-01.PNG
(同書p.36)

意味のある順番に並べることが大事、という、まあ当たり前の話なんですが、当たり前すぎて軽く見られるのか、これは意外におろそかにされていることが多いですね。

たとえばこういう例文を見てみましょうか。

【課題テキスト】
さまざまな形式の大量データを高い圧縮率で蓄積することにより、省電力と省スペース化が可能になり、環境配慮とコスト削減を同時に実現することができます。
(同書p.36)

これだけの文だと短いし大したことも書いていないので、さらっと読み流すとたとえばこういう論理構造と思ってしまう可能性があります。↓

2014-0624-02.PNG
(同書 p.37)

高圧縮ストレージを使うことにより、4つのメリットが得られる、ということ・・・ですが、本当にこれで正しいでしょうか? 実はこれは少々詰めが甘いもので、もう少し分けたほうが良いのです。

4つのメリットのそれぞれの間に、何らかの因果関係はないのでしょうか? と考えると実は存在するので、それをきちんと見極めて、分けて書くことが望ましいのですね。

「因果関係」というのは、「順番」を考えるときの大きな手がかりです。走り読みしてわかった気になるだけだと、意外なほど誤解が多いもの。因果関係がありそうなところについては厳密に追及してみる習慣をもっておきましょう。

「わかりやすく書く」力を上げていくためには、こういう短い文でも論理構造をきちんと考えて、正確にはどういうロジックなのかを追及する姿勢が大事です。

それを、この本のように他人が用意した例題で考えてみるのももちろん役に立ちますが、実際に自分が職場で「あれ? これなにかおかしくないか?」と感じた文について短時間でもいいから考えてみるのが非常に効果的。

でもそれも1人でやっていると、答えが見えずに行き詰まってしまうことがあります。
そんな時はこんなイベントをご利用ください(^_^)/

開米のドキュメント道場、リアル開催(第1回)のお知らせ
http://ideacraft.jp/cms/work/bme/450-2014-06-23-01-33-45.html
(明日、6/25開催ですが、もう1人ぐらいは入れます)

では、今回の「高圧縮ストレージ」例文のさらなる構造化例についてはまた次回。