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マンガ喫茶の「おすすめコーナー」に置くマンガの選出ポイント

マンガ喫茶の「おすすめコーナー」に置くマンガの選出ポイント

初月 ヘチマ

打てば響く*叩けば鳴る*当たれば砕く*思う念力、岩をも徹す! ……をモットーにフリーランスライター&アクター&アルバイター=”フリーター”をしております。ブログではアルバイト先の漫画喫茶やライター取材の模様を綴ってます。

当ブログ「フリーター、ブログを書く」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/freiheitjob/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 はじめまして、こんにちは。都内の某マンガ喫茶でアルバイトをしている初月ヘチマです。マンガ喫茶は近年、旅行先などでカプセルホテルの代わりに利用する人が増えたことで知名度が上がってきましたが、まだ「よく知らない」という人も少なくないのではないでしょうか。
 このブログを通じて、少しでも多くの人にマンガ喫茶とはどういうお店なのかを知ってもらえたら幸いです。

・マンガ喫茶来店のメインの目的は「マンガを読むこと」
 世間では「インターネットカフェ」と同義語として扱われているマンガ喫茶ですが、前者がパソコン利用希望者を主な対象としているのに対し、後者はマンガを読んで休める場所を求める人を対象としています。私が勤めるマンガ喫茶も(ここでは伏せますが)、いかにもインターネットカフェといった名前です。客層をみると、6~7割方のお客様がマンガを読むことを目的に来店しています。
 なぜそんなことが分かるのかというと、東京都の条例により都内のインターネットカフェは会員の登録をしないとインターネットが利用できないからです。初めて利用する人は、身分証の掲示と会員登録の手続きが必要となります。
 ところが、新規のお客様の半分近くは「インターネットの接続を切断して良いから利用したい」と言います。すぐに利用できると思って入店したのに足止めされるのが嫌なのだろうと思いますが、そもそも来店の目的がインターネットの利用なら、面倒でもそのまま会員登録をするか、もっと簡単な場所を探したりするはずです(どちらにせよ都内はどこも登録が必要です)。それをしない人が多いということは、それだけマンガを求めて訪れる人が多いということです。

・特設コーナーを設置した理由
book.jpg さて、前置きが長くなってしまいましたが、マンガを読みに訪れるお客様が多いということは、それだけ

どのようなマンガをおいているのか

ということが、重要になってきます。
 私の勤めるお店では現在、「このマンガがすごい!2014」に基づいたマンガをランキング順に並べた特設コーナーを設置しています。
 もともとこの場所は新刊のマンガや雑誌を置くコーナーでしたが、私が店長に頼んで作ってもらいました。私の意見が他の店舗にも反映されたのかどうかは分かりませんが、今では系列の店舗のほとんどでこのようなコーナーを設置しています。
 私がこのコーナーを設置してもらった理由は4つです。

  1. 取り扱いコミックスのマンネリ化防止
  2. 面白いマンガの分かりやすい指標になる
  3. マンガに詳しい人も詳しくない人も楽しめる
  4. 単純に私が読みたかったから


 1~3はまじめな理由です。

1.取り扱いコミックスのマンネリ化防止
 このコーナーを設置するまでは、一度仕入れたマンガは次の巻が出ると新刊として定期的に入りますが、それ以外はメディア化など、注目されない限りなかなか入れてもらえませんでした。
 そのため、面白い新連載が始まっても入れてもらえず、店内のコミックスにはほとんど流動性がないという、マンガをメインで扱うお店としていかがなものかという状態にあったのです。

2.面白いマンガの分かりやすい指標になる
 マンガを雑誌で定期的に読んでいる人は、新連載に目を通す人も少なくないでしょうし、面白いマンガにも出会いやすいでしょう。しかし、「コミックス派」の人はどうでしょうか。
 よく知らないマンガの第1巻に手を伸ばすことは、なかなか勇気のいることだと思います。このコーナーでは「面白いから、とりあえず1回読んでみろ」とお客様に分かりやすく訴えているのです。ランクインしたすべてのマンガにはあらすじも載っているので、普段マンガにあまり触れない人でも「こういう系のお話だったら読んでみたいかも」と思わせる効果があるのです。

3.マンガに詳しい人も詳しくない人も楽しめる
 マンガに詳しい人であれば、このコーナーのマンガは「オススメされなくても知ってる」という作品がほとんどでしょう。しかし、少年、少女、青年、レディースも、すべてのジャンルを網羅している人というのは、果たしてどのくらいいるでしょうか? 私もとにかく何でも読みますが、面白いと言われなければ手を出しにくいジャンルはあります。

 4.はアルバイトとしての、私の個人的な願望です。勤務時間外であれば、スタッフもマンガを読んでもいいので、読みたいと思ったモノはできるだけ入れてもらうように頼んでいます。
 もちろん何でも入れてもらえるわけではありませんが、過去何度か入れてもらったモノの中には映画やアニメなどのメディア化に繋がっているものもあるので、その感覚を買われて私は多少のわがままをきいてもらってます。

 以上の理由から、「このマンガがすごい!」のランキングに基づいたおすすめマンガコーナーを設置したのですが、モヤモヤすることが1つだけあります。
 それは3月27日に発表された「マンガ大賞2014」です。

mangataishou2014.jpg

 「このマンガがすごい!」が宝島社によるランキングであるのに対し、「マンガ大賞」はマンガ大賞実行委員会という独自の団体が選考しています。つまり、主催が違うのです。
 ですから「このマンガがすごい!」に基づくコーナーと「マンガ大賞」のコーナーを別々に設置できればそれがベストですが、ランキングをよく見てみると、

【マンガ大賞2014】
1位 『乙嫁語り』
2位 『僕だけがいない街』
3位 『さよならタマちゃん』
4位 『七つの大罪』
5位 『ひきだしにテラリウム』
6位 『重版出来!』
7位 『ワンパンマン』
8位 『亜人』
9位 『足摺り水族館』
10位 『坂本ですが?』

【このマンガがすごい!2014<オトコ編>】
1位 『暗殺教室』
2位 『坂本ですが?』
3位 『亜人』
4位 『重版出来!』
5位 『七つの大罪』
6位 『進撃の巨人』
7位 『ひきだしにテラリウム』
8位 『甘々と稲妻』
9位 『オンノジ』
10位 『宝石の国』

と、選考員は違うはずなのに、このように重複する作品が多いのです。
 「このマンガがすごい!」の<オンナ編>は「マンガ大賞」のランキングとは全くカブっていなかったので省略しましたが、「マンガ大賞」は男性・少年向けにやや偏っている傾向があるのかもしれません。1位の『乙嫁語り』は女性向けだと思いますが、なぜか「このマンガがすごい!」<オンナ編>にはランクインしていません。

 「マンガ大賞2014」は発表されたばかりなので、できるだけ店内の陳列に反映したいのですが、棚1つ並び替えるだけでも相当な時間がかかるため安易に配置換えはできません。かといって、今あるコーナーに吹き出しをつけて「マンガ大賞では●位です」とするのも、ゴチャゴチャして見栄えが悪いように思います。このあたりが、少しモヤモヤするところなのです。。。
 お客様が手に取りやすいようにと設置された「おすすめマンガコーナー」ですが、設置して終わりではなく、まだまだ改良が必要なコーナーなのです。