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こんにちは。今年の東京はギラギラと暑い予感が早くもしています。
さて、今回は
『ベンチャー企業のメディア戦略、うまくいく会社、うまくいかない会社の違い』について。
特にこの1年で、弊社取引先のベンチャー企業がメディアに出ることが増加しました。
クライアントのベンチャー社長からメディアに出たいのでメディア関係者を紹介してくれと言われることもとても増えました。
私はメディアについては慎重です。ベンチャー企業の支援をして10年ほどしていますが
メディアを活用して成功している会社もありますが、メディアにでたものの逆にそれが致命傷になってしまうケースも多く見てきました。
これを良い機会だと思い、どのような会社がメディアをうまく活用して成功しているのか、クライアントを掘り起こして考えてみました。
結論を先に言うと、
『ユーザー志向でユーザーに評価される良いサービスを創っている会社が勝ち残る』
という極めて、極めて、当たり前のことに行き着きました。
メディア活用は大きく3つのパターンがあります。
1)打ち上げ花火型 : まだ実績がないが、やろうとしている事業をPRして、期待感を醸成し、顧客獲得、仲間を増やす。この指とまれ型とも言える。
2)社長PR型 : 社長が顔と名前を売ることを目的に、とにかくメディアに出る。PR会社を活用し能動的にメディアに出るパターン。
3)実績PR型 : サービスがユーザーに評価され、口コミなどでユーザーが広がっている状況をメディアがキャッチし、伝えるパターン。
先ほど記述したようにうまくメディアを活用しきれているパターンは3)実績PR型だと思います。他の2つ、1)打ち上げ花火、2)社長PR がダメと言っているわけではないのですが、継続成長している良い会社ほど3)の実績PR型です。
この実績PR型の会社がメディアを活用し、成功している王道プロセスは以下のような順序です。
【メディア活用アマテラスモデル】
A: いいサービスを創る
⇒ B: ユーザーから評価される(アーリーアダプター中心)
⇒ C: メディアがその動きをキャッチしてPRする
⇒ D: 潜在ユーザー(マスユーザー)が認知しサービスを使う
⇒ E: サービスが拡大
極めて当たり前のことですが、<A> でユーザーに評価されるいいサービスを創ること、これが大事です。
弊社のクライアントで堅実に成長して今ではとても有名になったベンチャー企業があります。でもそこの社長、一切メディアにPRしてこなったと言い切ります。
じっくり時間をかけて実績と強みを構築してきた。その結果、メディアが勝手に集まってきて気付けば有名になったといいます。
ではメディアに取り上げられてもなかなかうまく行かない会社に多いパターンといえば、Aのサービス構築の部分が曖昧、緩い状況にも拘わらずとにかくメディアに出て有名になってしまおうというという部分にあると思います。
上記のアマテラスモデルに当てはめると
①いいサービスかどうかわからない
②ユーザーから評価も受けていない
③にも拘わらずメディアに出て、期待感を煽る。
④ユーザーが訪れる、問い合わせが来るが、まだ実体がない。
⑤裏切られた感が残り、もうサービスに関心をもってもらえない。オオカミ少年化。
過去、ヒルズ系のベンチャー企業を支援していたころ、打ち上げ花火系のメディア戦略がとても多かったことを思い出します。
でも結局はオオカミ少年のようになってしまいました。(有名になることが目的だったのであればそれはそれで成功ですが。)
ユーザー側も目が肥えてきているので、かつてのようにテレビに出た、メディアやニュースにでたから"拍手!すごいね!"という時代は終わりつつあると思います。
誤解を恐れずに言えば、メディア側の人達は記事が売れればよい、発行部数が増えればよい、PVが増えればよい、というところが大きいと思います。
メディアを活用して失敗したとしてもメディアは責任をとってくれません。小保方さんのケースが良い例です。彼女が賞賛されようが叩かれようがどちらでもよくて発行部数さえ増えればよいという(大方の)メディアの思考が今回よくわかったと思います。ですからメディアを活用するベンチャー企業はメディアに踊らされずにあくまで良いサービス・プロダクトを作ることを最優先にしてほしいと思います。
株式会社アマテラス
代表取締役 藤岡 清高