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マーケティングは「自分の物語」を語ってもらうためにある。

マーケティングは「自分の物語」を語ってもらうためにある。

赤沼 悠介

外国人をマーケティングリサーチのモニターとして提供する事業を展開後、新たなステージに突入する。

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マーケティングは、物語を語ることである。これは私の持論であるが、もう少し詳細に話したいと思う。まず、そもそもなぜ物語を語るのかという事である。我々人間は実は物語なしでは生きていくことは出来ない。我々は実は関係性の中でしか生きることが出来ない生き物である。私たちは必要とされないことはしたいとは思わないし、誰からも批判されることはしたがらない。人は自分がここにいるということを常に認めて欲しい生き物である。そのために、様々な事をする。仕事だってそうだ。どんな職業に就くのかはその人がどのように人々から認めてもらいたいのかということを表している。人間の殆どの行動は自分を認めてもらいたい一心で行っていると言ってもいいほどだ。物語はそんなとき誰もが使う手段である。自分の物語を聞いてもらうことで他の人に自分の存在を強く印象づけるのである。決して、論理的に語ったりはしない。そんな人間は何の魅力もない。やはり、話が面白く興味深く魅力的な話をする人間は人生において充実感がある。物語は自分を認めてもらうための最善の方法であるし、それは人間が古代の時代から行ってきた行為である。

マーケティングではそこに注目するのだ。誰もが自分の物語を語りたがっている。しかし、多くの人は上手く語ることが出来なかったり、素晴らしい物語を自分の中に持っていない。それを少しでも自分自身の物語を語ることが出来るようにしてやるのがマーケティングの役割である。アパレルや化粧品は、これまでと違う自分を語る為のよく使われるアイテムである。だから、アパレルや化粧品会社のマーケターは、どんな物語を彼・彼女たちが語りたがっているのかを調べる。その上で、その見つけたコンセプトを新商品に結び付けることで彼・彼女たちの物語にまた一つ魅力的な要素を付け加えるのである。

よく口コミが大切だといわれる。これはまさにこういう事である。彼や彼女たちが自分の物語を語りたいのに語るに値するものがない。そんな彼らに語ることのできるモノをネタをコトを提供することによって口コミを発生させるのである。よく口コミを発生させるために面白い動画を作ろうとするが、単に面白い動画を作ってもその動画の内容が自分自身を語る上での魅力的な要素になっていなければ口コミが広がっていくことはないのである。

マーケティングは常に人々に寄り添い、人々が何を語りたいのかという事を常に調査しなければならない。そして、彼ら彼女らがより魅力的な自分の物語を語る上で必要なものは何なのかということを考えつくさなければならない。そして、それを形あるものにして、それを伝えなければならない。マーケティングとはそういう役割であると私は思っている。