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「大衆演劇」の意外に大きな市場規模

「大衆演劇」の意外に大きな市場規模

平本 隆之

大阪・東京を中心に、これまで様々な業態の事業を展開中。それらの体験・実践をもとに、IT関係・外食産業・商業施設・M&A投資などのコンサルタントとしても活動。特技は、不動産投資。趣味は、ゴルフに音楽。最近は和服にも凝っている。

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大衆演劇.gif

派手な衣装にべったりした白塗り。
大きなミエ切りに、股旅もの、チャンバラ、人情劇、舞踊、演歌。。。

おそらく誠ブログに集う人々は、
ほとんど興味がないであろう大衆演劇

しかし、この大衆演劇。驚くなかれ、
日本全国で連日100カ所以上の会場で1日2回上演され、
意外なほど大きな市場規模を持っている。

果たして、どのくらいの規模なのか、ざっくり計算してみよう。


大衆演劇「公式」総合情報サイトhttp://0481.jp/によると、
劇団数は170以上に及ぶ。
ただし、活動停止中の劇団も含まれているようなので、
実際のところは、それよりも少ないようだ。

といっても会場として登録されている施設は190以上であり、
平成23年10月には、実際に117会場で上演されている。
したがって、ほぼすべての劇団が、
毎月どこかで公演しているといってもいいだろう。

さて、大衆演劇が上演される会場であるが、
常設の劇場は25程度、その他は旅館・ホテルや大規模温泉施設などである。
だいたいの客席数は100~200名と小規模なところが多い。
入場料は、1,300円~2,000円程度である。
ここで、旅館・ホテル等の場合は、観劇料が宿泊代に含まれているが、
これも通常の観劇料で計算してみたい。

1会場平均定員150名として70%の観客とし、
観劇料は1,500円とすると、1日通常2回公演なので、

150名×70%×2回×1,500円×117会場=36,855,000円

1年で350日公演と計算すると、
36,855,000円×350日=12,899,250,000円
つまり、年間129億円ほどの観劇料収入となる。

ところが、大衆演劇の収入はこれだけではない。
それは、大衆演劇独特の「おひねり」である。
「おひねり」とは、役者に対するチップで、
コアはファンにとって、
祝儀袋や万札をお気に入りの役者の胸元に差し込んだり、
クリップで留めたりするのが粋な楽しみ方となっている。

景気がいい頃には、1万円札で作ったレイを
役者のクビに掛けたりしたようだが、
この不景気と呼ばれている昨今においても、
結構な万札が飛び交っている。

私がこれまで見た限り、まあ少なく見積もっても、
1公演10万円くらいはあるように思われる。
もし、この推測が正しければ、

100,000円×2回×117会場×350日=8,190,000,000円
「おひねり」での収入は、年間約82億円となる。

これを観劇料と合わせれば、
129億円+82億円=211億円の市場規模となるのだ。


さあ、ここでその他の演劇の市場規模と比較してみよう。
「ぴあライブ・エンタテインメント白書」2009年度版を見ると、
2008年度の演劇市場は、
ステージ:動員数2,325 万人(対前年比3.4%増)、
市場規模:1,671 億円(対前年比3.9%増)
となっている。

この数字に大衆演劇分が
含まれているのかどうかはよくわからないが、
(ひとり平均7,000円くらいなので、
おそらく含まれていない気がするが)
「ぴあライブ・エンタテインメント白書」の数字を信用するならば、
大衆演劇は、演劇市場の10%以上を確保していることになる。

ちなみにお笑い/寄席・演劇市場は、
同じく「ぴあライブ・エンタテインメント白書」2009年度版
によると、2008年度で、1671億円の1割弱程度であるという。
大衆演劇は、この数字をも大きく上回っているようだ。


大衆演劇、恐るべしである。
機会があれば、ぜひ一度観劇することをお勧めしておこう。


*人気が非常に高くなり、
 大きな劇場で公演するようになった劇団はのぞいて考察。