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HOME'Sマーケットレポート 2010年度 第4Q

HOME'Sマーケットレポート 2010年度 第4Q

大出 裕之

日本最大級の不動産情報ポータルサイト『HOME'S』で、マーケットデータの編集担当をしております。HOME'Sマーケットレポートなど。まだHOME'Sを知らないという業界のかたはこちらの不動産業向けサービス概要ページをごらんください。 「このサイト(ブログ、アカウント等)に記載する内容は私個人の見解であり、必ずしも株式会社ネクスト(またはグループ会社)の立場、戦略、意見を代表するものではありません」

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アパート問合せ物件の半数が礼金0 物件に

HOME'Sマーケットレポート 2010年度 第4四半期版を先日公開しました。  こちらは通常の月次とは別に、直近3ヶ月を確認しつつ、数年にわたる推移を振り返るレポートです。第4四半期版の対象は、2011年1月~3月となります。

■首都圏の賃貸市場

●アパート礼金は10年8月を底に上昇傾向続く

首都圏の賃貸マンションは、平均坪賃料、平均敷金、平均礼金のすべてが下落を続けました。平均礼金は07年12月を100として10年12月の68.13ポイントから11年3月の66.65ポイントに下落しています。

ところが賃貸アパートの平均礼金は、10年12月の76.20ポイントから11年3月の77.58ポイントに上昇し、マンションとの違いがみられました。礼金もオーナーにとっては重要な収入源であり、下落しすぎた礼金設定の揺り戻しが起きていると考えられます。

総じて首都圏の賃貸市場においては、平均坪賃料が繁忙期直前に少し上昇し、繁忙期を通じて下落する例年と同様の動きになりました。


●平均坪賃料はこの3年間で最低の水準に

首都圏賃貸マンションの問合せ平均では、平均坪賃料が07年12月を100として、10年12月の94.24ポイントから11年3月の89.38ポイントと約5ポイント下落し、この3年間で最低の水準まで来ています。平均敷金・平均礼金も同様に下落しています。

賃貸アパートでも、平均坪賃料が07年12月を100として、10年12月の95.43ポイントから11年3月の89.22ポイントと、5ポイント以上の下落を見せました。平均礼金も、10年12月の64.66ポイントから11年3月の55.98ポイントと約9ポイント下落しました。賃貸アパートでは掲載物件の平均礼金が上昇しているため、需要と供給に大幅な開きが発生しています。

総じて賃貸マンションも賃貸アパートも、例年通りの各指標の下落を見せた繁忙期でしたが、この3年間で最低の水準まで来ていることがわかります。


●11年3月のアパート問合せ物件の半数が礼金0物件に

賃貸マンションでは、問合せ物件中の敷金0物件割合、礼金0物件割合が11年1月を底に増加に転じました。マンション掲載物件と比較して、敷金0物件割合で約10%弱のかい離が出ていますが、礼金0物件割合は11年3月時点でほぼ均衡しました。

賃貸アパートでは、特に11年3月に敷金0物件割合が約4%、礼金0物件割合も約5%、前月と比べて急激な上昇を見せました。これにより、問合せ物件のほぼ半数が礼金0物件という状態まで達しています。

1月から3月にかけて0物件割合が増加するのは例年通りです。繁忙期前半は引越し日程がずらしにくい住み替え検討ユーザーが多く、敷金・礼金といった一時金を気にしない傾向がありますが、後半のユーザーは実質的に引越しタイミングが4月以降となり時間の余裕があるユーザーも多く、一時金の多寡も問合せの要素の一つになりやすいと考えられます。


■首都圏の流通物件市場

●マンション築10年以上問合せ物件の、平均坪単価の上昇トレンドが終息

築10年未満の流通マンション掲載物件の平均坪単価は、この第4四半期は10年12月と比べ約5ポイント下落しました。問合せ物件の平均坪単価は08年12月を100として、10年9月に104.59ポイントと急上昇して以降下落し、その後大きな増減はありません。

築10年以上の流通マンション掲載物件の平均坪単価は、この第4四半期は下落を続け、08年12月を100として100ポイントを切りました。この1年半ほどでゆっくりと上昇してきた問合せ物件の平均坪単価が、09年6月の底付近まで戻ってしまったことになります。

流通マンション市場では、第3四半期後半からの問合せ物件の平均坪単価下落に引きずられる形で、掲載物件の平均坪単価が下落していることが見てとれます。

●一戸建て問合せ物件の平均坪単価は、この2年で最低の水準に

築10年未満の流通一戸建て掲載物件では、平均坪単価がこの第4四半期は0.5ポイントほどわずかに上昇しました。問合せ物件の平均坪単価は、11年3月で前月から5ポイント以上下落し、08年12月を100として最低となっています。

築10年以上の流通一戸建て掲載物件では、平均坪単価が前の第3四半期と比べて約5ポイント下落し、わずかに上昇した築10年未満との差が出ました。問合せ物件の平均坪単価は、築10年未満同様に08年12月を100として最低を記録しました。


●土地掲載物件の平均坪単価は、この3年で最低の水準に

流通土地の掲載物件では、平均坪単価がこの第4四半期は継続して下落し、この3年の間で最低の水準となりました。問合せ物件の平均坪単価は、11年1月に約5ポイント上昇したものの、その後は続けて下落しています。

問合せ物件の平均坪単価は、08年12月を100とした場合、この2年間では09年12月に72.7ポイントと最も底をつけています。需要の動向次第ではこれをさらに下落することも考えられます。

●需要と供給について

掲載物件の平均値と、エンドユーザーから問合せがあった物件の平均値とでは、差が発生します。HOME'Sサイト内で問合せがあった物件の平均値を需要とし、掲載されている物件の平均値を供給とすると、物件検索の過程における需要と供給の関係にあたります。

この需要と供給のギャップ、需給ギャップについても、賃貸アパートと築浅売買一戸建てについてレポートしております。