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「借金嫌いな日本人、どうする住宅ローン」~住宅は現金で買うべきか、ローンで買うべきか?~

「借金嫌いな日本人、どうする住宅ローン」~住宅は現金で買うべきか、ローンで買うべきか?~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

当ブログ「世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/hyas/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。




はじめまして! ハイアス・アンド・カンパニーの川瀬と申します。
ハイアス・アンド・カンパニーという会社は「住宅不動産を納得し安心して取引できる環境を作ること」を理念としており、住宅・不動産業界に新しい仕組みを提供したり、個人の皆様の勉強会や個別相談などもしております。
本日より、誠ブログをご覧の皆様にファイナンシャルプランニングや金融・住宅・不動産の視点から、私の日々の活動を基にちょっとした情報をお届けしてまいりたいと思います。また、政治・経済の時事にも興味をもってますので、そのとき気になったテーマを随時取り上げてみたいと思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

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今回は、
「借金嫌いな日本人、どうする住宅ローン」~住宅は現金で買うべきか、ローンで買うべきか?~
というテーマで考えてみたいと思います。

住宅を購入する際に現金とローンはどう考えたらよいでしょうか?お金がある方はある方なりにお悩みは多いのです。

調査によると住宅購入者の約20%は住宅ローンを組まずに買う、つまり全額自己資金で購入されているそうです。実際、私どもの住宅購入相談会や住宅ローン相談会などでも「ローンは嫌いなので、なるべく現金で買おうと思います。」という方が少なからずいらっしゃいます。最近は堅実な人が多いのか、もしくはそういう余裕のある人しか住宅購入を検討していないのかはわかりませんけれども......。

「現金かローン、どっちが良いか?」と言われても、もちろんその方の価値観次第なので「こっち!」ということは断言できませんが、ファイナンシャルプランニング(FP)的に考えるとどうかということをみてみたいと思います。


■ローンを考える3つの要素とは?

ローンを使うかどうかは、次の3つの要素の状況で判断できると思います。

 まず1つめは
「金利」
 現金支払いとローンの違いは、ローンには利息がかかることです。利息額を決めるのはもちろん住宅ローン金利。住宅ローン金利が1%違うだけで、総支払額では数百万円も変わってきますからね。

 2つめは
「ローン税制」
 平成25年までですが、今は「住宅ローン減税」という制度があります。ローンを組んだ方には収めた所得税の範囲内で当初10年間、毎年住宅ローン残高の1%相当分が年末調整で還ってきます。
 今の金利はとても低い水準にあります。変動タイプでは1%前後、10年固定タイプでも2%を切るようなものがいっぱいあります。そして今なら住宅ローン減税で1%還ってくるのです。ということはうまく安い金利のものを選べば当初10年の利息負担は、ほぼゼロというケースもあるわけです。

 3つめは
「保険機能」
 住宅ローンには「団体信用生命保険」という保険がついています。お借入ご本人がお亡くなりになったり、重い病気になったりした時にはその保険が下りて住宅ローンの残債がなくなります。最近はガンや成人病などの特約を付けることもできます。これが住宅ローンの保険機能といわれるものです。


■借金はいやだ!という方もご一考を

FPの観点でいうと、そういう万が一のときや収支状況の変化の時に備えて、家計には最低半年分程度の生活費相当の貯蓄を推奨しています。

例えば、「2500万円」の貯蓄がある方が「2500万円」の住宅を現金で購入するとしましょう。ローン負担はありませんが、貯蓄もなくなります。これでは万が一の時の備えがないことになります。住宅ローンを組めば、万が一の時にはローン残債は保険で無くなり、貯蓄も残ります。
ですので、借金が嫌だという方も全額自己資金にこだわらずローンの組み合わせも考えられるとよいでしょう。

例えば上のケースで言えば、1500万円の住宅ローンを組んで、残りの1000万円を現金で出す。家計には1500万円を残して家計の備えとしておきます。もちろん預金や債券などで上手く運用してもよいでしょう。負担となるローン利息部分は今の低金利とローン減税の恩恵を受ければ、万が一の時の備えも万全な状態で、なおかつほぼ利息負担なしで生活がすることができますね。10年後にローン減税が終わったら、金利や家計の状況を見て繰り上げ返済しても良いでしょう。

今の金利水準とローン税制、そして住宅ローンの保険機能を考えたら、今は全額現金で買うより、賢くローンを組み合わせた方が良いように思います。


今回は以上です。次回もお楽しみに!


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