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『老後の備え不足 67% あなたの場合は大丈夫?』~老後の不安に立ち向かうにはどうすればいいか?~

『老後の備え不足 67% あなたの場合は大丈夫?』~老後の不安に立ち向かうにはどうすればいいか?~

川瀬 太志

ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。

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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。

3人に2人が老後の備えに不安をもっているそうです。

みなさんはどうですか?


<老後の備え不足 67% 内閣府調査 >

(2014年5月18日付 日本経済新聞)

35~64歳を対象にした内閣府の調査で、老後の経済的な備えが足りないと感じている人が66.9%に上ることが17日、分かった。現役世代が公的年金や貯蓄・退職金の取り崩しだけでは老後の暮らしに不安を抱いている実情が浮き彫りになった。65歳を超えても働くことを希望する人は約半数だった。

 

年齢別に見ると、「足りない」は特に40歳~44歳が74.4%で最も多かったようです。(ほぼ)私の世代ですが、40代は住宅ローンや教育費などがかさむ年代ですから、まだ老後への備えが出来ていないのはよくわかります。

 

では、「いくら必要だと思うか?」という問いには、2,000万円(19.7%)、1,000万円(19.5%)、3,000万円(19.1%)と、ほぼ同じ割合で並びました。

つまり・・・、「いくらあったらいいのかはよくわからない」ってことでしょうね。


■さて、老後にはいくら必要か?

さて、本当のところ一体いくらくらいの貯蓄が必要なんでしょうか?

よくある考え方ですが、総務省の家計調査年報(平成24年度)にもとづき「65歳の夫婦2人暮らしで、85歳までの必要貯蓄額」でざっくり計算してみましょう。

 

まず「支出」です。

世帯主が60歳以上夫婦2人無職世帯の平均支出は月23万9,878円。約24万円です。

 

24万円×12か月=288万円(年間支出額)

×20年=5,760万円 (85歳までの総支出額)

 

一方、「収入」です。

家計調査でいうところの「社会保障給付」(主に公的年金)が月20万4,976円。約20万円です。

 

20万円×12か月=240万円(年間収入額)

×20年=4,800万円 (85歳までの総収入額)

 

以上より、

支出5,760万円-収入4,800万円=960万円。

65歳時点で、1,000万円程度の準備をしておけば良いということになりました。

 

でも、「いや、2,000万円~3,000万円は必要でしょ」という方も多いのはなぜなんでしょうね?


■不安に立ち向かうにはどうすればいいか

平均的な年金をもらって、平均的な暮らしをするなら、1,000万円くらいの貯蓄があれば85歳までは夫婦2人で何とか暮らせそうです。でも、それだけでは「足りない」という人が多いのは、「旅行などしてゆとりある老後にしたいから」という方もいるでしょう。また「自分たちが老後を迎える頃には年金や経済状況などは変わっているのでは?」という不安がある方も多いのではないでしょうか。

 

  • 高齢化と少子化が進み、年金財政が厳しくなる中、自分たちの時には月20万円も年金はもらえないのではないか?
  • 支出もこれからインフレになることを考えたら月24万円では暮らせないのではないか?
  • 消費税も10%どころかもっと上がるかもしれないし、光熱費などの生活費もどこまで上がるかわからないし。
  • さらに、もし夫婦どちらかが病気になったりしたら・・・。

 

・・・といった感じで考え始めると不安だらけになるのでしょう。

 

老後のことだけに限りませんが、先のことがどうなるかなんて誰にもわかりません。

でも、だからと言って何もしなかったらいつまでたっても不安のまま。

 

こういう不安には前向きに立ち向かわなければいけません。

老後の家計設計を具体的に考えてみましょう。

 

計画するには、ぼんやりと「老後」とするのではなく、年代を区切って考えてみるといいと思います。

老後といっても60歳代と80歳代では生活が違いますからね。

 

(1)    今から60歳まで

まず、おそらく仕事の節目になるであろう60歳までの貯蓄額の目標を決めましょう。

毎月の積立や退職金も含めて、60歳時点でいくらの貯蓄をするか。

目標額はいくらでもいいと思います。

もし目標額にたどり着かなくても、まだ60歳で働けるなら生活は出来るはずで、すぐさま生活に困窮するわけではないでしょうから。

まず目標を決めて準備をする、ということが大事です。

準備については、銀行の積立預金や積立型投資信託、個人型確定拠出年金や個人年金保険などでもいいと思います。老後資金は元金を減らさないことが大事ですので出来るだけ安全なものがいいと思います。

個人的には、老後資金の準備には銀行の預金よりは利率の良い返戻率があって、途中解約も可能な個人年金保険がお勧めだと思います。支払った保険料に応じて所得控除も受けられますし。

個人年金保険をベースに、ほかにも少しはリスクをとって株の運用もやるなど、バランスよく老後資金づくりをされていくと良いと思います。

 

(2)    60歳から65歳まで

働けるうちは働きましょう。働きながら余裕があれば積立も続けるといいと思います。

65歳までは年金は支給されませんが、どうしても生活が厳しくなったら年金の繰り上げ支給を受けることもできます。(ただし減額はされます)

 

(3)    65歳から75歳まで

65歳から年金受給が開始されます。個人年金保険を受け取るのもこのタイミングがいいでしょう。

もし年金が月15万円くらいしかないとしても、年金保険と合わせて25万円くらいの収入は確保したいところです。もしまだ働けていて、給与収入などがあると生活はとても楽になります。旅行などを楽しむこともできますね。

 

(4)    75歳以降

75歳を過ぎるともう働くのは難しくなっているかもしれませんが、生活費もぐっと減ります。(60代と比べて平均5万ほどの差)

住居さえ確保しておけば生活費はあまりかからないので年金と積立の取り崩しの範囲内で生活は十分だと思います。あとは健康で長生きしたいですね。


■老後は誰でも不安

確かに老後のことを考え始めたら誰でも不安になります。

どんどん老けていきますし、若い頃の元気もなくなっていきますしね。世間のニュースは不安をあおるようなものばかりです。そんな時に「老後に不安はありませんか?」と聞かれたら、ほとんどの人は「不安です。」と答えるでしょう。

でも、私たち日本人は少し不安になりすぎているようにも思います。

確かに年金制度は今のままではないかもしれませんが、無くなることはありません。

「健康でさえいれば生活はなんとかなる」くらいにもっと楽に考えてもいいかもしれません。

考えすぎて、暗くなって、健康を損なったりしたら元も子もありませんからね。

老後にもちゃんと向き合って準備をして、気持ちを前向きに、健やかに暮らしたいものですね。

 

今回は以上です。
もっと日本が良くなりますように。

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