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「円安・ドル高は続くのか?」~ドルを取り巻く環境の変化とは?~
»2013年2月19日
世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる
「円安・ドル高は続くのか?」~ドルを取り巻く環境の変化とは?~
ハイアス・アンド・カンパニー取締役常務執行役員。都市銀行・大手経営コンサルティング会社・不動産事業会社取締役を経て現職に。住宅・不動産・金融の幅広い経験を元に、個人の資産形成支援事業を展開中。
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こんにちは!ハイアス&カンパニーの川瀬です。
G20では政府の円安誘導にクギを差されましたが、果たして円安は政策だけで実現できるものなんでしょうか?今回は円安ドル高について考えてみます。
円安が急速に進んでいますね。
昨年暮れに野田元首相が衆議院解散宣言を出した頃から円安に動き始めましたが、その時点で1ドル=79円台だったものが、今では93円台です。おかげで円安の恩恵を受ける輸出企業を中心に株価も回復して、なんとなく景気が良くなったようなムードになってきました。
でもこの急速な円安にドイツやフランスや新興国が怒ってしまい、欧米の報道では「通貨戦争!」と書き立てられました。
日本がその通貨戦争批判の矢面に立たされたわけですが、先週末にモスクワで開かれたG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議)ではなんとか日本への名指し批判は回避されました。実質的に日本の金融緩和は容認されたようです。
これは当然の結果ですね。
これは当然の結果ですね。
金融危機後の景気回復のためにアメリカでも欧州各国でもずっと金融緩和をやってきています。「いまさらどの口で日本を批判するのか?」というのが私たちの正直な思いですよね。
日本だって金融緩和を最近始めたわけではなく、もうずいぶん長い間やっています。民主党政権時は円高を阻止するために政府が円売りの市場介入までしました。それでもほとんど効果がなく、円高に歯止めはかかりませんでした。今は、金融緩和はしているものの市場への介入はしていませんし、せいぜい政権トップたちが口先介入する程度です。それで「円安政策はやりすぎだ!」と言われても困りますね。
でも確かに今は円安に動いています。
日本だって金融緩和を最近始めたわけではなく、もうずいぶん長い間やっています。民主党政権時は円高を阻止するために政府が円売りの市場介入までしました。それでもほとんど効果がなく、円高に歯止めはかかりませんでした。今は、金融緩和はしているものの市場への介入はしていませんし、せいぜい政権トップたちが口先介入する程度です。それで「円安政策はやりすぎだ!」と言われても困りますね。
でも確かに今は円安に動いています。
さて、なにが変わったのでしょうね?
■為替は何で決まる?「通貨政策・金利差・経常収支」
そもそも市場原理に基づいて動いている為替に対して政府ができることなど限りがあります。
■為替は何で決まる?「通貨政策・金利差・経常収支」
そもそも市場原理に基づいて動いている為替に対して政府ができることなど限りがあります。
確かに政府要人の発言もひとつの要素ではありますが、それだけで決まるほど相場はシンプルではありません。
為替は各国の通貨政策だけではなく、景気の動向や金利差、経常収支など様々な要因の結果で動きます。
為替は各国の通貨政策だけではなく、景気の動向や金利差、経常収支など様々な要因の結果で動きます。
今回の円安は確かに政権交代がきっかけではありますが、私は基本的には米国景気の回復による「ドル高」の要素の方が大きいと思っています。
この3か月間で日本の株価は30%程度上がりましたが、アメリカのNYダウも10%程度上がっています。ただもう少し長い期間で見ると、アメリカはリーマンショック後の09年1月には株価が7,000ドルを割り込みましたが、順調に回復してきて今では14,000ドル当たりまで回復してきています。上昇率で言えば100%です。リーマン前の水準に完全に戻っています。
この3か月間で日本の株価は30%程度上がりましたが、アメリカのNYダウも10%程度上がっています。ただもう少し長い期間で見ると、アメリカはリーマンショック後の09年1月には株価が7,000ドルを割り込みましたが、順調に回復してきて今では14,000ドル当たりまで回復してきています。上昇率で言えば100%です。リーマン前の水準に完全に戻っています。
それに比べれば日本はようやく少し戻しただけで、まだまだです。
金利差についても、金利が高い通貨の方が高くなりますが、日本の10年物国債金利が0.7%程度なのに対して、米国10年債利回りはすでに2%を突破しています。
こうしたアメリカの景気回復や日米金利差があってドルが強くなる要因が積み上がっていたところに、日本でアベノミクス期待が重なった。それが今の株高・円安につながっていると思います。
■円安・ドル高はこれからどうなる?
そしてこの先ですが、傾向として今の「円安・ドル高」はしばらく続くのだろうなと思います。(どの水準まで、というのはさすがにわかりませんけど)
その理由は、前述した景気回復が先行するアメリカとの日米金利差拡大に加えて、もうひとつは経常収支の逆転です。
金利差についても、金利が高い通貨の方が高くなりますが、日本の10年物国債金利が0.7%程度なのに対して、米国10年債利回りはすでに2%を突破しています。
こうしたアメリカの景気回復や日米金利差があってドルが強くなる要因が積み上がっていたところに、日本でアベノミクス期待が重なった。それが今の株高・円安につながっていると思います。
■円安・ドル高はこれからどうなる?
そしてこの先ですが、傾向として今の「円安・ドル高」はしばらく続くのだろうなと思います。(どの水準まで、というのはさすがにわかりませんけど)
その理由は、前述した景気回復が先行するアメリカとの日米金利差拡大に加えて、もうひとつは経常収支の逆転です。
消費大国のアメリカはずっと、経常赤字と財政赤字という「双子の赤字」を抱えてきました。
それが今後、「シェールガス革命」によってエネルギーの内製化が進むことでアメリカの貿易赤字が解消されるだろうと予想されています。
今、アメリカの貿易赤字のおよそ半分はエネルギー収支ですからエネルギーが国内生産になれば、それはもう貿易赤字はほぼ解消されるでしょうね。
シェールガス革命とそれに伴う経済の安定化で経済基盤が強化されて経常収支が黒字になれば、為替においてはドル高が促進されることになります。
■シェールガス革命で中長期的にはドル高?
今、アメリカの貿易赤字のおよそ半分はエネルギー収支ですからエネルギーが国内生産になれば、それはもう貿易赤字はほぼ解消されるでしょうね。
シェールガス革命とそれに伴う経済の安定化で経済基盤が強化されて経常収支が黒字になれば、為替においてはドル高が促進されることになります。
■シェールガス革命で中長期的にはドル高?
今アメリカの相場を盛り上げている要因のひとつは間違いなくこの「シェールガス革命」ですね。
最近のオバマ大統領は、
「米国には今後100年近く賄えるだけの天然ガスの供給がある。」
「シェールガスでアメリカはエネルギーの純輸出国になる。」
「これで製造業を国内に呼び戻す。」
「そして国内雇用が約60万人増える。」
などなど積極的な発言を繰り返しています。
こんな話が繰り返されれば、「万年貿易赤字だった米国が黒字化するのではないか?」といった思惑でアメリカ相場も盛り上がるのも当たり前です。
こんな話が繰り返されれば、「万年貿易赤字だった米国が黒字化するのではないか?」といった思惑でアメリカ相場も盛り上がるのも当たり前です。
それで結果的にドル高になったとしても文句言えませんよね。
逆に日本は原発事故もあってエネルギーの輸入依存度が高まっていきます。もし今以上に原油高が進めば日本の経常収支は悪化します。ずっと経常黒字国だった日本が赤字国になるのではとも推測されています。
逆に日本は原発事故もあってエネルギーの輸入依存度が高まっていきます。もし今以上に原油高が進めば日本の経常収支は悪化します。ずっと経常黒字国だった日本が赤字国になるのではとも推測されています。
エネルギーだけを取り上げてみてもドル高円安へ進むだろうなと思うわけです。
そうはいってもどう動くかわからないのが為替ですからね。
そうはいってもどう動くかわからないのが為替ですからね。
勝手な予測ですのでもちろん外れるかもしれません。
あしからずご了承くださいませ。
今回は以上です。
日本がもっと良くなりますように。
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