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乗客がゲートに遅れたら

乗客がゲートに遅れたら

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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飛行機搭乗珍体験集
乗客がゲートに遅れたら

 バンコクから、全日空の深夜便で出発しかけた時、
「2名のお客様が、まだ搭乗されていないので、これらのお客様の預け入れ荷物を貨物室から取り出して、出発することになります」とアナウンスがあった。 

 バンコクの新空港はきわめて広いために、ちょっと買い物をしていて、指定されたゲートまで到着するのに、すごい時間が掛ることを知らないお客がいるのだろう。(あーあ、大変だ。満員の乗客の荷物を探すのに、これで数時間遅れてしまうではないか)と思ったら、「出発は5分ほど遅れる予定です」と追加の放送があった。
 預け入れ荷物は全部、コンテナーに入っている。乗客全員の預け入れ荷物は全部、どのコンテナーに入っているかの記録が取られているということだ。

 さらに、機内でコンテナーを開くことができるのだろうか。このような事態に簡単に対応できるようになっているとはすごい。

 待っていたら、未着の乗客の一人が飛行機に到着して、エコノミークラスに乗り込んできた。もう一人はビジネスクラスの乗客であったか、ついに姿を現さないで、荷物を取りだされたかで、全日空機はほんの少し遅れただけで、ゲートを離れた。

  30年ほど前、サウジアラビアのジェッダの空港でチェックインした後、ジェッダの事務所に戻って仕事をしていて、時間の過ぎたのを忘れ、飛行機が私の荷物だけ載せて、ターミナルを離れて、滑走路に向かってしまった。
  完全な私のミスだったが、事情を説明したら、係官が私をジープに載せて、滑走路に向かっている飛行機を追っかけて、停止させて、後ろの扉を開けて、載せてくれたことがある。
小さな飛行機だったから、後部の扉が地面に届き、階段になっていて、乗り込むくとができたが、今の777やエアバス機、ジャンボでは、専用タラップが必要となり、こんな芸当はとてもできない。

  それから数年後、飛行機の出発の規則が変わった。チェックインした乗客がゲートに姿を現さなければ、つまり搭乗しなければ、その乗客の預け入れ荷物を、飛行機の貨物室のコンテナーの中から取り出してしまわなければ、出発できなくなった。
テロリストが、狙った飛行機にチェックインして、爆弾の入った荷物を預けて、実際には飛行機に乗らないという卑劣な手口のためだ。

   1984年にローマからサウジアラビアのリヤドに向かう時のことだった。サウジ航空のジャンボ機は、ゲートを離れて滑走路へ向かう途中で急に、まったく違う広い場所で停止した。
「乗る予定だった乗客が3名、姿を現さなかったので、今から、全部の荷物を外に拡げますので、乗客の皆さまは、ご自分の荷物をご確認いただきますようにお願い申し上げます」
ローマは晴れていた。ジャンボのコンテナーが、空港の広い場所に、全部並べられ、満員の乗客が全員グループで降りて、自分の荷物を次々に探していく。このために2時間ほど掛って、ほぼ全員が自分の荷物を確認して、さあ、出かけられるかと思った時、ターミナルからジープが走ってきて、3名の遅れた乗客が乗り込んできた。

 バーで酒を飲んでいて遅れたという。サウジアラビアは禁酒国なので、サウジ航空も厳しく禁酒の飛行機だった。

教訓 飛行機の搭乗ゲートには早目に到着するのが良い。我が家の家訓では、飛行機は早く乗って、早く降りるのが良いとしている。