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スマホ中毒症候群(Smart Phone Scratching Syndrome:SPSS)について その3

スマホ中毒症候群(Smart Phone Scratching Syndrome:SPSS)について その3

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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スマホ中毒症候群(Smart Phone Scratching Syndrome:SPSS)について  その3

 前回のブログでは、指掻きだけの症候群だが、スマホの使う度合いによって、もっと深刻な中毒症状も出ている。

 以前のボタン式の携帯電話でも依存症や中毒症状の人たちが多数出た。それは携帯からネットにつないだり、ゲームを続けていた人たちである。スマホは、電源を入れて触れるだけで画面を瞬間的に操作することができることから、ふっと触ってしまうという点で、以前の携帯電話より、はるかに習慣性、依存性、中毒性が高い。社会人だけでなく、学生も、小中高校生も誰もが、この症状を示し始めている。


 スマホ依存症、あるいはスマホ中毒状態(Smart Phone Scratching Syndrome)の症状を並べてみると、下記のような内容になる

1. あっという間に一日が終わり、思い出せば、一日中スマホを手にして、画面を見ていた
2. いつでも気が付けばスマホに手を伸ばす
3. 仕事時間でも、会議中でも、スマホを10分に1度くらいは覗く
4. 1時間以上の通勤時間をほとんどスマホを見ることで済ます。苦にならない。
5. スマホの充電のポイントを考えて、一日の行動予定を考えている
6. 一日にスマホを3回以上充電する
7. スマホ用追加の携帯電源を2セット持っている
8. スマホのメールかチャット以外ではプライベートでは他人と話をしたくない。
9. 食事は最短で食べられるものでよい。その間もスマホを見ている
10. 電池がなくなったら、すごく不安に感じる

その人たちの生活は、下記のようなものである。
起床と同時にスマホをにらむ。SNSからの新しい連絡、ブログの新着が十数本。無視しようかと思っても、通勤時間に取っておく。
 駅までの歩く距離も、駅の待ち時間もスマホ毒状態では、感覚がマヒして、通勤時間は苦にならなくなった。疲れは取れないが、足も止まらない。立ちっぱなしの車内でも、右手で吊り輪、左手でスマホを持ち、ほとんど無意識にガラスの表面を掻いている。そこに面白いニュースがなければ、何かを求めて掻き続ける。
 どこかに自分の好きな、関心のあるニュースがあるはずと希望をつなぎ、掻き続ける。そして、世界のどこかで、起こった火事で、何人死亡、日本人は含まれないというニュースを丹念に読む。
 すでにスマホは、自分の商品上の好みを知っているから、「あんなのどうだ」「いよいよこんなのが出ました」などと、宣伝ニュースメールを送ってくる。
 それらを丹念に読んでいると、それだけで1時間半の通勤時間が、あっという間に過ぎてしまう。会社に着くと、スマホの充電は欠かせない。
 昼食時間も、食事を済ませれば、スマホをひっ掻く。ほかのことは一切何もしない。フェースブックからの呼び出し、Mixi、Twitterなどを全部見続けるだけでも、どえらい時間がかかる。まして、ニュースを自分のTwitterで紹介していくと、すぐに午後の仕事だ。
 夕方までの充電は欠かせない。仕事の間も、自分の赤ちゃんの様子をみるように、スマホを覗くことは止まらない。更にマナーモードを保ち、フル充電、追加のバッテリーも充電完了を確かめて、会社を定時に出る。帰宅まで1時間半は、溜めてあったブログを読むことで過ぎる。コンビニで弁当かラーメンを買って、アパートに戻り、ひっきりなしにスマホの表面を掻き続ける。食べたのは即席ラーメンと缶ビールだけ。もちろんスマホでのチャットも、メールのやりとりもあって、新しいブログも覗く。ニュースは読む。テレビも見たい。こうして、気が付くと11時45分。慌ててシャワーを浴びる。寝る前に、枕元の今日4度目の充電台にスマホを置いた時、一瞬スマホが解放してくれる瞬間があり、その時に、怒濤のような仕事や生活のペンディングが頭に浮かぶ。考えも及ばない多彩なペンディングに圧倒されながら、眠りに墜ちて次の朝がシームレスでつながってくる。
 これが怖くないか。このSPSSはいつまで続くのだろうか?

 スマホを使うなと言うわけではない。スマホを自制しながら使うことを、社会が考える必要が、明らかに出てきている。一人でも、これを読み適正なスマホの使用を守って欲しい。