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音楽体験 その3 「42nd Street」は知っていますか?

音楽体験 その3 「42nd Street」は知っていますか?

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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音楽体験 その3 「42nd Street」は知っていますか?

 

 商社時代に、米国への視察団に、コーディネーターで加わったことがある。


 メンバーは14名で、コースは、ワシントンから始まって、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコと回った。予定ではニューヨークで土日になるので休みとした。グループで行動するから、土日も何か一緒の予定を考える必要があった。出発前に、希望を聞いたら、ブロードウェーのミュージカルを見たいという要望が多く、私は知り合いに頼んで、事前にチケットを予約してもらっていた。それが、「42nd Street」というミュージカルだった。当時、ブロードウェーで上演されている中で、一番有名な作品だった。


 ところが、私を含めて、14名、全員がこの「42nd Street」というミュージカルの曲を聴いたことがなかった。初めて見る(聴く)ミュージカルで、日本からの時差ボケが加わったら、始まった途端に、退屈になって、(私も含めて)全員寝てしまうに違いない。どうすればよいだろうと考えた。

 ワシントンも、ニューヨークも、それぞれ視察の仕事があり、マイクロバスをチャーターして回っていた。ワシントン市内を走りだした時、私は通りの店を見ていて、「ああ、運転手さん、ここでちょっと止まって」と、バスを止めて、私はお店にはいり、「42nd Street」のCDを買った。

 それから後、ガイドに頼んで、バスの中で、走行中は、ずっとその「42nd Street」のCDをオートリピートで小さな音量で掛け続けていた。木曜、金曜、そして土曜日の昼間も、そのCDを10回は掛けただろう。少しずつ、耳にメロディが留まり始めていた。

 そして、土曜日の夜、我々は、ブロードウェーに繰り出した。予想以上の大成功。14名、誰もが夢中になってミュージカルを見ていた。BGMで掛けていた「42nd Street」は、すっかりとなじみの曲になっていたからだった。

 

 日本に帰国後、この視察団の同窓会があったので、私はこのCDを持参していって、食事が始まった時に、掛けたら、全員が歓声を上げた。頭の中に、きっとミュージカルが踊っていたのではないだろうか。