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現実的知恵 消費税の収税額は、今の税率のままでも工夫次第で2倍になる
読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~
現実的知恵 消費税の収税額は、今の税率のままでも工夫次第で2倍になる
アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。
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現実的知恵 消費税の収税額は今の税率のままでも工夫次第で2倍になる
今、政府は復興税を議論している。消費税は間違いなく上がることになる。
IMFからは、消費税を15%まで上げることの勧告がきている。私も消費税は上げざるを得ないとは思うが、その前に、知恵を働かせれば、もっと賢いやり方がある。それが台湾がすでに数十年実施している「統一發票(とういつはつひょう)」という宝くじ付きレシート制度だ。これを実施すれば、現在の5%の消費税でも、約十兆円程度が増収になる可能性がある。
すでに何度も取り上げているが、台湾の消費税の仕組みと「統一發票」は素晴らしい。
世界で唯一、国民が消費税を愛している。そんな知恵と愛に溢れたのが、台湾の「統一發票」だ。
↓ これをまず見てほしい。
税収は2倍以上なのに消費者大喜び――「レシート宝くじ」の秘密を台湾・財務部に聞いてみた
(1)レシートが統一されていて、レシートに国の宝くじが付いていることで、買い物をする人は、お店にレシートを積極的に発行を要求する。
(2)すべてのお店、企業のビジネスにおいて、レシートが発行されることで、消費税の納入ミスがほとんど無い。
(3)このレシート宝くじは、金額のいかんに関わらず1枚発行されることから、レシートの数が膨大になり、当たる確率が高い。台湾では、このレシート宝くじを家族でチェックするのが、非常に好ましい家族の風物詩になって楽しんでいる。日本の宝くじのような低い当たりのものではない。
(4)年に6回の抽選で、2カ月分ずつ、当たりの番号が発表される。
(5)当たる率が高いので、宝くじのついたレシートを、寄付することが、台湾では流行しているし、寄付を受け取った障害者や難病の会などは、レシートだけからでも、毎年数百万円分の当たりくじを見つけている。
(6)多くのお店には、くじを寄付する箱が置かれている。
このレシート宝くじは、要するに台湾での消費税の納入の確証となっていて、初めてこれが導入された時、すでに書いているが、台湾での消費税の収税は瞬間に2倍以上になった。これをインボイス方式の消費税ということ。日本はまだインボイス式を採用していないから、ザルのように消費税が未収となっている。それがいくらぐらいになるか分からないが、ものすごい金額になることは間違いない。平成16年度での消費税は、約10兆円だから、2倍になれば約10兆円増えるということ。
今回の東日本の災害の復興費用が、未収分で賄える可能性があるというから、すごい。税の公正さが守られる。これを復興費用に充てるのだ。
これを利用しない手は無い。小さなお店や、食べ物やなどは、免税となっているが、その他の一般商店、喫茶店、企業はすべて、政府の発行している正式の宝くじ付きレシートを使わなければならない。
すごく大切なことは、台湾では、国民がこの消費税のレシート宝くじを愛していることだ。蓮舫大臣は、十分にこのことをご存じのはずだ。
税収は2倍以上なのに消費者大喜び――「レシート宝くじ」の秘密を台湾・財政部に聞いてみた
私の邪推を、繰り返すと、日本の財務省がこの「宝くじ付きレシート」の導入に乗り気でないのは、
(1)既存の宝くじの権益を守るため
(2)アジア国々の税制をまねることは、どんなに良くても、日本の財務省のプライドが許さない。
(3)税を払うことで楽しまれたくない(税は厳粛なものだ)
(4)アメリカでやっていないからやらない
(5)IMFも何も言っていない
こんなところではないだろうか。現在のさまざまな抜け穴のある消費税の制度で、税率だけを変えると、税を払っている国民はしっかりと支払うが、今まで消費税を国に納めることを忘れていたお店や企業側では、今までと同じようにやるだろうが、その金額は、さらに膨大となる。税の公平を増して、さらに国民から愛される税制というのは、日本の歴史になかった。これを作るために、ぜひとも実施を検討すべきだ。
台湾の財政部も、日本からの要請があれば、いつでも全面的に支援すると言っていた。また、このペーパーレスの電子レシートで、宝くじを付けることも、可能になるだろう。
ワンパターンに税率を上げることだけを考えていないで、台湾に行って学んで欲しい。今ほど、この「統一發票」の制度がパワーを発揮するタイミングは無い。そうでしょう蓮舫大臣。