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現実的知恵 震災地域の企業の特許の申請延長費用を補助

現実的知恵 震災地域の企業の特許の申請延長費用を補助

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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現実的知恵 震災地域の企業の特許の申請延長費用を補助
 サウジアラビアに駐在していた時に、サウジアラビアの商務省の次官と面談したことがある。

あの頃は、サウジアラビア政府のどこにでも、飛び込んで行って、長期開発の持論を話していたものだ。

 サウジアラビアの商務省には、「1980年ー2010年サウジアラビア開発私案」という30年計画を提案していた。その中にはナイル川やチグリスユーフラテスからの淡水パイプライン、日本の屋久島の水のタンカー輸入、アラビア半島西側の高い山脈に、西の海岸から、巨大なトンネルを斜めに東の台地に向けて掘り、そこに西海岸の湿気た空気を送り込むことで、淡水を得て、同時に東側で降雨の可能性があるのではないかと提案も出した。

 「ホルムズ海峡橋」は簡単なことだが、政治情勢が許さないで、すでに30年経過した。同様にアラビア半島の西のバーブ・アルマンデブ海峡(イェーメンとジブチ間)の海底トンネルなども提案していた。次官は、まじめに私の話を良く聞いてくれた。同時に、彼も持論を話していた。

  広い商務次官の事務室で、甘いお茶を飲みながら、次官の国内産業の育成の強い意欲の話を聞いていた。

「サウジアラビアの独自の技術開発のアイデアはあるか」と、私に訊いてきた。

「技術系の大学、職業訓練センターの設立や、中小企業、特に製造業の育成が必要でしょう」と話した後、私は思いついて、

「サウジアラビアは金持ちだから、教育がまったく無料と同じように、サウジアラビア国内の特許の申請を、企業であれ、個人であれ、全部無料にして、すべての発明の申請を受け付けて、懇切丁寧に、手続き代行するようにしてはいかがでしょうか。つまりサウジアラビアの特許庁を一般に公開するのです。そうすれば、サウジアラビア人の中でも、海外の留学から帰国した科学者も技術者もいるので、特許の申請が増えるでしょう。もちろん外国企業や外国人は、費用を安くしても、無料にすることは必要ないでしょうが...」と、発言した覚えがある。

 次官は、

「なるほどね。それは国内の産業の育成に影響を与えるね」と、一応は納得されていた。その後、彼がどのような行動をとったかは知らない。

 さあ、今は、大震災の被災地域の企業をいかに立て直すかであるが、その一つとして、特許の申請費用を再建の手段の一つと考えた。


 特許の申請費用はかなりの金額になる。それを、被災認定企業は無料に、被災個人で以前に企業を経営していた人で、被災後再建を図ろうとしている人は、無料あるいは、再建後一定の年月で、特許の申請費用を返還するというような特例を考えてはどうだろうか。あるいは税の控除の対象としてもよいだろう。

 現在、まだ起業経験がない個人の場合にも、特許取得後一定年限内に、起業を果たせば、費用は返還されてもよい。(もちろん特許取得の技術内容に関係しているかどうかも調べる必要があるが)

 世界の国々で、特許申請費用の補助があるかないかを調べないでこのような提案を出しているのは、お粗末だし、申し訳ないが、特許申請費用だけでなく、特許の延長費用、商標、意匠などの延長費用なども、被災企業に有利な形をとってはどうだろうか。

 更に、この恩典を、被災地域隣接における新規企業、新規工場などの設立にも適用されてはどうかと思う。商標や意匠は、多少、色合いが違うようにも思われるが。

 日本政府が、国内の被災企業の支援を行っても、それを海外で不当競争の原因とみて、追及を受けるようなことがあってはいけない。しかし、このような政府に支払う費用は、特許関係だけでなく、様々な申請登録費用も、登記などの費用も同じように、かなりの金額になる。これらも第三者機関をつくるなりして補助することも考えられる。

いずれにしても、特許申請の費用を無償にすることで、一刻も早い被災地域の再建を期待する。