誠ブログは2015年4月6日に「オルタナティブ・ブログ」になりました。
各ブロガーの新規エントリーは「オルタナティブ・ブログ」でご覧ください。
奇妙な食べ物 マンゴに噛まれた話
»2011年11月24日
読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~
奇妙な食べ物 マンゴに噛まれた話
アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。
当ブログ「読むBizワクチン ~一読すれば身に付く体験、防げる危険~」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/idea-marathon/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
奇妙な食べ物 マンゴに噛まれた話
ベトナムの私の家に来た友人がお土産にマンゴーを6個持ってきてくれていた。立派なマンゴーだった。ベトナムに来て気に入ったのは、果物が豊富で安いことだ。
バナナも各種、オレンジ、スイカ、ぶどう、シャカトウ、パパイヤ、ライチ、マンゴスチン、ドリアン、ランプータン、メロンなど、日本では高級な果物もここでは別にごく普通の果物だ。
私はサラダや果物や生ジュースを毎日必要とする質なので、果物が豊富なことはとても気に入った。私はこの国に生活し始めて、すぐにレモン絞りを買いに走って行った。
オレンジを2つに切って、手で絞る。ここのオレンジは甘みが少ないがそれだけに大人向けの落ち着いた味だ。これを毎日、朝夕大きなグラスに2杯飲む。
マンゴスチンは、美しい白色で、味は上品で、貴婦人の趣を持っている果物だ。これは世界三大美果の一つと言われている。
ベトナムで、一番一般的で、美味しい果物(ホアクア)を上げるとすればやはりマンゴだ。マンゴは無茶苦茶旨い。甘くって、香りが高くって、みずみずしく、石器時代の石斧のような持ちやすい形状で、量感もたっぷりだ。オレンジ色の果肉は調理しやすい。頂部がくちばしに似ているので、パロットマンゴーと呼ぶ。まさにベトナムはマンゴーの国である。
当地では、レストランの食後の果物と言えば、ほぼマンゴーがスライスされて出てくる。
お土産の6個のマンゴは、大きな鍋に水をはり、さっそくイソジンを点滴した水で表面殺菌して、熟しているのを2個皮を剥き、丸噛りした。実に、旨い。中に薄平らな細長い種が入っている。
私は美味しいマンゴーに噛り付いていた。
その次の日の朝も、朝食代りにマンゴーを剥き、丸噛り、そして、その夕食も同じ。マンゴーは飽きが全く来ない。旨い。
2日目の朝、起きると左のまぶたが少し腫れぼったい。寝不足かな。ストレスかな。もらい目かな。会社に行って、仕事をしていても軽くかゆい。その日の夕方には両目のまぶたが腫れぼったくなってきた。
貰い目、蚊のさされ、熱帯性急性水虫悪化まで揃えば、夜中はそうとう忙しくなる。そこらじゅうかゆくなる。
こりゃ、たまらないと、大使館の医務官に、再度SOSの電話となった。そしてさっそく診断に駆け込んだ。
医務官は、私の両まぶたを診断するやいなや、
「樋口さん、あなたはマンゴーを食べませんでしたか」と、尋ねる。私は驚いた。マンゴーというのは、食べたら目で分かるのか。
「3日間に6つ食べました。とても旨いので」
「ははーン、樋口さん、あなたは『うるし』にかぶれたことがありますか」
「はい、子供の頃は山に行って、よく『うるし』にかぶれてしまいました。ひどいものです」
「それですよ。それ。マンゴーですね。マンゴーはうるし科の果物ですよ」
「ええっ、それ本当ですか」と、衝撃。
「そうです。だから、マンゴーを手で剥いて、その手で顔や目に触れると、それだけで十分にかぶれる人がいます」
「そんなこと誰も教えてくれなかった...」と絶句。
調べてみると、確かに、マンゴーはウルシ科マンゴー属の果物で、紀元前から食用にされ、栽培されてきているが、ウルシ科なので、切り口、未熟皮にはウルシオールのようなかぶれ誘発物質が含まれている。そして、たちが悪いのは、この美味の果物のかぶれは1日か2日後になって出てくる遅延性のアレルギーであるということだ。
ベトナムで、この美味なマンゴーを食べられないなんて...!とても考えられない。噛り付いたマンゴーに、私は見事に逆襲されてしまった。手をべちゃべちゃにしないで、スプーンでマンゴーを食べることはまったく問題なかったのでほっとした。
この話を同僚にしていたら、
「樋口さん、この話の『マンゴー』という語を、全部『美女』という言葉に置き換えても、この話は十分に理解できるんじゃないの」と、うがった意味深長のアドバイスをしてくれた。ワープロで一括置換してみようかな。
ベトナムの私の家に来た友人がお土産にマンゴーを6個持ってきてくれていた。立派なマンゴーだった。ベトナムに来て気に入ったのは、果物が豊富で安いことだ。
バナナも各種、オレンジ、スイカ、ぶどう、シャカトウ、パパイヤ、ライチ、マンゴスチン、ドリアン、ランプータン、メロンなど、日本では高級な果物もここでは別にごく普通の果物だ。
私はサラダや果物や生ジュースを毎日必要とする質なので、果物が豊富なことはとても気に入った。私はこの国に生活し始めて、すぐにレモン絞りを買いに走って行った。
オレンジを2つに切って、手で絞る。ここのオレンジは甘みが少ないがそれだけに大人向けの落ち着いた味だ。これを毎日、朝夕大きなグラスに2杯飲む。
マンゴスチンは、美しい白色で、味は上品で、貴婦人の趣を持っている果物だ。これは世界三大美果の一つと言われている。
ベトナムで、一番一般的で、美味しい果物(ホアクア)を上げるとすればやはりマンゴだ。マンゴは無茶苦茶旨い。甘くって、香りが高くって、みずみずしく、石器時代の石斧のような持ちやすい形状で、量感もたっぷりだ。オレンジ色の果肉は調理しやすい。頂部がくちばしに似ているので、パロットマンゴーと呼ぶ。まさにベトナムはマンゴーの国である。
当地では、レストランの食後の果物と言えば、ほぼマンゴーがスライスされて出てくる。
お土産の6個のマンゴは、大きな鍋に水をはり、さっそくイソジンを点滴した水で表面殺菌して、熟しているのを2個皮を剥き、丸噛りした。実に、旨い。中に薄平らな細長い種が入っている。
私は美味しいマンゴーに噛り付いていた。
その次の日の朝も、朝食代りにマンゴーを剥き、丸噛り、そして、その夕食も同じ。マンゴーは飽きが全く来ない。旨い。
2日目の朝、起きると左のまぶたが少し腫れぼったい。寝不足かな。ストレスかな。もらい目かな。会社に行って、仕事をしていても軽くかゆい。その日の夕方には両目のまぶたが腫れぼったくなってきた。
貰い目、蚊のさされ、熱帯性急性水虫悪化まで揃えば、夜中はそうとう忙しくなる。そこらじゅうかゆくなる。
こりゃ、たまらないと、大使館の医務官に、再度SOSの電話となった。そしてさっそく診断に駆け込んだ。
医務官は、私の両まぶたを診断するやいなや、
「樋口さん、あなたはマンゴーを食べませんでしたか」と、尋ねる。私は驚いた。マンゴーというのは、食べたら目で分かるのか。
「3日間に6つ食べました。とても旨いので」
「ははーン、樋口さん、あなたは『うるし』にかぶれたことがありますか」
「はい、子供の頃は山に行って、よく『うるし』にかぶれてしまいました。ひどいものです」
「それですよ。それ。マンゴーですね。マンゴーはうるし科の果物ですよ」
「ええっ、それ本当ですか」と、衝撃。
「そうです。だから、マンゴーを手で剥いて、その手で顔や目に触れると、それだけで十分にかぶれる人がいます」
「そんなこと誰も教えてくれなかった...」と絶句。
調べてみると、確かに、マンゴーはウルシ科マンゴー属の果物で、紀元前から食用にされ、栽培されてきているが、ウルシ科なので、切り口、未熟皮にはウルシオールのようなかぶれ誘発物質が含まれている。そして、たちが悪いのは、この美味の果物のかぶれは1日か2日後になって出てくる遅延性のアレルギーであるということだ。
ベトナムで、この美味なマンゴーを食べられないなんて...!とても考えられない。噛り付いたマンゴーに、私は見事に逆襲されてしまった。手をべちゃべちゃにしないで、スプーンでマンゴーを食べることはまったく問題なかったのでほっとした。
この話を同僚にしていたら、
「樋口さん、この話の『マンゴー』という語を、全部『美女』という言葉に置き換えても、この話は十分に理解できるんじゃないの」と、うがった意味深長のアドバイスをしてくれた。ワープロで一括置換してみようかな。