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病海外旅行・出張危険回避講座(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その30 海外で病んで斃れる 

病海外旅行・出張危険回避講座(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その30 海外で病んで斃れる 

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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海外旅行・出張危険回避講座

(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ)その30 海外病んで斃れる 

 

 私はこと病気に関しては、非常な臆病だ。海外にいる間は、特に怖く感じていた。自分のことも、一緒に海外に連れて行った子供たちのことも、病気にならないように、いつも気にしていた。

 長男が、アフリカ・ナイジェリアのラゴスで熱を出した時も、ヨメサンはケロっとして、「小さな子は簡単に熱を出すものよ。放っておいても直ります」と、見てきたように、平然と言い切る。

「お前なあ...」といいながらも、私はオロオロしていた。(アフリカに生まれたての赤子を連れてきたことが間違いだったのか)と反省する気分でいっぱいだった。ヨメサンのような度胸はまったく持てなかった。

 

 ナイジェリアではマラリアがあった。ハマダラカに刺されると、45日で発病する。最初から悪寒が酷い。無茶苦茶暑いナイジェリアでも、自分の高熱のために、寒く感じるのだ。

 この悪寒は、強烈だった。私は少なくとも数回、マラリアに罹患した。私の臆病さがマラリアにせよ他の病気にせよ、いつも効をそうした。風邪でも、下痢でも、なんでも私はマラリアではないかと、心配して、医者に飛んでいったからだった。

 自分で風邪かもしれないと思ったケースでも、マラリアだったことを思い出すと、病気には臆病であったほうがよいと今でも確信している。幸運にも、子供は、一度もマラリアに掛からなかった。

 

マラリアは、悪寒を感じた時点で、即医者に走った。ナイジェリアで生活しているときには、24時間受け付けてもらえる個人診療の西洋人の医者に連絡して、夜中でも緊急の診察を受けた。

 マラリアに関しては、マラリア原虫が一日のような一定の期間で、卵と成虫の成長サイクルを体の中で繰り返し、そのサイクルごとに圧倒的な数に増殖していく。だから発病したら、時間との勝負だ。一刻を争う。

 

 特にやっかいで不思議なのは、マラリアでは発熱した次の日の朝は、原虫の成長サイクルの状態から、不思議なことに熱が下がり、ケロっとすることがあり、直ったと油断してしまうことがある。

 

 そして、その日の夕方に遙かに強烈な、爆発的な発熱を再び体験し、体はがたがたになり、もう動けなくなるほど、強烈な病気になる。放置すれば死に至ることも多い。脳性マラリアなら、後遺症が残る。恐るべき病気なのだ。

 

 海外に駐在している者ですら、最初は「風邪かな」と迷ってしまうマラリアに、旅行者が罹患したとしても、マラリアだと本人が信じないことが多く、無理をして早めに(酒を飲んだりして)寝る程度の対応を取る。次の日の朝、説明したようにケロッとして、「もう治った。良かった」と、普通の行動をとる。

 

団体行動やスケジュールの消化のプレッシャーから、即時の診察や初期治療のタイミングを外してしまう。これで、その日の夕方には最悪の状態に陥る。マラリアをこじらせると1カ月以上入院となったり、下手をすると死ぬこともある。

 

マラリアと人類の戦いは紀元前から続いてきたもので、過去は、恐ろしい感染病として、無数の犠牲者を出してきている。17世紀に、南米のキナの樹、そして近代に合成マラリア特効薬からクロロキンに至るまで、人類がマラリアに対抗してきているが、マラリアが発生している国々はアフリカだけでなく、東南アジアでもまだたくさんある。

温暖化で、日本にくることも警告されている。3日熱、4日熱、熱帯性など、さまざまな種類のマラリアがある上に、近年はキニーネの効かない薬剤耐性ができたマラリアも出ている。

 

マラリアの恐ろしさについては、日本人はまったく知識がない。だから、東南アジアに旅していても、防蚊対策は取らない。私は、電気蚊取り線香無しには、東南アジアでは寝ない。

 

日本から、観光ででかけていく国々の中には、まだまだマラリアが蔓延している国々が残っている。もちろん他の病気も恐ろしいが、マラリアは絶対に油断してはならない病気だ。マラリア分布図をここに掲載しておく。(世界史の中のマラリア、橋本雅一、藤原書店 より WHOの資料)

 

マラリア分布図.jpg

 

 蚊から罹患する可能性があるのは、デング熱、西ナイル熱などがある。私は海外旅行には、電気の液体蚊取りや、電熱マットを必ず持参している。電圧の調整器も持って行く。米国では、液体(それも化学品の液体蚊取り)は、飛行機の預け入れ荷物でも持ち込めない(一度、トランジットの荷物検査で没収された)ので、米国へは、蚊取りの電熱マットに切り替えた。

 

 日本に来る外国人たちは、日本の蚊に刺されて日本脳炎にかかる可能性を非常におそれている人が多い。

 

ポイント

①海外では、ちょっとおかしいと思った時点で慎重に、診察を受けた方が良いことが多い。

②泊まっているホテルからの紹介、現地の日本の領事館などにコンタクトを取り、適切な病院や医者を紹介してもらうと良い。

③日本を出る前に、病気の罹患の保険に入っておくとよい。海外での入院や帰国の別のキップ購入で数百万円の金が掛かる可能性がある。

 

アイデアマラソン一口メモ

アイデアマラソンの研修を指導していて、研修の参加者から良く聞くのが、「発想を出すことは可能だが、書き留め続けるのをつい忘れてしまう」という意見だ。アイデアマラソンは、思考書き留めの習慣化を狙う発想法である。習慣化さえできれば誰にでも習得は可能だ。

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最新刊のアイデアマラソンの本

「仕事ができる人のノート術」(東洋経済新報社)

一読すればあなたも、毎日発想を残すことができる。それがあなたの財産だ。