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海外旅行・出張危険回避講座(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その36 内乱・暴動・クーデターに巻き込まれたら

海外旅行・出張危険回避講座(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その36 内乱・暴動・クーデターに巻き込まれたら

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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海外旅行・出張危険回避講座

(一読さえすればリスクは最小、そしてあなたは、海外旅行のプロ) その36 内乱・暴動・クーデターに巻き込まれたら

 ジャーナリスト山本美香さんの取材中の痛ましい事件を聞いて、紛争地域で死傷するジャーナリストがいかに多いか、いかにその仕事が危険かをつくづく感じている。

今回の山本さんの場合、兵士はそれほど遠くではなかったようなので、ビデオカメラとの認識はできたのではないかと思うが...。

 しかし、政府軍にせよ、反乱軍にせよ、ジャーナリストを攻撃するのは、絶対に許せない。ジャーナリストに対する悪意や敵意があると、ジャーナリストは、非武装だから攻撃されたら逃げるしかない。

  ジャーナリストが所持しているENG(Electronic News Gathering)と呼ばれる肩の上に置く可搬式放送用ビデオカメラは、遠くから見ると小型のロケットランチャーや対戦車バズーカ、可搬型の使い捨てバズーカ(RPG-7、M72-LAW、AT-4など)に見間違われる可能性があるかもしれない。
 ENGなど肩に置くビデオカメラを遠くに見て、兵士も反乱軍も、一瞬の判断も躊躇(すら)しないで、攻撃してくる。自分たちの命を守るために、まずは、ロケット砲などを所持している相手を狙って、攻撃力を殺ぐ必要があるからだ。兵士は集中して攻撃してくる。大型のデジカメ一眼ですら、遠くから見ると何に見えるか分からない。
 カメラであることが分かっていても、戦闘中の兵士たちは、銃を向けてくる可能性は非常に高い。
 

 昔、ケニアの首都ナイロビで、観光客がホテルの窓から向けたカメラに銃弾が浴びせられたこともある。クーデター(暴力的政府転覆計画)が発生して、観光客はホテルの自分の部屋から""珍しい"銃撃戦"の写真を撮ろうとしただけだった。
市街戦の場合、すべての窓を兵士たちはチェックしながら掃討戦を行っている最中に、そこにキラリとレンズガラスが光れば、狙撃兵の銃の狙撃用望遠レンズと疑われ、躊躇なく攻撃される。冗談でも、好奇心で迂闊な行動に出てはならない。

  まして戒厳令下外出禁止(Curfew)を破ったら、攻撃を受けても、逮捕されても文句は言えない。そのような場合は、ホテルなどに留まり、大使館の救出を待つことになる。大使館への電話連絡と現地の人によるメッセージのやりとりを努力することが一番だ。滞在している都市や町に、日本大使館が無ければ、どこの国の大使館、領事館、あるいはNGOや国際機関であっても構わない、日本大使館への連絡を取ってもらうのがよいだろう。
 

 中東のある国で、出張中の事務所の前を、多数の戦車が隊列を組んで通過しているのを、日本人の出張者が、横眼で見ながら、仕事の内容の国際電話を掛けていた。
日本への国際電話で、日本語で、「おお、すごい。本物の戦車だ。戦車が数十両通過している。~方面に向けて、これはすごい」と、話した。
 次の日に、秘密警察が、その事務所に押し掛けてきて国際電話を掛けた人を出せと要求されたという。たまたますでにその出張者が出発していたので、難を逃れたという。
これらの政治的に微妙な国々では、国際電話は、すべて録音され、内容の中でのキーワードに音声反応し、再生され、たとえ日本語であれ、語学の専門家が聞いて、怪しい人物を取り調べに回される。スパイ容疑であるから、強烈な取り調べを受ける可能性がある。

  私自身も、アフリカのナイジェリアで2回のクーデターの発生に遭遇して、ただちに事務所の電信装置で、ロンドン事務所にクーデターの発生の第一報を知らせた。その後、ただちに車で帰宅したが、途中の島の端のたもとには、完全武装した兵士たちが数十人、道路の両側に伏せて、小銃を通過する車や人に向けていた。兵士たちは、小銃の引き金に指を掛けていた。
 数十人の兵士たちに小銃の照準を向けられながら、その前をゆっくりと車で通過した時は、油汗が出た。その後、数日間は外出禁止が敷かれ、自宅でラジオ放送を聞いて過ごした。初めは反乱軍がラジオの放送をして、すぐに政府軍が放送局を取り戻していた。そのクーデターは、失敗だった。
 そのクーデターは、当時の軍事政権の国家元首が、我が家から数百メートルほどの小さなスーパーの前で、早朝に待ち伏せ攻撃を受けて死亡したことから始まったものだった。
戒厳令と外出禁止令が解除され、反乱軍の幹部や兵士たちが、海岸で処刑されるのをテレビ中継していた。恐ろしいことだった。このような国で、カメラをぶら下げて、歩いているだけで逮捕される可能性もあることを忘れてはいけない。
やっかいなのは、クーデターなどは、誰もまったく知られないように計画され、知られないように、突然実行されるために、昨日までは平和的な観光国だったのが、突然戒厳令が敷かれることになる可能性があるのだ。

ポイント
(1) 旅先で、軍事紛争、クーデター、政変などが起こったら、とにかく今の無事と滞在場所を、日本へ、日本大使館へ、知らせることだ。日本の家族に知らせて、外務省に報告してもらう必要がある。
(2) 電話も普通の電話、携帯電話、インターネットとすべてを試みること。クーデターだと、まずは反乱軍は、テレビ局と電話局を抑えようとする。ナイジェリアの場合も、電話はすぐに切られたが、国際電信が多少の間、生きていたので、日本に連絡することができた。普通の電話が切られても、携帯が使えることもある。ありとあらゆる通信手段を探すべきだ。
(3) 誰かの電話や携帯の回線が通じたら、それに近くで孤立している外国人たちの消息を相手に伝えて、それぞれに伝言してもらう配慮が必要である。通信は、まさに一本の生命線となる。


アイデアマラソン一口メモ
 自分の思いつきや思考をノートに書き留める最初の関門は、思考し書き留めるという意識と気力だ。これを持たないと、考えることも、書き留めることにも進まない。自分の思考を書き留める必要性を理解しなければ、アイデアマラソンのドラマは始まらない。

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