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新商品体験 私の体の中を通り抜けたカメラ カプセル内視体験記

新商品体験 私の体の中を通り抜けたカメラ カプセル内視体験記

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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新商品体験 私の体の中を通り抜けたカメラ 

カプセル内視体験記

 ある大きな新しい病院で、私は膝の痛みの診断を待っていた。
 ふっと見ると、壁にポスターが貼ってあった。小腸の内視のボランティアの募集だった。「エッ」と注意して読むと、「カプセル内視」のことだった。今まで決して見ることのできなかった小腸が見える。
 夢物語、ミクロの決死圏と思っていたカプセル内視がすでに、普通になっている。カプセル内視とは、デジカメとストロボの付いた小さなカプセルを飲みこみ、小腸の中をすべて検査できる。私はすぐにボランティアを買って出た。
 大腸の内視鏡は、1年ほど前に済ませている。胃の内視鏡は、3か月ほど前にすましている。問題は無かった。残りは胃の後の、十二指腸から小腸の中だ。
カプセルを飲む日にちが決まった。通常は、健康保険で約3万円ていど掛かるが、私の場合はボランティアの検査であることから、カプセル内視は、タダである。

ヨメサンは反対した。
「万が一、カプセルが途中で詰まったらどうするのですか」
「その万が一の、詰まるようなことがあったら、それこそ大問題の発見かもしれない」とヨメサンも説き伏せた。

 カプセル内視は、イスラエル製で、ギブン・イメージングという会社の製品だ。日本では同社とオリンパス製の2種類が出ている。1秒間に2コマずつ写真を白色LEDを使ってCMOSで撮影し、それを送信する。体の外に、受信機を貼りつけて、体内の写真を蓄える。5万回の撮影が可能になっている。
前日は夜9時までに、食事を終えて、次の日の朝、何も食べずに9時に病院に行き、カプセルが入った小箱を開けると、キラキラと小さな白色LEDが光る白いカプセルが出てきた。

DSC04021.jpg

 同時に画像の受信機のスイッチが入れられ、青い点滅がカプセルから受信中の印となった。
紙カップの水一口で、カプセルはあっさりと飲み込めた。まったくつかえることはなかった。胃は昨夜からの停食で、空っぽだ。病院の話では、胃の中には数十分滞在して、十二指腸に向かう。

DSC04020.jpg

(腰につけた受信機。手に持っているのはサンプルカプセル)

 

受信機を腹に巻いて、上着を着て、私は病院をあとにした。飲み込んだのが朝9時だった。

 2時間後に飲みものがOK。4時間後に食事がOKとなった。私は自宅で納豆ご飯を食べ、野菜のサラダを大盛食べた。
夕方4時半に、病院に戻り、受信機を外して、お終い。後は、自然分便で、カプセルが出てくるのを待つ。受信機が出たことだけは絶対に確認をしなければならない。確認できないままに、水洗に流してしまうと、レントゲンで確認をすることになるらしい。トイレの便器の中に敷く浮遊式の紙シートを貰って来た。それを便器の中に敷いて、その上に便を出すという。

 夕食も普通に食べて、腹の具合もまったく変わらなかったが、夜の9時半にお尻が少しムズムズするので、紙シートを敷いて、そろりと便を出したら、見事にピカピカ光る便が出た。とてもキレイに見えた。それを割りばしでつまんで、お風呂場で洗い、洗面所で石けんとハイタ―で殺菌した。

DSC04028.jpg

(私のお腹を通って、無事にはやぶさのように帰還したカプセル内視、白色LEDが光っている。十分殺菌済みです)

 

お腹の中に12時間半滞在した。まったく痛みも、不快感も無く、小腸の検査を終えることができた。すごい技術だ。