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タブレットの功罪  その① 違和感

タブレットの功罪  その① 違和感

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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タブレットの功罪  その① 違和感

iPadを使い始めて1年ほど経った時に、何か違和感を感じた。
何か調子がおかしい。iPadのことではない。私の執筆活動に違和感を感じたのだ。私の執筆の調子がおかしくなっている。執筆量が減っているのだ。


なぜだろうと考えて、分かった。iPadを使い始めてから、執筆量が減り始めたのだ。
私は元々ノートにすべて書き留め、書いたノートを見直して、パソコンに入力して、完成したエッセイや本の原稿を溜めていく。今までは、ほぼいつもパソコンをカバンに入れて、持ち運びしていた。
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   (第一世代のIPad)

私は以前から使っている普通の携帯電話には、メールは転送せず、かっては、時間があれば、ノートPCを開き、メールを読み、返事を入れていた。せっかく開いたパソコンだから、同時に書きかけのエッセイや文章を少しずつでも書き足していた。

ところがiPadになってから、メールは簡単に受け取れ、即見ることができるが、iPadでは、ツルツルキーボードで、入力しにくく、どうしても返事は家に帰って、デスクトップで送るようになった。急ぎの場合のメールの返事も、iPadで送ると、簡単な文になってしまった。つまり、デスクトップで送るよりも文章が短く、場合には相手の名前すら書かないで返事をすることもあった。
ノートPCを持ち歩かないために、私の文章入力量が大きく減少してしまったのだ。

 

更に、iPadを頻繁に、きわめて頻繁に見ることで、本を読むすき間時間まで、iPadが占領していることも分かった。便利でありながら、iPadをいじるのに、時間をどんどんつぶしていた。これも問題だった。

同時に恐ろしい事実に気が付いた。それは、便利の推測変換のシステムだった。この便利極まりない予測変換の入力を使っていると、私の文章がどんどん形式化、形骸化してしまい、面白くなくなり、文章が私の文章でありながら、私の文章でないように感じだした。このまま行くと、私の文章力も滅びてしまうのではないだろうかと心配し始めた。

もともと、私はエッセイなどのタイトルや内容やストーリーは、まずノートに書き留める。パソコンの漢字変換ですら、それだけに頼っていると、漢字が書けなくなるおそれを感じているほどだ。

これは、実にまずい!しかし、いつでもメールを受け取れるタブレットの便利さは失いたくない。そこで、2年間iPadを使った後、私はiPadをキャンセルして、Wifi利用に限定し、ドコモのタブレットのMediasに切り替えた。軽くなった。そして、メールを受け取るが、返事は、デスクトップで送ることにした。

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(ドコモのMedias)

次回は、この状態に抜本的改革を加えたことを説明したい。