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タブレットタッチ惰性・習慣性症候群 IHBS

タブレットタッチ惰性・習慣性症候群 IHBS

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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タブレットタッチ惰性・習慣性症候群 その②


以前の携帯から、この症状が表面化していた。
昔から、人は手持ちぶさたになると何かを始める。指でタップダンスをする人、傘(あるいは傘もなく)ゴルフのまねをする人、指を折る人もいるし、鼻くそをほじる人もいる。これを「惰性・習慣性行動IHB(Inertial & Habitual Behavior)」と勝手に名付けた。

しかし、今までは個人が暇な時になると、どのように時間をつぶすかというポイントで、様々なバリエーションがあった。

全世界で爆発的に生じたのが、携帯によるグローバルな「惰性・習慣性行動症候群IHBS」(Inertial & Habitual Behavior Syndrome)  だった。だから、どこでも通信機器を開くのは、タブレットで始まったものではなかった。


電車でも、プラットフォームでも、バスでも、多数が携帯を開き、のぞき込んでいた。その当時にツイッターやフェースブックなど、SNSが流行したのも、時間をつぶすのに、携帯でゲームをしないで、何か意味のあることをやっていると理解したかった人々の要望があったからだ。
携帯から、「~ナウ」と入れている人がたくさんいた。ものすごい量の送受信が行われていた。

私の場合は、1にノート、2に本、3にパソコンだった。SNSには当初Mixiに入ったことがあるが、やがて冷めた。ネットによる人間関係の構築を、向こうの実体が見えないことからも、非常に煩わしく感じ始めたからだ。

ツイッターも、グループで継続するツイッター俳句を一時考えたが、それにも疲れを感じ、更に執筆量に悪影響が出始めて、ツイッターとも縁を切った。ツイッターもすでに一時の流行の時の勢いはどこにもない。人々は次々と何か新しいものを探していくのだ。

フェースブックになったら、もうその流行性を聞いただけでも、強烈なアレルギーが出てきた。金の亡者のようなザッカーバーグの人間性も嫌いだった。映画を見て、更に嫌いになった。フェースブックもすでに盛りを過ぎている。フェースブック株が上場されると聞いて、ザッカーバーグが喰い逃げをすると確信していた。その後のフェースブック株価の凋落を見て、自説の正しさを再確認した。
 
iPadが入ってきて、1にiPad,2にノート、3に本となったから、当然パソコンに打ち込む量が減った。
これがタブレットになって、更に積極的に人の送受信が増えたかというと、案外一人の送信量が減っているのではないだろうか。
なぜなら、タブレットはテンキーの携帯以上に、打ち込むのがやっかいだからだ。

では、みんなが読んでいるものは、誰が打ち込んだかということだが、それは、ネットのアドレスなどが、リンクを張られて、反転表示になっていたりするが、ツイッターでも、SNSでもほとんど誰かが打ち込んだコメントを、そのまま次々とコピペしている。コピペしたのを、そのまま発信して、「発信している」という顔をする。

新しくコメントを足すことをしないで、誰かのコメントをそのまま受け入れるようになっているのだ。自分のコメントを打ち込まないということは、大問題を作っている。意見がどんどん個性を失って、他人の意見に追従している。コメント能力が欠如している可能性がある。

こうしてスマホとタブレットでは、まさに人の「惰性・習慣性行動症候群IHBS」に潜り込んだのだ。そして、これは、電車内では、通話はできないから、ネットと、メールと、ゲームで時間をつぶすことになった。