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若者よ海外に雄飛せよ その6 好奇心の目を失うな

若者よ海外に雄飛せよ その6 好奇心の目を失うな

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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若者よ、海外に雄飛せよ 好奇心の目を失うな

 日本人には独特の好奇心がある。
日本人の持つ好奇心の目は、進取の目だ。これは世界中どこに学んでいても、働いていても、強力な革新効果を持っている。


 日本人は、海外の料理をうまく取り入れて日本のスタイルにしてしまってきた。コロッケにしても、トンカツにしても、焼き餃子も、ラーメンも日本の料理だ。おいしければ何のこだわりもなく取り入れた。そしてもっとおいしくする工夫をしてきた。これがトランジスターから車まで、すべて同じように日本で革新してきたものは、最初に海外から進取の気持ちで取り入れられたものだ。
 日本人が海外の文物を取り入れるときの、素直さと受け入れ安さは、日本人の好奇心の高さを示していると思う。その高さが明治維新の後の自立の産業革新と追いつき追い越せになってきた。
 海外で学べるもの、面白いものは、まだまだいくらでもある。好奇心が経済にどのように役立つか、あるいはビジネスにどのように役立つか分からない人もいるかもしれない。

 簡単な例を説明しよう。私は商社マン時代から、世界中50カ国以上を旅してきたが、何日か滞在すると、市場を見学に行く。見たいのは、魚介類と野菜、キノコ、果物といったところだ。
 何か変わったものがないかと見るのだ。鮮魚は、美味しそうなものがあっても、その地で刺身や料理で食べたい程度の関心だが、変わった果物はできるだけ食べてみる。果物は育つのに時間がかかるし、その国の(例えば熱帯のような)気候は、その国で育つことしかない。しかし、野菜やキノコは別だ。欧州にも、中国の奥地にも、まだ日本ではお目にかかったことがない野菜やキノコが一杯ある。キノコの場合は、野生のものもあり、日本の松茸のように、人工栽培が難しいものもある。しかし、野菜の場合は種がある。変わった野菜、新しい野菜を日本に持ち込んで栽培をすれば、売り方にもよるが希少なだけ、値段は高くできるのが当然だ。(もちろん種も正式に輸入するには植物検疫を通す必要があるが)このように、好奇心の目の進取ハンターにとっては、まだまだ海外は宝の山だと私は思っている。
 スペインの街角でのお菓子を、独特の機械を使って、窓口で作って販売しているのを見ても、「これなら日本でやっても十分に面白いなあ」と見ていた。

 一般のビジネスモデルでも、この好奇心の目は同じように働く。「このビジネスは、日本でも当たるかもしれない」という観察で見ることで、厳しく思える海外生活や留学はどれだけ楽しくなるか。
 海外で生活する場合には、この進取の気持ちを忘れないで欲しい。そして、帰国すれば、「このビジネスモデルを試してみよう」というビジネスプロファイルを貯めていって欲しい。


ポイント
① 海外で学ぶとき、働くとき、支えになるのは、海外での体験が日本に帰国したときには、必ず役に立つと考えること
② もちろん、海外のその地で成功することも、計画から捨てる必要はない。