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緊急ブログ上程 第二弾 「ねむけおばけ」対策 海は広いな大きいな 船の運航も眠い

緊急ブログ上程 第二弾 「ねむけおばけ」対策 海は広いな大きいな 船の運航も眠い

樋口 健夫

アイデアマラソン研究所所長 ノートを活用したアイデアマラソン発想法考案者であり、電気通信大学講師。現役時代は三井物産の商社マン。 企業の創造性トレーニングでは、ジャパネットたかたの全社員運動、アサヒビールでの研修などを続けている。独創性を命と考えている。

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海は広いな、大きいな 船の運航も眠い!

 私が大学生の時、オーストラリアに船で留学した。
 お金が無かったので、船会社に頼んで、巨大な石炭運搬船に載せてもらった。名古屋港から出港する時に、南の方に台風が近づいていたので、船はできるだけ東側に抜けて南に進んだが、なんのなんの台風の暴風雨を突っ切り、無茶苦茶揺れた。全長が150メートルもある船だ。前後に揺れると、船首が上に上がり、空気を下に抱えて降りると、「どーん」とものすごい音と、振動がする。生きた心地がしなかった。

 不思議に私は酔わず、真夜中に、寝ているベッドからドスンと落ちた後、操舵室に上っていった。夜中の2時ころだった。船はまだ大揺れしていた。
 操舵室に入って驚いた。一等航海士か、二等航海士か、忘れたが、うつぶせになって寝ていた。

 たった一人のワッチ(当番をワッチという)で、夜中の12時から朝の6時までのことを地獄のワッチというが、見事にうつぶせになって寝ていた。他には誰もいなかった。

 私は驚いて、
「大丈夫ですか」と声を掛けたら、
「ああ、君か、船酔いがひどくて...、悪いがレーダーを見てくれ」
「は、はい」と私がレーダーを覗いた。「何もきらきら光っていません」
「そ、そうか。悪いが前で見張っていてくれ」
「誰か呼びましょうか」
「いや大丈夫だ。少しだけ寝る」

 それで私はその夜は、2時間ほどワッチに立った。もちろん前方はまっくらで、波が船首に当たってドドドと砕けて、何にも見えないが必死になってみていたのをおぼえている。生涯にたった一度の何万トンの石炭運搬船の見張り役で、運転を任されたのだ。私は正面の窓とレーダーとの間を、うろうろしていた。

 こんなものだろうか。世界中の海を走り回っている船もきっと、眠たい症の人たちでいっぱいなのだろう。一人でワッチをしていれば、ほぼ99%ねむくなっているはず。
 海上の事故も、居眠り運航で起こることがある。漁船のように人員が少ないと、ほぼ徹夜はねむいはず。どうしているのだろうか?
 海は実に広い。だから居眠り運航でも事故が少ないのだろう。
 
教訓 船のように24時間の運転では、複数のワッチの人員配置をするだけではだめだ。椅子に座って、一緒に寝てしまう恐れがある。人員の一人が、交代ででも短期の仮眠を自在に、希望に応じて取れるように、仕組みを考える必要がある。現在の配置で言えば、二人の要員を配置すれば、二人は絶対に寝てはいけないとすれば、眠くなる。
 一人が眠気を感じれば、短時間(たとえば15分でも30分)でも、その勤務時間内に仮眠を取り、もう一人がその時間に起こす仕組みが良いとおもう。
 船の単独ワッチの場合は、半時間ごとに、非居眠り証明の作業を入れることも必要かもしれない。つまり、寝ていたら、記録を残せないような手順を、入れるようなことだ。