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コミュニケーションの方法を変えることで、アイデアの産出量は変わる

コミュニケーションの方法を変えることで、アイデアの産出量は変わる

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


昔、あるプロジェクトで大学生のイベント(大量のプロジェクトを生み出そう、という主旨のイベント)にサポートで入ったことがあります。

そこで不思議なことがありました。

あるチームのメンター(相談に乗るかかり)として私は彼らのブレインストーミングをみていて「ああ、リーダのAくんは魅力的なアイデア出すなあ」とか「Bくんは、やる気があるのかないのか、わからないなぁ、ほとんど黙っているし」という感想をもっていました。

その夜、メッセンジャー(チャット)で、ブレストをする、と彼らが言うので、その場に私もログインしてモニターしていました。

ハンドルネームでは誰が誰だかわかりませんが、大体、話す雰囲気から、これは、彼だな、これは彼女だな、とわかりました。

そのなかで、アイデアの質も量もすばらしい人がいました。内容的にもなかなか、面白く、ブレストの流れは彼の発言が作り出しているようなところがありました。

私は内心「おお、さすがに、このリーダ(Aくん)は、やるなぁ」と思ったのでした。


さて、翌日、イベントの会場で、彼らのテーブルにいき、Aくんに、「夕べの君の、あの○○というアイデアは、面白かったね」とコメントしたところ、その彼が"それは俺ではないですよ"といいました。私は「え?あれは誰?」というと、皆でBくんを指しました。昨日はほとんど発言しなかったBくん。

"なんと・・・"

と内心、驚いて、その日は彼が、ブレストを引っ張るかな、と思いきや、やっぱり彼は、対面でのブレストでは、あまり発言をしていませんでした。

この時、私は一つのことを気がつきました。
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"人は、コミュニケーションの方法によっては、アイデアの産出量が大きく変わりえるのだ"
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と。

そして、ブレインストーミングの場において、「発言をしない」のと、「アイデアを持っていない」のとは、まるで別のものである。と認識しなければ、大事なことを見逃してしまう、と思ったのでした。

電子ブレインストーミングという方法が、ある種の人々にとっては、アイデアを生み出すためにはとてもよいコミュニケーション形態であるし、ある人たちにとっては、逆にそれはもどかしい(あるいは、アイデアが出しにくい)コミュニケーション形態でもある。メンバーの資質や課題のもっている性格によっては、こうした「対面」「非対面型(電子でも、あるいは、紙でも、方法はありますが)」をうまく使い分けることが大事である、と悟ったのでした。

前にブレストの発展形、として紹介したものはいずれも、「対面」の手法です。でもそうじゃない方法として(代表格は電子ツールをつかってのブレストですが、それ以外にもある)「非対面」の方法も、ぜひ取り入れられないか、と考えてみたいものです。