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アイデアの選び方【5】

アイデアの選び方【5】

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

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今日は仙台から東京に向かう新幹線の中で書いています。(記事のアップは東京の神田のホテルより)
 
アイデアを選び出す方法として、先に評価軸を列挙、検討して、3軸を抽出すると
評価はとっても簡単になる、という話をこのシリーズで展開してきました。

実際のところ、アイデアの評価軸を列挙して、採用したい3軸を選び出す、というのは結構な困難さを伴う作業です。

(例えば1)メンバーが組織横断的で、それぞれの部門の利害が複雑に影響しあっていると、この部分はかなりの大変さ。こういうシーンでは、ハイライト法のような直感的なアイデア上位20%抽出をするほうがいいでしょう。そして上位のものを元に、さらにアイデアを広げて、その中のトップアイデアを選んでもらい、具体的に評価してもらうと、各部門代表者の評価観点があぶりだせます。

それらを会議の場で行うのはかなりの難しさなので、皆のアイデアへのコメントを議長は分析して、評価軸を次の会議では、いくつか作っておいて、使うといいでしょう。ただし表面的にやってはいたずらに紛糾するばかりなので、この辺は慎重に(しかし、やらなねばならない。アイデアをメンバーが選択できない会議は、永遠におわらないか、前例通りのプランしか通せなくなります)。

(例えば2)メンバーがアイデアの評価に対してなれていないチームの場合。今日はこちらに力を入れて説明します。アイデアを扱うことに慣れていないと、評価の3軸をつくるので、評価軸の候補となるものを提示してください、といわれても、何をしていいのかわからない、ということが結構あります。いいものはいいんだ、それでいい。とも。それもわからなくは無いのですが、それだと、意見の似ていないメンバーがいると、メンバーの多様性を利点として活用しにくく、似ている人同士のチームしか成り立たなくなります。多様性を欠いたその先にあるのは、危なっかしさです。

こういうときには、評価軸の候補となるものを具体的に、沢山示した上でそこから選び取ってもらうと、うまくいきます。アイデアプラントではこういうシーンにむけて「IDEAVote(アイデアボード)」という道具を作りました。

その中の評価軸(テーブルゲーム風なので、ゲームっぽい雰囲気の名前ですが)をご紹介します。
これをヒントに、評価軸を作って用意しておくだけでも、チーム内のアイデアセレクションの文化が
効果的に伸びますから、ぜひ活用してみてください。

新規性(あたらしさん)
低コスト(さいふさん)
収益(いんかむさん)
短時間で実施可能(すぐやすさん)

少ない人材で可能(ひとでさん)
技術的に用意(てっくさん)
顧客満足度の高さ(よろこぶさん)
必要部材や機材が少ない(よういさん)

なお、この軸に登場しないけれど
よく追加される軸は

環境負荷の低さ(えこさん)
リスクの低さ(あんぜんさん)

があります。

簡単なネームカードにでして、選択してもらうと、
各人の評価要素がみえてくる副次的効果もあります。


参考