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モチベーションを殺すものから、遠ざかれ
»2010年5月26日
力重の「ブレインストーミング考」
モチベーションを殺すものから、遠ざかれ
アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。
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職場に必ず、いますよね、「ま、とはいっても、うまくいかないだろうけど」といちいち否定してくる人。企画を練ろうという時に、そばにいられると、こういう人にイラッとすることが、誰しもあります。
職場や知人に、なんでも否定的に表現する人がいたらその人とは、(少なくとも、発想が必要な仕事の前には)接さずにすむように工夫することを心がけると、発想作業で無駄に苦しまずにすみます。
どうやって回避するのかは、状況しだいですが、社外に出てしまうのが手っ取り早いかもしれません。いやな気分になることのない喫茶店をみつけておいてそこで時間を過ごせるといいですが、そうもいかないときには、客先に早くつくようにして、周囲を歩きながら、発想するのもおすすめです。あるベテラン営業マンは必ず30分前にあいてのビルに着くようにしているそうです。そして、そのビルを中心に、らせん状にぐるぐると周囲のエリアを歩くそうです。するとお客さんとの会話の切り口("近所にベーグルやさんができましたね"とか)ができていいそうです。
新しいインフォメーションに接する瞬間には、発想のための「新しい情報の掛け算」が生まれやすくなりますので、客先の近くを歩くのは意外といい方法です。
しかし、外出できない人はどうするといいでしょうか。
これについては、難しいところではあります。
社内の「否定さん」が隣の席だったりすると、なにか否定的なオーラがいつもあって、クリエイティブになりにくい、それを超えて発想してこそ本物だ、という根性も大事ですが、やっぱり能力の発露を抑制する要因が近くにあるのは、苦しいものです。
そういうときには、相手の意見を聞き流しつつ、発想の材料にする、という方法があります。ブレストの中でも使えるコツです。
相手が言う否定語がきたら、はっとそれをひろって、ひっくり返して発想のトリガーしにます。
例えば
「そんなイベントさー、物好きなやつしかこねーよ。よくしらんけど。」という言葉があったら、
『それはそうかもしれない、でも、どんなイベントでも必ず少数だけど来る様な特殊な趣向の人はいる。
そういうマニアックな人が、もっとないて喜ぶような、マニアックなイベントって無いだろうか』と考える。そんな具合です。
これは、トレーニングがいります。しかしトレーニングをしていると、あることに気がつきます。それは、その彼(彼女)の無限の否定語は、無限の発想トリガーの生成機である、ということを。
さまざまな角度から否定をできるひとがいたら、実はその人が作り出すトリガーは、かなりの発想の刺激につかえます。その場で発想をするのは無理でも、あとで、発想のトリガーとしてひっくり返したものをメモして、帰りの電車で発想するのもいいでしょう。
多種多様な否定が出せる人、というのは、あるいみ創造的でもあります。創造性の専門家はいいます「否定をつくる能力と、創造的思考の能力には関係がある」と。なので、本当はそういう「否定さん」は、何かをうまくねじってやれば、結構、プロジェクトチームのアイデアパーソンになる可能性があります。
今夜のところは、この辺で筆を置きたいと思います。
少なくとも、否定の言葉を真正面からうけとるのは、戦略上あまりうまくない方法です。それは、創造的思考の回転数をさげさせ、頭が固くなる状況です。否定する人から離れるか、彼彼女の言葉を、額面どおりに受け取らないでむしろ積極的に材料にするか、を、是非してみてください。考える時間と考えるに都合のいい環境をつくることも、できるビジネスパーソンの仕事です。