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311以降の世界では「創」の一文字。無いからこそ

311以降の世界では「創」の一文字。無いからこそ

石井 力重

アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。

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私は仙台で大震災を迎えて、その後、戦後のような状態の食糧難の中をしのいでいました。では、今年の一文字は「災」か。否。

」の一文字だと、私は思います。

日本はややこしいこともいろいろある社会ですが、なければ何とかしなければいけない、そういう時には、割と力強い民族だと思います。いろんなものを失い、人々は、抱える物もありながら、強く道を作り出しています。(未だ歩き出すことだって難しい状況の地域だってあるので軽々しくは言えませんが、状況はグラデーションのように連続的で、猛スピードで、創る、にまい進している人もいて、まだ生活がままならない方もいて。そんな状況です。沿岸部には殆ど報道されない、壊れたままの地域も、有ります。ここでは、グラデーションの両端のまい進側に話を限り、書きます)

自分が生きていくのが大変、という中でも人々は、より良い明日を作ろうとして、力を合わせて、いろんなものを作ります。仕組みだったりもします。私自身が、アイデアプラントという「アイデア創出の支援」をしていることもあり、創る側の人々のコミュニティーに高い確率でいるので余計にそう見えるのかもしれませんが、震災後の仙台では、実にいろんなものができました。それは311の前の世界だったらきっと難しかったもの。そう思います。

個別のその動きはニュースになったり、TED×Tohoku のようなところに詳しいので、省きますが、震災の後の世界では、創る、が私の感じたこの街ーー仙台の意思でした。

前に、お正月のサッポロビールのCMで「ないものは、つくるしかない」という長い尺のCMがあり、今も印象に残っているのですが、経済や産業がずっと若かったころ、そんなにいろいろ選択肢はないし、欲しいなら作るしかない、そういう時期があったのだとおもうのです。大きく地面がはぜて、瞬間的に戦後直後のような状態から急速に現代社会までもどった仙台の日々をその中で感じて、そんなことを思いました。

(蛇足:それと、個人的なことですが、愛すべき名物編集長、創さん(鷹木さん)が、最愛の人を得たのも、今年の一字は、そうでしょう、とおもうでした。)