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7つの習慣、時間のない人のための3つの読み方アイデア
»2010年8月30日
力重の「ブレインストーミング考」
7つの習慣、時間のない人のための3つの読み方アイデア
アイデアプラント 代表。著書に『アイデア・スイッチ』。専門領域は「創造工学」。クリエイティブ・リーダを助ける道具を作っています。
当ブログ「力重の「ブレインストーミング考」」は、2015年4月6日から新しいURL「http://blogs.itmedia.co.jp/ishiirikie/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。
誠ブログでは『7つの習慣』キャンペーンを行っています。私もこのキャンペーンをきっかけに読んだくちですが、多くの書籍とは骨太さが違います。
まず、本の最後を開いてびっくりしました。初版第63刷発行。どういう売れ方パターンをしているのか、想像ができません。初版第1刷が96年12月25日、とののことで、もうすぐ15年。96年ということは、Windowsが3.1から95になって、世の中がわーわーいっていたそんな時代。当時と今とで「人間のこと」については、まったく変わらないことも興味深いです。
さて、内容ですが、手に取ると相当分厚い(目次付録含めて500ページ近い)ので、時間のない人にどういう入り方をしてもらえるのかいろいろイマジネーションを働かせてみました。
そして、筆者なりに、時間のない人にむけて、3つの読み方アイデアを考えてみました。
(1)「第Nの習慣-応用の提案」 ページから読む。
- 第一の習慣/主体性を発揮する--応用の提案-- P122
- 第二の習慣/目的を持って始める--応用の提案-- P204
- 第三の習慣/重要事項を優先する--応用の提案-- P258
- 第四の習慣/WinWinを考える--応用の提案-- P346
- 第五の習慣/理解してから理解される--応用の提案-- P388
- 第六の習慣/相乗効果を発揮する--応用の提案-- P427
- 第七の習慣/刃を研ぐ--応用の提案-- P465
このページだけをみてわかるかというと「分かるところもあるし、読んでないと見当もつかないところもある」のが実際ですが、ビジネススキルの好きな人、普段から仕事や人間の行動の基本原則を考えている人だと、ここを見ただけでも、ざっくり、「あ、おもしろそう。なるほど」と分かると思います。そして「具体的にここはどういう概念だろう」とたどって本文を読むと、短い時間でも、効果的に深く読めそうです。
(2)ショート・ストーリーだけ、読む。
ところどころに、すこし小さいフォントでやや丸っこいフォントで「こういうことがあった」という、人間を洞察したなまっぽいシーンを「物語る」文章があります。ここは前後の文章を知らずに読んでも、面白い。
どう面白いかというと・・・、そうですね、今で言えば、ツイッターに時々流れてくる面白い出来事とか、はてブとかの集まる「こないだ見た、面白い出来事」的な感じで、あっさり楽しく読めます。例えば、いま筆者の手元で開いているのはP266ですが、ここでは、"妻がセミナー受講期間に電話を沢山してきて誰といるとかを細かく聞く。そのことに困っている受講生"の話で、さもありなん。という感じです。ここでおわれば、発言小町を沸かせる質問者さんとそう変わりませんが、最後に「友よ、行動で作った問題は言葉ではごまかすことはできない」という言葉で閉じられています。このショートストーリーの前後を読むとこのショートストーリーの位置づけや最後の一文が意味することをを学ぶことが出来ます。「興味が先。あとから学び」の方が、人間は読書速度が速いと筆者は思うのですが、読書よりも社会学習のほうがすきな人にも楽しく早く読めるでしょう。(こういう読み方の出来る本は、現代の書籍には少ない気がします。どうでしょう。むしろWEBに多い気がします。)
(3)「ばらららーと、何度もめくり、引き寄せられるページ」から読む。
実際にこういう読み方をする人が多いとおもいます。なので、3つ目にあげるほどでもないのですが、実際的には、この読み方が一番自然です。特に図書館でこれをやると面白い。皆が長く開くページはそこが自然とばらっと開くので、めくったときの反動が微妙に違います。電子書籍やWEBの文章にはない「物質の手ごたえ感」というか。それはさておき。
さて、私がなんどかこの本を、ばらららーと、なんども頭から終わりまでめくったときに目を引いたのはここ(P248)でした。ここだけすこし、長く引用してみます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━「完全なデレゲーションのための5つの事柄」・望む結果・ガイドライン・使える資源・責任に対する報告・履行(不履行)の結果━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
デレゲーションは"委任"を意味しています。部下や家族に仕事や家事を任せるときには、委任に2種類あり、一つは「使い走りのデレゲーション」でもう一つは「完全なデレゲーション」。前者は「これをしろ、終わったらすぐに知らせろ」というやり方。後者は「手段を選択する自由を相手に与え、結果的に責任を持たせる」やり方。
後者を行うには「最初から次の五つの事柄を明確に打ち出し、相互理解と決意を得るようにしなければならない」とあります。
文中からもうすこしこの5つの説明を抜粋するとこうです。(部分的に抜粋します。原文は書籍をご覧ください)
・望む結果
━━━━━
□どうやって、より、何を。
□望む結果をイメージして、相手にもそれを想像してもらい、鮮明に描く。
・ガイドライン
━━━━━━━
□ガイドラインはなるべく少ない方がよい。
□大きな制約があるならば、それを相手に教える。長年の決まりごとや大切な価値観をこわしてしまう結果を招くのはよくない。そうすることは逆に相手の率先力を潰してしまう結果となり(後略)。
□必ず失敗すると分かっているやり方があるなら、それも明確にしておく。
□失敗するやり方やすべきでないことは指摘しても、「どのようにしろ」とは言わない。
□ガイドラインの範囲内で必要な行動がとれるように、環境を整えることが肝要。
・使える資源
━━━━━━
□活用できる人的、金銭的、技術的、組織的な資源の範囲を明確に。
・責任に対する報告
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□結果を評価するための基準を設定。
□評価する人は誰。
□報告と評価が具体的にいつ行われる。
・履行(不履行)の結果
━━━━━━━━━━━
□評価の結果によってどうなるか(賞罰)を設定。
これだけでも、かなり、人に仕事を依頼するときのヒントになりますね。部下を初めて持つようなリーダや、新しい取り組みをするグループで、各担当者に自立的に動いてもらうときにも大いに役立ちます。この後に続くショートストーリーでは、息子に、庭の芝の手入れを委任する話が展開されますが、忍耐強い委任者の感じる、やきもき感を体験できます。
以上、長くなってしまいましたが、3つの読み方アイデアでした。
読書の好きなひとには、叱られてしまいそうな読み方の提案でしたが、読書の時間の無い方が、短い時間で中身を試食できるような方法を提案できていれば幸いです。