これはなんとかしなくては。

もっとも何をすればいいのか分かりません。

小論文の問題をながめて呆然としてしまいます。

 

その時ふと、身近に素晴らしい人がいることを思いだしました。

 

私は学生のころ５年間、医歯薬科大学受験予備校で事務のアルバイトをしていました。

その校長先生がとくに面接と小論文を教えるのが得意な先生だったのです。

先生に相談すれば、なんとかできるかもしれない。

 

でも不安が頭をよぎります。

歯科という特殊な業界のことが分かっていただけるだろうか。

とにかく忙しい方です。

時間をとっていただくのも難しそう。

先生の個人教授となるとお金も必要でしょう。

昼ごはんをコンビニのおにぎりにして節約し貯金しました。

 

小論文の問題を見せながら、挑戦しようと思った経緯を必死で話します。

先生は、私を真正面から見据えて聞いています。

私が心の底から本気かどうか確認したかったのでしょう。

すでに面接試験の開始でした。

 

先生は言いました。

「明日から毎日、論文を書いて持ってきなさい。お金は持ってこなくていいから」