ワイヤーは細くて固い。

しかもバネなので腰が強い。

ちっとも言うことを聞いてくれません。

 

それでもあきらめずに続けていると、なんとかそれらしい形が作れるようになってきました。

 

「腕が上がったかな」

そう思うと俄然やる気が出てきます。

「よし、この調子だ」

 

後は微調整をすればいい。

ところが模型の歯型に合わせてみると隙間だらけ。

使い物になりません。

 

これじゃだめだ、またやり直しだ。

そうやって丸一日かかって作ったのは三十個の金属製のクワガタ虫。

 

どこをどう見てもワイヤークラスプには見えません。

これを口に入れるなんて無理！　

口の中が傷だらけになってしまいます。

 

「ああ、どうしよう？」

焦る気持ちと指先の痛みと本当に出来るようになるのかという不安が、大きなかたまりとなって私に襲いかかり、くじけそうになります。

 

そのたびに「挑戦するしかないんだ！」と、強く言い聞かせるのでした。

 

なんとしてもワイヤークラスプを作れるようになりたいと「深く願いました」。

これまで説明してきた成活習慣の流れでは2番目にあたります。

なりふり構わない姿勢は、カッコよくありませんが時には必要です。

 

しかし何度やり直しても思い通りの形になりません。

金属のクワガタ虫が増え続けます。

出るのはため息ばかり。

 

ガクっと肩を落とし、頭を抱え込んだまま途方にくれてしまいました。

出来ない！　どうしても出来ない。

悔しい。

情けない。

 

心細くて涙が出そうになりました。

 

私はついにギブアップ。

Ｗさんに泣きついたのです。