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中学生の国語クラスでシェイクスピアを読まされ、目が点になる

中学生の国語クラスでシェイクスピアを読まされ、目が点になる

中山 順司

スキナヒト製作所 所長。

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学校は、集落とか村とか、少なからず人のいる場所にあると聞いていました。しかし、実際はとうもろこし畑のど真ん中に建っており、見渡す限り地平線(雪)です。「逃走しても、町に着く前に凍死する」レベルです。

改めて、「僕はここでやっていくしかない」と、覚悟を決めました。


さて、ここは小中高一体型の全寮制学校なので、様々な年代の生徒が校内入り乱れて授業を受けます。高校生の数学のクラスのとなりで、小学生が合唱をしてたりして、ちょっとほのぼのしています。

人種比率はおおよそこんな感じ。

50%:アメリカ
40%:エチオピア
5% :韓国
4% :中南米
端数 :私(唯一の日本人)

全校生徒を足しても150名程度なので、とてもアットホームな雰囲気です。生徒と先生の距離が近そうだと感じられました。マンモス英語学校に行ったらこうはいきません。この部分はよい選択をしたと思っています。


さて、およそ半数が留学生ではあるものの、私を除くほぼ全員が不自由なく英語を操ります。スタートラインから相当ビハインドなので、気合いを入れて食らいついていかねばなりません。

私の望み通り、高校生の数学、理科、歴史などの授業に放り込まれたのですが、しばらくはチンプンカンプンで頭を抱えました。10%も理解できていなかったと思います。国語はさすがに高校生レベルは酷ということで、中学生のクラスに入れられました。それでもシェイクスピアを読まされ、見たこともない単語と古典的表現のオンパレードに目が点になったものです。

で、中学生の国語を担当していたのが、カフェテリアで会った70歳ほどのお婆さん、ベルズさんでした。私はマヌケな質問をして中学生に笑われながらも、ベルズさんの陽気なフォローに助けられて前向きに取り組むことができました。

そうはいっても、1週目はろくに友人もつくれず、授業に目を白黒させ、おまけに飯はまずいという慣れない環境だったので、心のリミッターは常に振り切ったような状態になっていました。

冷静に考えれば、現地の授業にいきなり放り込まれてすぐについていけるワケがありません。しかし、これから大学に入学しようとしているのですから、一段低い高校レベルを克服できないようでは話になりません。一浪をしているに等しい状況だった私には、常に焦りがありました。

1日も早く授業についていかねば、もっと英語力を高めねばと、他の生徒が遊んでいる放課後や食後の自由時間も机にかじりつきました。とにかく時間さえあれば単語帳をめくったり、TOEFLの参考書とのにらめっこに明け暮れました。


そんな様子が周囲には奇異に映ったのでしょう。

「あの英語のヘタなジャップは勉強ばっかして、変なヤツだ」

と思われたっぽい私に、エチオピア生徒らが声をかけてきました。



「おいジュンジ、一緒にサッカーやろうぜ」

つづく



代表 中山順司