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お笑い番組で、英語のリスニングを克服する

お笑い番組で、英語のリスニングを克服する

中山 順司

スキナヒト製作所 所長。

当ブログ「20年前の留学を、淡々と振り返る記録」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/jnakayama/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


英語のスキルは大きくわけて、"読む"、"聴く"、"話す"の3つあります。その中で留学直後に私がいちばん苦労したのは「聴く」、いわゆるリスニングでした。
※多少の個人差はあるでしょうが、大半の日本人留学生がとりあえず苦労するのがリスニングではないかと思います。



留学経験者は同意してくれると思うのですが、空港のアナウンスがさっぱり聞き取れないことにまずショックを受けます。私は、「アナウンスを聞き間違えて、間違った便に乗ってしまってはヤバイ!」と、チケット片手に空港内を駆けずりまわってようやく目的の便に搭乗したと一息ついたら、機長のあいさつも2割くらいしか聞き取れなかったりしました。

「ほんまにオレ、やっていけるんやろうか・・」

と不安がヒタヒタと押し寄せてきて、機内食も満足に喉を通らなかったです。



さて、"読む"に関しては、6年間の義務教育と単語力のおかげで、現地でもなんとかなるものです。このへんは、むしろ得意に感じる日本人は多いかもしれません。

"話す"についても、学校教育でじゅうぶんカバーされてはいませんが、いざとなれば文法無視でデタラメに単語を並べれば、意外に通じてしまったりします。

しかし、"聴く"ことだけは話す相手が主導権を握るため、聴く側が相手に合わせねばなりません。「えっと、あの単語の意味はなんだっけ?」と途中でつまづくと、そこから後ろの意味がまったくわからなくなってしまい、お手上げ状態です。話を理解していないくせにあいまいな相づちをうち、「で、君はどう思う?」と尋ねれて恥をかく、ということもありました。



で、そんな状況を打破すべく取り入れたのが、テレビです。サッカーの部活と夕飯の間にあった1時間のフリータイムを使って、校長先生の住む住居のリビングで、テレビを見ることを許されました。

生徒は原則テレビが禁止でしたが、勉強のためという大儀をもらえた私は、大手を振ってテレビを見ることができたのです。



視聴を指示されたのは、夕方のニュース番組とコメディードラマの30分番組2本で、これがけっこう効果を発揮してくれました。

ニュース番組の良さは、なんといっても「キャスターの発音がキレイで、比較的聞き取りやすい英語であること」と、もう一つは「時事ネタを仕入れられること」の2点です。

それに、相手がテレビなので、たとえ部分的に聞き取れなくても問題はありません。ノートにわからなかった単語や言い回しをメモし、後で調べる、というスタイルで見ていました。
※そういえば、天安門事件(1989年6月4日)を知ったのは、このテレビレッスンを通じてでした。



ニュース番組は効果的な勉強ツールでしたが、負けず劣らず有意義だったのがコメディドラマです。アメリカでは、「シチュエーション・コメディ(略してシットコム)」と呼ばれるジャンルのお笑い番組です。

日本人に馴染みのある番組としては、「フルハウス」とか、(ちょっと古いですが)「アーノルド坊やは人気者」をイメージしてもらえばよいでしょう。最近では「フレンズ」あたりでしょうか。90年代はこの種の番組がやたら充実していました。



最初のうちは笑いどころがわからず、首をひねりながらでしたけれど、1ヶ月も見続けていると、欧米風の皮肉とか、大げさなダジャレがだんだん理解できるようになってきました。

ニュースもコメディも、30分という長さは集中力をキープするのにちょうどよい長さで、オンのニュース、オフのコメディという感じで楽しみながらリスニングを学ぶことができました。しかも、コメディには適度なスラングや、参考書には書いてないけど日常的によく使われる言い回しがふんだんにあり、実践的な学習ツールだったのです。


ちなみに好んで見ていたのは、「グローイングペイン」、「コスビー・ショー」、「サインフェルド」、「Cheers」、「Married with children」、「Home Improvement」、「Who's the Boss?」あたりでした。



そんなこんなことを3ヶ月も続けているうちに、リスニング力は知らず知らずの間に向上していきました。そして、ちょうど留学して半年が経ったある日の授業で、その効果を実感する出来事がありました。


つづく



代表 中山順司