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「直ちに影響はありません」を図解してしまえ

「直ちに影響はありません」を図解してしまえ

開米 瑞浩

社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。

当ブログ「開米のリアリスト思考室」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kaimai_mizuhiro/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


こんにちは。複雑な情報を構造化してわかりやすく表現する技をひたすら追求する、知識の構造化オタクこと開米瑞浩です。

このところ原子力論考を長々と書いてきましたが、原子力や安全保障の話はたまたま知っているから書いているだけで、本来私の本業ではありません。本業じゃないことばかり書いていると、何をやっている人かと不審に思われそうなので(^^;; このへんでいったん本業の話を入れておきましょう。

■「直ちに影響はありません」・・・ってどういう意味?

 2011年3月の東日本大震災・福島原発事故以来、「直ちに健康に影響はありません」と放す官房長官の姿が何度もTVに流れましたが、この「直ちに影響はありません」という言葉は「わかりにくい」と評判の悪いものでした。
 私は官房長官が初めてこう答弁するのを見た当初から、「これはまずい。ある誤解をされる恐れがある・・・」と思ったものですが、実際にその想定通りの誤解をしている例をその後いくつか聞きました。そこで、こんな問題を考えて見ましょう。


 たとえば、「ホウレンソウから微量の放射性物質が検出された」といった状況下で「このホウレンソウを食べても直ちに健康に影響はありません」と説明したとすると、この「直ちに影響はありません」という表現は、以下のどの意味にも受け取られる可能性があります。


<候補1> 短期間では影響は出てこないが、長期的には出る可能性がある。

   
    (少し極端な例で言うと、「この1週間は何もないだろうけれど、10年後に発がんする
     可能性は否定できない」というような意味)


<候補2> 短期間でも長期間でも影響は出ない


<候補3> 短期的には影響はない。長期的には、このホウレンソウを毎日大量に1年食べ続けたときには影響が出る恐れがあるが、そういうことはありえないだろうから長期的にもやはり影響はない。


 以上の3候補のそれぞれの意味をもっとも分かりやすく伝えられるような図解案を考えてみましょう。
 3候補それぞれの違いがくっきりと分かるように工夫すると、非常に説明がしやすくなります。。

 ヒント:ホウレンソウの「量」について明示的に語っているのは候補3だけですが、実際には候補1、2ともに「量」についてある仮定をしています。その「仮定」を時間軸上にうまく表現することを考えてください。

回答は、次回!