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選挙期間中も「自民党が徴兵制導入を検討」というデマが飛んでいたようですね
»2012年12月19日
開米のリアリスト思考室
選挙期間中も「自民党が徴兵制導入を検討」というデマが飛んでいたようですね
社会人の文書化能力の向上をテーマとして企業研修を行っています。複雑な情報からカギとなる構造を見抜いてわかりやすく表現するプロフェッショナル。
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社会人の文書化能力向上研修を手がけている開米瑞浩です。
選挙も終わりましたので、政治的な話を書くことにしましょう。今回は「徴兵制」の話です。 (またしても本業とは関係のない話題で恐縮ですが・・・)
記憶に残っているところでは2010年の3月4日に共同通信がこんな報道をしています。
2年前の報道をWebに残しているところは共同通信を褒めてもいいのですが、肝心の記事内容は大変クオリティが低いものです。というのは、
「徴兵制導入の検討を示唆する」
という、記事タイトルにもなっている一節が完全に事実誤認だからです。
この報道に対して自民党は即座に公式に否定しています。
共同通信(2010-0304)が出たとき、私は移動中にその報道を目にして「いったい何の冗談だこれは?」と思いました。というのは、自民党から「徴兵制を検討する」なんて案が出てくるはずがないからです。
もし本当に自民党筋からそういう発言が出てくるとしたら、事情を何も分かっていない馬鹿な議員が軽いジョークでも飛ばすつもりで言ったときぐらいしかあり得ない。
「徴兵制」というのはそれぐらいあり得ないことです。
というのはどういう理由でかというと、
徴兵で取った人員では現代の軍事組織は維持できない
からです。これは一般の人には知られていませんが、多少とも軍事知識のある人には常識です。日本で徴兵制を導入しよう、なんて話が出たら真っ先に自衛隊が反対します。そんなことをしたら国防が崩壊しますから。防衛問題に詳しい議員の多い自民党がそんな馬鹿な構想を出すはずがありません。
「くだらん寝言言ってる暇あったら仕事しろ」
とツッコまれて終わり、というそういう話なんですよ。
ところが、そのぐらいあり得ない話を共同通信(2010-0304)は報じたわけです。「自民党、徴兵制を示唆」と。いったいこれはどういうことなのか。
あまりにもあり得ない話なので、当時も軍事クラスタは一斉に反応しましたが、その結果、「共同通信の誤報」ということで落ち着きました。
"5年前に徴兵制禁止と言っていた自民党が、今度は徴兵制を検討?⇒即座に否定、共同通信の誤報か : 週刊オブイェクト"
そうなると今度は
なぜ共同通信はそのような誤報をしてしまったのか?
というほうが問題として浮上してきます。
既に書いたように、「自民党が徴兵制を検討」なんていうネタは「くだらん寝言言ってる暇あったら仕事しろ」と突っ込まれて終わり、というぐらいのあり得ない話なのですが、共同通信の記者、キャップ、デスクはそれを知らなかったのでしょうか。それとも知っていてあえて
タイトル:自民、徴兵制検討を示唆 5月めど、改憲案修正へ
というタイトルで記事を書いたのでしょうか。
記者からデスクまで知らなかったのであれば政治報道に関わる者として不勉強極まる話であり、知っていてあえてこのタイトルをつけたのであれば政治報道に関わる者として不誠実極まる話です。
なんにしても、現代の軍事組織においては徴兵制は成り立ちませんし、「徴兵制廃止、志願制への移行」は世界中、共通する流れです。
にもかかわらず、2年前のこの共同通信の誤報をいまだにとりあげて「自民党が徴兵制を導入しようとしている!」と騒ぐジャーナリストがいます。
このジャーナリスト氏も、徴兵制というのが現代の少なくとも先進国の軍隊ではありえないことを知らないのでしょうか、それとも(以下略)。
上記のジャーナリスト氏によるtwitter発言は先月末(11/30)のものですが、それ以前から何度もこの共同通信(2010-0304)を根拠にして自民党批判をする声が間欠的に再燃するんですよね。
選挙が近づいた先月末以降も、自民党へのネガティブキャンペーンの一環と思われるこの種の発言が増えていました。
もしそれを目にして、ついうっかり信じ込んでしまっていた、という場合、政治的問題に関する自分の情報源を再構築することをお勧めします。
この「徴兵制デマ」は比較的有名な話ですから、たとえば私も先月末~今月初めにかけて何度かそれはデマであるということがわかる情報を twitter を通じてRTで流していました。ですから、たとえば私のtweetを見ていれば(見逃さなければ、ですが(^^ゞ)、このデマには引っかからなかったはずです。
別な言い方をすると、先月末から今まで、もしこの徴兵制デマを肯定するような情報しか目にしていなかったのであれば、それは普段目にする政治的情報源がある種の方向に偏っている、という可能性が高いわけです。「政治的問題に関する自分の情報源を再構築することをお勧めする」というのはそういう意味です。
まあ、こういうことを書くと、「おまえの情報源こそ偏ってるんじゃないのか!」という逆ギレがあることでしょうが、ね(笑)
選挙も終わりましたので、政治的な話を書くことにしましょう。今回は「徴兵制」の話です。 (またしても本業とは関係のない話題で恐縮ですが・・・)
記憶に残っているところでは2010年の3月4日に共同通信がこんな報道をしています。
共同通信(2010-0304)「自民党、徴兵制を示唆」
タイトル:自民、徴兵制検討を示唆 5月めど、改憲案修正へ
本文: 自民党憲法改正推進本部(本部長・保利耕輔前政調会長)は4日の会合で、徴兵制導入の検討を示唆するなど保守色を強く打ち出した論点を公表した。(後略)
2年前の報道をWebに残しているところは共同通信を褒めてもいいのですが、肝心の記事内容は大変クオリティが低いものです。というのは、
「徴兵制導入の検討を示唆する」
という、記事タイトルにもなっている一節が完全に事実誤認だからです。
この報道に対して自民党は即座に公式に否定しています。
自民党声明(2010-0304)
"徴兵制検討"との一部報道について 大島理森幹事長コメント(2010/03/04)
本日の憲法改正推進本部で、わが党が徴兵制導入の検討を打ち出したかのような一部報道があるが、事実関係について誤認がある。
論点整理は、あくまでも他の民主主義国家の現状を整理したものにすぎない。
いずれにしても、わが党が徴兵制を検討することはない。
共同通信(2010-0304)が出たとき、私は移動中にその報道を目にして「いったい何の冗談だこれは?」と思いました。というのは、自民党から「徴兵制を検討する」なんて案が出てくるはずがないからです。
もし本当に自民党筋からそういう発言が出てくるとしたら、事情を何も分かっていない馬鹿な議員が軽いジョークでも飛ばすつもりで言ったときぐらいしかあり得ない。
「徴兵制」というのはそれぐらいあり得ないことです。
というのはどういう理由でかというと、
徴兵で取った人員では現代の軍事組織は維持できない
からです。これは一般の人には知られていませんが、多少とも軍事知識のある人には常識です。日本で徴兵制を導入しよう、なんて話が出たら真っ先に自衛隊が反対します。そんなことをしたら国防が崩壊しますから。防衛問題に詳しい議員の多い自民党がそんな馬鹿な構想を出すはずがありません。
「くだらん寝言言ってる暇あったら仕事しろ」
とツッコまれて終わり、というそういう話なんですよ。
ところが、そのぐらいあり得ない話を共同通信(2010-0304)は報じたわけです。「自民党、徴兵制を示唆」と。いったいこれはどういうことなのか。
あまりにもあり得ない話なので、当時も軍事クラスタは一斉に反応しましたが、その結果、「共同通信の誤報」ということで落ち着きました。
"5年前に徴兵制禁止と言っていた自民党が、今度は徴兵制を検討?⇒即座に否定、共同通信の誤報か : 週刊オブイェクト"
そうなると今度は
なぜ共同通信はそのような誤報をしてしまったのか?
というほうが問題として浮上してきます。
既に書いたように、「自民党が徴兵制を検討」なんていうネタは「くだらん寝言言ってる暇あったら仕事しろ」と突っ込まれて終わり、というぐらいのあり得ない話なのですが、共同通信の記者、キャップ、デスクはそれを知らなかったのでしょうか。それとも知っていてあえて
タイトル:自民、徴兵制検討を示唆 5月めど、改憲案修正へ
というタイトルで記事を書いたのでしょうか。
記者からデスクまで知らなかったのであれば政治報道に関わる者として不勉強極まる話であり、知っていてあえてこのタイトルをつけたのであれば政治報道に関わる者として不誠実極まる話です。
なんにしても、現代の軍事組織においては徴兵制は成り立ちませんし、「徴兵制廃止、志願制への移行」は世界中、共通する流れです。
にもかかわらず、2年前のこの共同通信の誤報をいまだにとりあげて「自民党が徴兵制を導入しようとしている!」と騒ぐジャーナリストがいます。
http://twitter.com/iwakamiyasumi/status/274496010447888385
さあ、どうする? RT @leonardo1498: 【軍国主義復活へ】自民、徴兵制検討を示唆 5月めど、改憲案修正へhttp://t.co/XSHr49a7
このジャーナリスト氏も、徴兵制というのが現代の少なくとも先進国の軍隊ではありえないことを知らないのでしょうか、それとも(以下略)。
上記のジャーナリスト氏によるtwitter発言は先月末(11/30)のものですが、それ以前から何度もこの共同通信(2010-0304)を根拠にして自民党批判をする声が間欠的に再燃するんですよね。
"共同通信の自民徴兵制検討デマに、未だに釣られる馬鹿達 - Togetter"
http://togetter.com/li/394785
選挙が近づいた先月末以降も、自民党へのネガティブキャンペーンの一環と思われるこの種の発言が増えていました。
もしそれを目にして、ついうっかり信じ込んでしまっていた、という場合、政治的問題に関する自分の情報源を再構築することをお勧めします。
この「徴兵制デマ」は比較的有名な話ですから、たとえば私も先月末~今月初めにかけて何度かそれはデマであるということがわかる情報を twitter を通じてRTで流していました。ですから、たとえば私のtweetを見ていれば(見逃さなければ、ですが(^^ゞ)、このデマには引っかからなかったはずです。
別な言い方をすると、先月末から今まで、もしこの徴兵制デマを肯定するような情報しか目にしていなかったのであれば、それは普段目にする政治的情報源がある種の方向に偏っている、という可能性が高いわけです。「政治的問題に関する自分の情報源を再構築することをお勧めする」というのはそういう意味です。
まあ、こういうことを書くと、「おまえの情報源こそ偏ってるんじゃないのか!」という逆ギレがあることでしょうが、ね(笑)