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dynabook KIRA V832 ファーストインプレッション

dynabook KIRA V832 ファーストインプレッション

鈴木 啓一

フリーランスのライター、IT先端技術コンサルタント。モバイルやクラウドを駆使するスマートワーク研究をライフワークとしている。

当ブログ「kei_1のモバイル・クラウド・言いたい放題」は、2015年4月6日から新しいURL「​http://blogs.itmedia.co.jp/kei_1/」 に移動しました。引き続きご愛読ください。


 東芝さんとITmediaさんのご厚意で、今日発表されたばかりの新作パソコンを、なんと発表前からお借りし、試用することができたので、私なりの「ファーストインプレッション」として報告したいと思う。その新作パソコンとは、dynabook KIRA V832である。
dynabook KIRA V832の詳しい情報(特設サイト)はこちら

● ウルトラブックの最高峰 dynabook KIRA V832

 dynabook KIRA V832(以下、V832)は、東芝のウルトラブックのラインアップのなかでも最上位に位置づけられる機種で、さまざまな面でそれにふさわしい設計が施されている。
 ウルトラブックらしく、薄型でスタイリッシュな筐体は、マグネシウムの板をプレス加工して作った贅沢なもので、強度と美しさを両立させているという。キーボードも筐体フレームと一体化した作りになっている。「フレームレスキーボード」と呼ぶのだそうだ。

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dynabook KIRA V832


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筐体上面


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筐体底面




 使いやすさにも評価すべきところが多い。
 キーボードは19mmピッチのフルサイズで、キートップ中央部を2mmほどへこませたという。なるほど、このへこみのおかげでキーを確実に指先に感じることができ、実際になかなか打ちやすい。また、このキーボードはバックライト付きで、暗い部屋での作業にも対応でき、それより、光ってなかなかおしゃれである。

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V832のキーボード

写真ではわかりにくいかもしれないが、
キートップ中央が2mmほどへこんで
いるため、打ちやすくなっている。


 本体重量は1.35kgと、13インチモデルにしては軽量である。バッテリーの駆動時間は公称値約9.5時間と、これまた及第点だ。そしてACアダプタは、この機種のための新開発で、小型で175gと軽く、本体とともに携帯しやすい。

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V832付属のACアダプタ

小型軽量で携帯しやすい。
大きさの比較のため、
iPhone4Sと一緒に撮影した。


● 2560x1440ドット! 超・超高解像度ディスプレイ、タッチパネル付き!

 特にV832の液晶ディスプレイは秀逸である。フルHD(1920x1080)を大幅に超える解像度、2560x1440ドットの13インチタッチパネル付き液晶ディスプレイが採用されている。手持ちの一眼レフカメラ、Pentax Qで撮影した写真(2048x1536ドット)は、ドット1対1で、ほぼ全体、表示できる(少し縦が足りないのでスクロールさせる必要あり)。
 私は、1989年発売の初代DynaBook J3100SS001のユーザでもあり、640×400ドット・モノクロの青白液晶の時代から知っているが、技術の進歩がここまで来たかと、ただ感動である。しかも、この解像度でタッチパネル付きというのも驚きだ。
 でも、これまでにない高解像度であるために、まだアプリケーションソフトが対応できていなくて、あまり恩恵にあずかれなかったり、文字が小さすぎて読めなかったりという心配はないのだろうか?そう思って実際に使い始めてみると、さすが東芝さんである。「東芝画面設定ユーティリティ」というソフトが用意されていて、文字サイズを簡単に最適な状態に切り替えることができるようになっている。ただし、画面文字サイズの切り替えには、Windows 8を一旦サインアウトし、サインインし直す必要があるので注意が必要だ。


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東芝画面設定ユーティリティの画面

標準のテキストサイズ 「最適」 を選んだところ。


 このユーティリティで設定できる「最適」(=文字サイズ標準)では読みやすさを重視した設定となる。この状態では従来のディスプレイとあまり変わらない印象だ。「小さいテキスト」や「表示領域を最大化」を選択することにより、ディスプレイの解像度を活かして大きな表全体を俯瞰するような場合にも対応できる。必要に応じて、見やすさよりも、一度に表示される情報量を取るという使い方ができるというわけだ。
 ただし、実際は「小さいテキスト」でも、私には文字が小さすぎて目がすぐ疲れてしまうように思う。まして、「表示領域を最大化」を選択すると少しみているだけでも頭が痛くなりそうな文字の小ささだ。
 ちなみに「小さいテキスト」を選んだときの実際の画面をキャプチャしてみたのでご覧いただきたい。画面の広さと圧倒的情報量をイメージしていただけるだろうか。

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V832の東芝画面設定ユーティリティで「小さいテキスト」を選択した画面。
 (クリックするとV832の画面をキャプチャし、
当ブログシステムの都合で縦横それぞれ
1/2したファイル(サイズ 1280x720ドット)が開く。
つまり実サイズはこの縦横2倍だ。)
文字は小さくなるが、Excelの表は
このように広い範囲を表示できる。
表のデータは、
「2-3 都市別人口」をダウンロードして
使用した。


 画面設定ユーティリティを使って「最適」を選び、各種ソフトウエアのインストールなど、いろいろな作業をしてみたが、やはりごく一部のソフトウエアで小さな文字で読みにくい場合がある。読みにくいといってもなんとか作業はできたのではあるが、気になる人は、コントロールパネルの「画面の解像度」の設定で、解像度をフルHD(1920x1080)以下に下げて使うのもありかもしれない。これでも従来のノートパソコン以上の解像度である。
 たとえば、2560x1440ドットの表示モードで「最適」の状態で小さくて読みにくい文字が表示されるソフトウエアとしては、IObitの「Start Menu 8」(Windows 8にWindows 7のようなスタートアップメニューを追加するユーティリティ)のような例がある。こうしたソフトウエアは、2560x1440ドットの表示モードを想定していないのだろう。
 V832に24インチの液晶ディスプレイ(1920x1080)を接続し、外部ディスプレイとして使ってみると、V832の2560x1440ドットの表示モードで「最適」のモードでは外部ディスプレイ側も大きなフォントになり、せっかくの24インチ画面なのに情報量が減ってしまう。画面設定ユーティリティで小さいフォントに変更すると、24インチディスプレイの情報量は満足いくが、V832の画面が読みにくい。なかなかうまくいかないものだ。画面ごとにフォントの大きさが変えられると良いのだが、OSの仕様なので難しいのかもしれない。でも、さらなる改善を要望したい。東芝画面設定ユーティリティで、サインアウトをしなくてもその場でモードを切り替えられるようになるだけでも、かなり操作性は向上すると思う。これも要望しておきたい。


● harman/kardon のステレオスピーカー搭載で音楽を楽しむ。

 V832には筐体の底面に、世界的に有名なオーディオブランド「harman/kardon」のステレオスピーカーが搭載されている。実際に手持ちの音楽をかけてみると、オーディオ評論家ではないので、あくまでも素人の感想だが、高域が素直に伸びており、奥行き感や広がり感のある、好みの音だ。低域はさすがにスピーカーの大きさが限られるのでお世辞にも本格オーディオ並とはいえないが、ノートパソコンとしてはなかなかレベルが高いのではないだろうか。
 それに加え、「DTS Studio Sound」というユーティリティソフトが付属しており、これを使うと、サラウンドやイコライザを使うことができる。少し低音が足りないと思うので、私の場合「低音ブースト」に加え、さらに低音を少し強調して使っている。

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DTS Studio Sound

私の好みの設定はこんな感じだ。
「3D」と「低音ブースト」に加え、
少しだけ低域を強調している。

 少なくとも出張先のホテルでいつもの好みの音楽を聴きたいと思ったときには、このレベルなら十分満足できそうだ。そして、動画を使ったプレゼンにも良いと思う。このレベルなら、効果的で迫力あるサウンドを付け加えることができそうだ。
 東芝はREGZAシリーズのテレビやレコーダで知られる、AV機器メーカーでもある。V832も、プリインストールの「RZスイートexpress」というソフトを使ってREGZAシリーズのテレビやレコーダと連携できるという。しかし、残念ながら同社の「レグザリンク・シェア」に対応する機種である必要があり、私の手持ちのPanasonicのDIGAやVIERAでは接続できない。
 日本のAV機器メーカーは自社の独自仕様ばかりを作って、他社製AV機器との連携/接続に本気になっていないようで、相変わらず他社の製品とはつながらないようだ。非常に残念だ。


● dynabook KIRA V832 は買いか?

 こうしてほぼ一通り使ってみた感想はとてもよくできたパソコンだということだ。私個人的に長年理想のノートパソコンとしてイメージしていたものを、たとえば解像度の面で、少し超え始めている。そして、ほとんどすべてのスペックに不満がない。
 それでも、今後さらに改善して欲しいところをあえてあげるとすれば、バッテリーの駆動時間公称値約9.5時間をさらに延ばして、下位モデルと同等の13時間以上使えるようにしてほしいし、重量をさらに軽くして1kgを目指してほしいと思う。今回お借りしているV832の内蔵ディスクは128GBのSSDだが、これも同等の価格でさらに倍の容量があったら良いと思う。前述のように、超高解像度のディスプレイに、世の中のソフトウエアが対応できていないという問題もあり、対応策として改善の余地はあると思う。他社製AV機器との連携機能の追加もぜひ期待したい。しかし、本当に致命的な欠陥や不満はない。お薦めできるパソコンだと思う。
 さらに強いて言えば、一番大きな問題は17万円前後からという価格かもしれない。しかしV832は、未来の解像度を先取りするパソコンとして、私の友人たち、パソコンオタク仲間にも自慢できるスペックである。これをどう見るかが、買いかどうかの分かれ目だと思う。
 V832は、スマホやタブレットに押され気味のパソコンからの東芝による強烈な回答だともいえる。スマホやタブレットにできないハイレベルのことをしっかりこなしてくれる。私たちの長年のパートナー「パソコン」は、まだまだこれからも進化するのだ。



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